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おくやま です。
先日のことですが、ある方から個人的に、
「おくやまさんの孫子CDのウリは何なのですか?」と率直な意見を聞かれました。
今回のCDの実際の「ウリ」としては、
それが日本では今までまったく注目されることがなかった
老子とのつながりや陰陽論に注目していることでしょうか。
それに加えて、私が最も強調したいのは、
それが「戦略の階層」の話と強くリンクしているところだと思っております。
「戦略の階層と孫子?何の関係があるの?」
とお感じの方もいらっしゃるでしょう。
実際に孫子は、「戦略と戦術の話は違う」
ということはほとんど述べていないからです。
ところがよく考えてみると、
孫子は実に戦略の階層のキモとも言うべき
「世界観」の話を、これでもかというほど強調しております。
具体的にいえば「相手を騙せ」と述べつつ、
全13章の中でトリックの重要性を述べている箇所などですが、
それらを統合して考えると、結局は戦略の問題は
「相手のマインドをいかに操作するか」
というところに集約されてくるのです。
これは私がCDの第2部となる
逐語解説の部分でも強調しているところですが、
英語圏で最初に孫子を自分の理論の中に取り込んだリデルハートは、
孫子が戦略として最上であるとする
「謀を伐つ」(謀攻篇)
という言葉にならって、
「敵の軍略や戦略を攻撃せよ」
と主著である『戦略論』の中で書いております。
「は?敵の軍略を攻撃って意味わかんないんですけど?」
と思われた方もおられるかと思いますが、
とりわけ今回のCDで、私が強調したいのは、
孫子は、戦略というのは究極的に「マインドゲーム」である、
としていること。
つまり戦略として最高なのは、
そもそも、相手に初めから戦おうとする意識を持たせないことだ、
ということになります。
これはまさに物理的な城や兵器に対する攻撃ではなくて、
あくまでも働きかける対象は相手の「マインド」。
もっといえば、相手の脳の中を操作してしまえば勝ち、
ということになります。
「孫子が脳内操作をススメている?」
と驚かれるかもしれませんが、
たしかに戦略というのは相手の考える力、つまり脳の能力をいかに奪うか、
というところにエッセンスがあるとなればわかりやすいです。
もちろん西洋の戦略論の雄であるクラウゼヴィッツは、
それを「屈する」という言葉で表現したわけですが、
あくまでもそのアプローチは「物理的な力を使って」ということ。
孫子の場合は「物理じゃない、あくまでも心理だ」としていることで、
言ってみれば「相手の脳の中をいかにコントロールするか」
というマインドゲームを強調していることがわかります。
そしてここに「戦略の階層」の話とリンクしてくる部分が出てきます。
なぜなら「戦略の階層」でも、最上階にある「世界観」が最も重要であり、
ここの操作にキモがあると考えるからです。
南シナ海事案から上海の株式市場の暴落まで、
今後もわれわれは(好むと好まざるとにかかわらず)中国に影響を受けます。
そのエッセンスとなる孫子の「マインドゲーム」について、
ぜひCDで学んでみてください。
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