━━━━━━━━━
荻上チキ責任編集
“α-Synodos”
vol.160(2014/11/15)
特集:アニメ!
━━━━━━━━━
★今号のトピックス
○はじめに
1.杉田俊介
『もののけ姫』論――ラディカルとリベラルのあいだに
2.玉井建也
物語文化とコンテンツツーリズム――舞台になれば良いわけではない
3.末近浩太
ガンダム、中東政治、シリア「内戦」
4.稲葉振一郎
『マージナル・オペレーション』は唾棄すべき傑作である
5.くみかおる
アニメの労働問題を語りだすと空回りするワケ
6.岸政彦
「もうひとつの沖縄戦後史」最終回――洞窟の生と死
○編集後記
━━━━━━━━━
○はじめに
だんだん寒くなってきました。みなさん、暖房をつけたら暖かいですよ。今号もαシノドスを読んでいただき誠にありがとうございます。
今号のαシノドスはアニメ特集です! ジブリ作品、コンテンツツーリズム、ガンダム、労働問題からライトノベルまでアニメを様々な角度から考えられる号になっております。特大ボリュームです!
まず、一つ目は杉田俊介さんへのインタビュー、「『もののけ姫』論――ラディカルとリベラルのあいだに」です。『宮崎駿論――神々と子どもたちの物語』(NHKブックス)が話題になった杉田さんに、『もののけ姫』を中心とした一連のジブリ作品を通じて、ジブリ映画に登場する男性像や、ラディカルとリベラルの対立というテーマについてお話を伺ってきました。『もののけ姫』論ですが、私は『耳をすませば』を観かえしたくなりました。
次に、玉井健也さんによる「物語文化とコンテンツツーリズム――舞台になれば良いわけではない」です。アニメ『かみちゅ!』の事例から、広島県尾道におけるコンテンツツーリズムを取り上げます。「舞台になれば良いわけではない」の言葉どおり、『かみちゅ!』が尾道に脈々と受け継がれてきた物語文化(枕詞や小津映画など)へ溶け込んでいるとの指摘に、なるほど!と膝を打ってしました。
3つ目は「ガンダム、中東政治、シリア『内戦』」です。中東地域研究の末近浩太さんにご寄稿いただきました。本文中でも触れられていますが、SYNODOS「高校生のための教養入門」(http://synodos.jp/intro/9565)のインタビューの際、末近さんが「アラフォー以上の政治学者はみなガンダムを見て政治学に目覚めた」と言及されていたことに端を発しています。これからは、年上の方のガンダムの話を、嫌な顔せず、ありがたく聞こうとおもいました。
続いては稲葉振一郎さん「『マージナル・オペレーション』は唾棄すべき傑作である」です。紹介されている『マージナル・オペレーション』はライトノベルで、漫画化も進行中の大人気作。「唾棄すべき傑作」の言葉通り、貧困と子ども兵を扱ったあらすじ(本文で紹介されています)を読んでいるだけで息苦しくなってきます。『デビルマン』『ガンダム』など、現代エンターテイメントにおけるヒーロー像を語りながら、『マージナル・オペレーション』を読み解いていきます。
5つ目は、「アニメの労働問題を語りだすと空回りするワケ」です。『ミッキーマウスのストライキ!アメリカアニメ労働運動100年史』の訳者解説が話題になった、くみかおるさんにご寄稿をお願いしました。なんだか、大変らしいぞ、と漠然に思っていたアニメ業界の労働環境がどうして出来上がっていったのか。その歴史を丁寧にたどります。痛快です。
最後は、人気連載!岸政彦さんの「もうひとつの沖縄戦後史」です。なんと、今回で最終回です。「沖縄タイムス」の記事を紹介しながら「洞窟の生と死」をテーマに、沖縄の貧困を見つめていきます。この連載は、共和国から解説などを加えなが、来夏に刊行予定とのことです! ぜひ皆さんお楽しみに。岸先生の次回作に期待です!
というわけで、今号はものすごいボリュームのαシノドスですが、ぜひゆっくりとお楽しみください(山本)
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。