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南シナ海の米中激突について更に解説。|THE STANDARD JOURNAL
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南シナ海の米中激突について更に解説。|THE STANDARD JOURNAL

2015-10-29 12:04

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    Freedom of Navigation Operations in the South China Sea: What to Watch For
    By Adam Klein, Mira Rapp-Hooper
    おくやま です。

    番組でも触れましたが、
    米海軍は南シナ海の中国の人工島の近辺に軍艦を航行させる、
    いわゆる「航行の自由作戦」(FONOPS)を絶賛実施中であります。

    ところが実際の米海軍の狙いが何なのかは、
    新聞やニュースを見てもよくわかりません。

    そこで私がその法的な面と、アメリカ側の狙いについて
    簡潔にまとめた冒頭に紹介した記事をベースにして、
    ここでわかりやすく説明してみたいと思います。

    まず今回の南シナ海の領土争いで焦点になっているのは
    「国連海洋法条約」(UNCLOS:1982年)で定められた、
    いわば世界の海における領土・領海に関する国際法です。

    しかしここで問題になるのは、

    <アメリカ> 条約を批准していないが、その慣習は守っている

    のに対して、

    <中国> 批准しているが、その慣習を守っていない

    という点です。お互い守っているようで守っていない宙ぶらりんの状態で、
    法律面では互いにツッコミがかませるという微妙な状態です。

    さらに問題なのが、アメリカと中国は、その領海などの分野に関して、
    大きく異る見解を持っていることです。

    たとえば島から伸びる領海(12カイリ以内)と
    経済的排他水域(EEZ:200カイリ以内)の領有権に関して、

    <アメリカ> 
    ・領海とEEZ、どちらも無許可で無害通航(平和的な通過)が可能
    ・EEZでは軍事的なオペレーション(海底探査や軍事演習など)までOK

    として、かなりオープンなのに対して、

    <中国>
    ・領海に入るには無害通航で、当該国には許可が必要。
    ・EEZの中では無害通航でオペレーションは不可能

    というかなり条件の厳しいものになっております。
    なんというか、陸の領土の延長のような感覚なんですね。

    ちなみに番組ではアクシデント的に
    妙な絵になってしまったのはこの説明の部分なんですが、
    まあ見逃してください。



    また、国連海洋法条約では領海やEEZの基点になるものとして
    3つの海の地形を挙げておりまして、それらを説明すると、

    ①低潮高地(Low-tide elevations)
    ・暗礁のこと。満潮になると海に隠れる。領海もEEZも主張できない。
    ・例外として、実効支配者は安全航行のために
     500メートルの安全水域を設定可能。

    ②岩(Rocks)
    ・満潮時でも海に沈まない。人間が継続して住めない。
    ・領海はOKだが、EEZは主張できない。

    ③島(Islands)
    ・満潮時でも海に沈まない。人間が継続して住めるし経済活動も可能。
    ・陸と同じで領海もEEZも主張できる。

    というものです。

    さて、今回の南シナ海に軍艦を送り込む中で、
    これらを踏まえてアメリカにとっての選択肢にはどのようなものがあるかというと、
    冒頭の記事の著者たちは3つの選択肢があると申しております。

    それらを、メッセージ性が弱い方から強いほうに並べてみると、以下のようになります。

    A:岩や人工島周辺の12カイリ内を、無許可で無害通航。

    B:低潮高地周辺の12カイリ内で、軍事的なオペレーションを実施。

    C:岩や人工島周辺の12カイリ内で、軍事的なオペレーションを実施。

    繰り返しますが、これによって発せられるメッセージ性の強さは、
    A<B<C。そして今回米海軍がやったのは、
    現在報道でわかっている部分ではAということになりますね。

    もちろん米海軍は、今後もAだけでなく、BやCを行っていく可能性がありますし、
    またそれを追尾してくる中国海軍などと衝突したりする可能性も否定できません。

    世界の30%の船が通過し、日本人の生活もかかっている南シナ海では、
    アメリカと中国という世界の2大大国の間で、
    このような劇的な安全保障ドラマが展開されております。

    われわれは今後も注視していかなければならないでしょう。

    ( おくやま )

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    http://www.realist.jp/strata.html
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