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現代のイスラム教にはやはり問題あり|THE STANDARD JOURNAL
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現代のイスラム教にはやはり問題あり|THE STANDARD JOURNAL

2014-10-24 19:46

    おくやまです。

    さて、前回のイスラム教についての記事の
    続報的な位置づけにある意見記事で
    なかなか面白いものがありました。

    元オフェンシヴ・リアリストで、
    現在はCNNの情報番組の司会者をしております
    インド出身のザカリアの記事です。

    ===

    ▼イスラム教には問題がある:この事実から目をそむけるのはやめよう
    By ファリード・ザカリア
    ---
    ▼The Washington Post
    Fareed Zakaria: 
    Let’s be honest, Islam has a problem right now
    ---

    ●テレビ番組の司会者であるビル・マー(Bill Maher)が、
    毎週やっている自身の番組の中で
    「イスラム世界は・・・ISISとあまりにも共通するところが多い」と宣言し、
    その時のゲストのサム・ハリスも、イスラム教のことを「悪いアイディアの宝庫だ」と述べた。

    ●私はこれがなぜ人々の怒りを買ったのかがよく理解できる。
    マーと作家のハリスは、イスラム教をあまりにも単純化して誇張していたからだ。

    ●ところがそれでも「彼らは真実について語っていた」と言える部分がある。

    ●もちろん私はイスラム教について批判するような議論は、
    暴力的で反動的なものであることは知っている。その信徒は16億人もいて、
    インドやインドネシアにはこのような単純化に当てはめることのできない人々が
    数百万人いることも知っている。

    ● よって、マーとハリスがあまりにも物事を一般化した点で有罪であることは明らかだ。

    ●ところがそれでも今日のイスラム教が問題を抱えていることは否めない。
    現代の世界で問題を抱えている国の多くは、かなりの確率でイスラム教国なのだ。

    ●たとえば2013年の時点で、世界でテロ行為を行ったグループの
    上位10位の内の7つが、イスラム教系であった。
    テロ攻撃が行われた数でトップから数えて10位までの国のうちの7ヶ国も、
    イスラム教が多数派を占める国々であった。

    ●ピュー研究所では宗教活動への制限のレベルを国ごとに調査しているのだが、
    最もそのレベルが厳しい国の24ヶ国のうち、19ヶ国がイスラム教が多数派を占める国々であった。
    しかも宗教に背くことを違法としている21ヶ国のすべてが、
    イスラム教が多数派を占める国々なのだ。

    ●今日のイスラム教の中には過激主義のがん細胞が存在する。
    イスラム教徒の非常な少数派の中には、暴力と非寛容を称賛し、
    女性やマイノリティーたちに対して極めて反動的な態度をとるものもいる。

    ●イスラム教徒の中にはこのような過激主義者たちを抑えようとする人々もいるが、
    その努力はまだ足らないし、それに対する異論を唱える声も低い。
    アラブ世界では、イスラム国(ISIS)を非難するデモはほとんど行なわれていないのだ。

    ●もちろんここで重要なのは、「今日のイスラム教」という点だ。
    マーとハリスの分析における中心的な問題は、イスラム教の中の過激主義という現実をとらえ、
    れがその宗教に元々備わった要素であると暗示したという点だ。

    ●マーはイスラム教が「間違ったことを言ったり、間違った絵を描いたり、
    本を書いたりしたら殺される、マフィアのような活動をしている唯一の宗教」だと述べている。
    彼はその残虐性を指摘している点では正しいが、
    それを「イスラム教徒の中の何人か」ではなく
    「イスラム教」全体とリンクさせているという意味で間違っている。

    ●ハリスは博士号を持っていることもあり、自分が極めて分析的であることを誇っている。
    ところが私が大学院に行っていたときに学んだのは、
    固定した原因から従属変数的な現象を説明することは決してできないということであった。

    ●つまり「イスラム教が元々暴力的で非寛容的なものである」と主張するのであれば、
    イスラム教が存在しているこの1400年間という長い時間を通じて、
    われわれはこのような行動を目撃しているはずだ。

    ●ハリス氏はザカリー・カラベル氏の著書(Peace Be Upon You)を読むべきであろう。
    この本からわかるのは、たしかにイスラム世界では戦争はあったが、
    同時に平和な時代も存在したということだ。

    ●たとえばイスラム世界は近代の最先端を行っていた時代もあったし、
    逆に今日のように極めて後進的であった時代もある。

    ●カラベルが私に説明してくれたように、
    「ここ70年間をのぞけば、イスラム世界というのはキリスト教世界よりも
    一般的にマイノリティーに対して寛容的であった。
    1950年代初期までにアラブ世界で100万人以上のユダヤ人が生活していたのは
    そのような理由からであり、イラクだけでも20万人が住んでいた」という。

    ●イスラム世界には開放的で現代的、そして平和的な時代があったとすれば、
    これはその宗教の教えにあるわけではないということだし、
    その傾向も再び変化する可能性があることになる。

    ●それではマーたちはこのようなコメントをしたのだろうか?
    私は同じようにメディアに出ている知識人として、ありのままの真実
    (といっても彼の「真実」はあまりにも単純で誇張されたものだが)
    をコメントする必要に迫られていたのは理解できる。

    ●ところがメディアに出ている知識人には別の任務もある。
    それは、「世界を良い方向に動かす」というものだ。

    ●彼はマフィアとイスラム教を比較することで
    世界を良い方向に変えられると本気で考えているのだろうか?
    ハリスは「真剣に信仰していない名ばかりのイスラム教徒たち」
    に対してイスラム教を改革してもらいたいと述べていた。

    ●ではイスラム教を改革するための戦略として、
    16億のイスラム教徒たちの中でも極めて真剣に信仰しているほとんどの人々に対して
    「あなたたちの宗教は悪で、その信仰を真剣に行うのはやめるべきだ」
    と教えるのはよい戦略だと言えるだろうか?

    ●キリスト教もたしかに何世紀にもわたって暴力、十字軍、異端審問、魔女狩り、
    そして非寛容を煽る立場から、近代国家へと変化してきた。
    そして知識人や神学者たちは、熱心なキリスト教徒たちにたいして
    信仰に自信を持つような理由を与えつつ、この宗教の中にある
    寛容、リベラル、そして近代性の要素を称賛してきたのだ。

    ●似たようなアプローチ――これは尊敬に則った改革のこと――も
    長期的にはイスラム教でも成功するだろう。

    ●このディベートで交わされているテーマは影響の大きいものだ。
    ニュースになるのもいいのだが、同時に世の中に立つこともできる。
    私はマー氏が後者を選ぶことを願いたい。

    ===

    うーん、この分析もやや玉虫色的な感じがあるのは否めませんね。
    ただし上手いと思ったのは「現代のイスラム教」を
    以前のイスラム教とわけているという部分でしょうか。

    カナダの国会での銃乱射事件での絡みもありますので、
    今後もこのような議論は続くんでしょうね。

    ( おくやま )

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