スマートフォンの画面が皮脂で汚れているのは、すでに日常風景となっています。他人のスマートフォンを触る時以外には、特に気にしないという人がほとんどかも知れません。
ところが、程よく熱を帯びた画面にギトギトの皮脂を付着させていると、画面上が「細菌類の温床」となっているという話を聞くと、ちょっと心穏やかではないでしょう。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事(2012年10月24日)には、サウスカロライナ医科大学マイケル・シュミット教授の
「われわれはこの小さな生き物にエサを与えている」
「(タッチ画面の)あぶらっこい汚れは誰もが見ている。あぶらがあるところには、微生物がいる」
という談話とともに、インディアナ州マンシーのHML研究室にて、無作為に選んだ8台の携帯電話の検査を実施したとあります。
結果は、すべての携帯電話から約2700~4200ユニット(※注釈)のふん便性大腸菌群が見つかったということです。
ヒト由来の大腸菌であればヒトには無害ですので、この結果を見て慌てる必要はなさそうですが、何らかの原因で毒性のある細菌類がスマホ画面に付着しないとも限りません。
また、皮脂で汚れた画面というのは、セキュリティ上のリスクもあります。自分以外の人が使えないように、せっかくパスコードロックをかけていても、指の跡が残っていればパスコードを推測できてしまうのです。
(※注釈)ここで言うユニット(単位)とは、米国の水道水に含まれる大腸菌の許容範囲を1ユニットとしたものです。
皮脂よごれを拭きとる
■ティッシュペーパー
そこでまずは、汚れを拭きとる物として一番に思い浮かぶティッシュペーパーで画面を拭いてみます。
これでもキレイになるような気がしていましたが、上の画像をよく見てみると、拭き跡が筋にように見えているのが分かるでしょうか。
これは、皮脂よごれがきちんと取りきれず、表面上に皮脂が薄く伸ばされた状態なのです。セキュリティ上の問題はクリアできますが、これでは細菌類のエサである皮脂よごれが付着したままです。
■メガネ拭き
次に試してみたのは、これ。メガネを使っている人なら、メガネ拭きを持っているでしょう。そもそもレンズの汚れとりに適した布ですので、スマホの画面をキレイにするのにも向いていそうです。
結果は、上々でした。目で見る限りにおいては、期待どおり皮脂汚れをキレイに取り除いてくれています。
手軽に用意できるし、メガネ拭きはオススメできます。
■クリーニングクロス
スマートフォン、タブレット専用のクリーニングクロスという物もあります。メガネ拭きとどの程度違うのか、試してみました。
こちらの結果も、見てのとおり。拭き上がりは非常にキレイです。
ガラスの上を滑らせるのに、メガネ拭きよりも強く抵抗を感じましたので、それだけ目が細かく、皮脂よごれを取り除く力が強いと思いました。さすがに専用品というところでしょうか。
メガネ拭きやクリーニングクロスは、洗濯して再利用できます。使い捨てタイプやクッションタイプより、使い勝手がよくリーズナブルといえるでしょう。
除菌する
■除菌シート
個人的には、皮脂よごれを取っておけば、通常使用においては問題ないかと思います。しかし、鮮魚や精肉に触れることが多いなど、積極的に除菌をしておきたいという人もいらっしゃるでしょう。
そのような場合、除菌シートなどを併用しておけば、より効果的といえるかもしれませんが、これには注意が必要です。
アルコールや、洗剤、溶剤といった、浸透力の強い液体は、精密機器との相性があまりよくありません。
◯スマートフォン本体が塗装された樹脂製の場合、変色するおそれがある
◯防水仕様ではない場合、内部に液体が侵入し、故障するおそれがある
◯防水仕様の場合、ゴム製のパッキンが冒され、防水能力低下のおそれがある
◯ソニーのエクスペリアZ1など、最初から保護フィルムが貼られているスマホの場合、フィルムにダメージを与えるおそれがある
以上の点に気をつけて扱う必要がありますので、くれぐれもご注意ください。
部品の継ぎ目に除菌剤が侵入しないように、ゴシゴシとシートを押し付けるのは避けましょう。
市販の除菌剤は、手荒れや誤用、乱用による事故を起こさないように、実際には除菌効果が低めのものがほとんどです。したがって、リスクの割に効果が低いという可能性もありますので、その点をご理解のうえ試していただければと思います。
【番外】洗顔ペーパー
夏の間お世話になった人も多いと思う、顔用の洗顔ペーパーなどもありますが、これらは除菌効果がありませんので、リスクを考えれば使用は避けたほうが無難でしょう。
途中、顔の油で画面を汚しながらテストをしていたので、何となく良さそうだと思ったんですが、やはり洗顔ペーパーは顔を拭いてスッキリするのが正しい使い方だと思いました。
やはり、適材適所というのは大切ですね。