THE STANDARD JOURNAL
クリエイティブな資本主義:これからの企業はハリウッドに学べ:「The Economist」|THE STANDARD JOURNAL
▼Creative capitalism | the Economisit
--Other industries have a lot to learn from Hollywood--
( おくやま訳 )
■クリエイティブな資本主義:これからの企業はハリウッドに学べ■
●映画産業というのは、エゴと行き過ぎがあふれる、きわめて特殊な業界だ。
●彼らの歴史のほとんどの期間では新しい会社が大儲けした例はないし、古い会社も利益が安定しているわけではない。
●駄作に大金をかけて大失敗するというのはこの業界ではよくあることであり、たとえば1980年の「天国の門」は、チャーリー・チャップリンたちが1919年に創設したユナイテッド・アーチストという会社を潰したほどだ。
●ビジネス科の大学教授が映画関係者になることは少ないし、ハリウッドを研究の事例に使うこともほとんどない。ところがこの風潮は変わりつつある。
●その理由の一つは、他の業界のやり方が、いくつかの面で映画産業のそれと似通ったものになりつつあるからだ。
●今日の知識基盤経済では、会社のボスたちは気まぐれな「スター」たちを管理するのに時間をとられるようになっているし、食品や消費者製品のメイカーたちは、すでに映画のスタジオがやっているように、より狭い分野での「大ヒット作」を狙うようになっている。
●そして電機産業や車産業のように、製品の生産やブランドの立ち上げのペースはどんどん上がっているのだが、これはハリウッドが新しい映画を話題にする手法から多くのことを学ぶことができるのだ。
●さらに、映画製作というのはアメリカの成功物語そのものである。この業界はアメリカがいまだに世界市場を席巻してその状態を維持している、数少ない分野の一つなのだ。中国のチョリウッドもインドのボリウッドもこれほどまでに世界中の人々が並んでまで観る映画をつくることはできていない。
●アメリカの映画・テレビ産業の輸出額は年間160億ドルにのぼると見られている。
●創造的な人間を雇っているすべての会社は、彼らの自由な創造性を阻害せず、それをいかに商業的な利益に結びつけるのかを考えなければならないものだ。ところがハリウッドはこれについて百年にわたる歴史的な経験を持っている。
●たとえばスタジは1本の映画の製作ごとに新たにクリエイティブなチームを集めてきて、彼らに互いへの干渉を最小限に抑えつつチームとして集中的に仕事をさせて、本当に状況が悪化したときだけ介入するのだ。
●このやり方のおかげで、チームの参加者たちはコントロールの感覚を得て、プロジェクトにたいする誇りを感じるのだ。結局のところ、映画の最後のエンドロールでは、彼ら一人ひとりの名前が映し出されることになる。
●南カルフォルニア大学マーシャル学院のビジネス科の教授によれば、「このようなチームワークは他の業界では珍しい」という。映画業界で人々がよく協調して働くのは、その理由のひとつとして、彼らの仕事が安定していないからだという。
●彼らの多くはフリーランスであり、今とりかかっている仕事で結果を出さなければ次の仕事が回ってこない可能性がある人々ばかりだ。
●ハリウッドが教える厳しい教訓は、「働く人たちが自分たちのやっていることに自信をもっていて、その達成したことを認められた経験を持っていれば、仕事の不安定さが生産性の高さにつながる」というものだ。
●また、ハリウッドは「撮り直し」の町である。ここで働く人々は現在あるものを常に改善することがよい結果につながることを知っている。
●ピクサー社の創設者でディズニー・アニメの社長をつとめるエド・キャットマルは『ピクサー流マネジメント術:天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたか』(http://goo.gl/K2iCtp)の中で、すべての映画は「ひどい状態」から始まり、数々の修正を経て世に送り出されると論じている。
●たとえば2009年の大ヒット作である「カールじいさんの空飛ぶ家」は、製作開始当初はまったく異なる作品としてつくられたという。この作品は会社内部で率直な意見を述べる「ブレイントラスト」たちからの数々のアドバイスによって劇的に生まれ変わったという。
●携帯のアプリ製作会社も、会社の中と外からのアドバイスを受けて修正した形で製品をつくることができるし、消費者製品のメイカーもレビューアーからの反応を参考にして製品やパッケージを微調整することができるだろう。
●ところがいまだに多くの業界ではそのような「建設的批判」を馬鹿にするボスたちがいる。
●ハリウッドと同じカリフォルニア州の産業であるシリコンバレーも、失敗の恐怖を克服してきた。
●映画というのはテクノロジーのベンチャー企業と同じで、大失敗してもそれがあまりにもよくあることなので大目にみられている。
●双方のケースでは、失敗そのものが学習的経験であるとよく理解されており、この分野では第二・第三のチャンスが与えられているのだ。スタジオの社長は大失敗した時にクビになるが、その幹部や監督たちは復活する場を持っているのだ。
●おそらくハリウッドが持っている最も優れたスキルというのは、グローバルに知られるブランドを、数えることのできる日程で立ち上げることができるということだ。
●映画というのは近年に入って一本一本が独自のマーケティングを必要とする別個の製品となりつつあり、そこに要求される質も高まっている。もし公開日までに十分や勢いをつけられないことになると、何も残さずに消滅することになってしまうからだ。
●各スタジオはプロモーションのためのキャンペーンに多額を費やすようになっており、制作費と同じくらいの額を投入することもあるくらいだ。
●マーケティングの価値や、急速に消費者の注意を喚起できる可能性などについて疑念を持っているビジネスというのは、ハリウッドが新しいブランドをどのようにしてほぼ一週間ごとに立ち上げているのかを分析してみるべきであろう。ここでのカギは、マーケティングを後付で考えることではなく、そのプロジェクトの中心に置くということなのだ。
●映画業界というのは資金的に失敗することができる分野として有名であったが、スタジオを抱える最近の大メディア企業は以前に比べてビジネスを本格的に動かしており、とりわけ収益性を注意深く見ている。
●ハリウッドの6大「メジャー」たちは現在ビジネス・スクール出身の人物たちによってマネージされているし、映画会社も無数の数のプロジェクトを多発させることはできなくなっている。
●彼らはその代わりに、マンガのキャラクターを描いたアクション満載の「フランチャイズ」映画の製作に注力しており、これは海外でも受けが良く、続編もつくりやすいのだ。
●シリコンバレーから学んだハリウッドは、外部からの資金調達に頼るようになっており、これはヒットが出るとその利益を分配するだけでなく、興行的に失敗しても損益を出し過ぎないようにするという意味がある。
●ハリウッドでは誰も年齢について語りたがらないものだが、それでもハリウッド自身は驚くほどの長寿となっている。
●映画会社はテレビやネットのような新しいテクノロジーによる脅威からも生きながらえており、視聴者の趣味の微妙な変化にも対応してきている。これほど製品の品揃えを頻繁に変え、しかも再構成を図る業界もめずらしい。
●映画会社は、劇場まで所有して俳優にも給与を払うという、いわゆる「垂直に統合されたグループ企業」という存在から、資産を少なくしつつ才能を貸し出すという柔軟な対応をする企業にまで変化してきたのだ。
●最古の映画メジャーであるユニバーサル・ピクチャーズが創設されてから102年が過ぎたが、ハリウッドはこの歴史の中でビジネス的に「失敗するモデル」を数多く提供してきただけでなく、その反対のポジティブな例も教えてくれるのだ。
(おわり)
管理人デス。
今夜の特番では、この記事の内容をもとに、
「Creative or DIE」と題して、特番的な?w
お話を致します!お見逃しなく!
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