▼米中12―年末に、いま考えておくべきこと

この一年、世界は大きく動きました。

そして多くの人が、はっきりとは言葉にできなくても、
「いやもう、色んなことが変わってきている」
と感じているのではないでしょうか。
今回の米中シリーズは、その“違和感”の正体を
整理するためのものです。

◆なぜ今、「戦略」が必要なのか

奥山先生のアメリカ通信は
「日本人に戦略的思考を持ってもらいたい」
という思いから始めました。
「日本人が、もう一度“戦略的に考える”必要がある」
という問題意識です。
戦略とは何か。
それは「目先の出来事に反応すること」
ではありません。

どこを目指すのか?
そのために何を優先し、何を捨てるのか

この二点を、現実を踏まえて考えることです。

◆日本を取り巻く環境は、確実に変わりました

いま、日本は大きな分岐点に立っています。
高市政権の誕生によって、
安全保障や外交の方向性は明確になりました。

一方で、アメリカの側では、
かつての「世界の警察」という姿勢が
明らかに後退しています。

トランプ大統領が象徴するように、
アメリカは「自国第一」を前面に押し出し、
同盟国であっても無条件で守る立場ではなくなりました。

その結果、これまでの前提――
「日米同盟があるから大丈夫」
という考え方自体が、揺らいでいます。

◆では、日本はどうすべきか

多くの人がこう感じるかもしれません。

「日本が軍事的に自立するなんて、現実的ではない」
「そんなことをしたら、周辺国との関係が悪化する」

しかし、現実はもっとシビアです。

“やるか、やらないか”ではなく、
“備えるか、流されるか”の段階に来ている。

同盟を維持しながらも、
自分たちで守る最低限の能力を持つこと。

それは対立を望むことではなく、
「選択肢を持つ」という、極めて現実的な判断です。

◆変わり始めた世界の兆候

インフレの加速。
株価の急騰。
資源価格や金・銀の高騰。
嫌になるような円安。

これらは偶然ではありません。

世界が次の段階へ移行する時、
必ずこうした“歪み”が先に現れます。

問題は、それを「一過性の出来事」と見るか、
「構造変化の兆し」と見るかです。
この違いが、数年後の立ち位置を決定づけます。

◆「米中12」で扱うテーマ

今回の音声講座では、以下の点を中心に整理しています。

●米中対立の本質と、今後の分岐点
●安全保障・経済・技術が連動する構造
●日本が置かれている立場と、選択肢
●これから10年を見据えた思考の枠組み

煽るためではなく、
「冷静に考えるための材料」を提供することが目的です。

◆最後に

時代が大きく動くとき、
最も危険なのは「何も考えないこと」です。

どうせ変われない。
と思っている国や人は
外部環境から強制的に変化させられるでしょう。
それは、幸福な形では終わらないでしょう。

この難局において、強いイメージや目的を持って
望まないといけない局面にきているのです。

すぐに結論を出す必要はありません。
ただ、考える材料を持っているかどうかで、
数年後の立ち位置は確実に変わると思います。
この講座が、その材料の一つになれば幸いです。