投資についての基礎知識のお話を始めたいと思います。
とはいっても、内容が多岐にわたるので、順に少しづつ書いていきます。まずは、経済の話から。
経済の仕組みやその動きの特徴、景気変動のサイン、どういった統計をみていくべきかといった知識は、投資に限らず様々に役立ちます。
景気ウォッチャー調査とは
たとえば、内閣府が出している「景気ウォッチャー調査」という統計があります。日本中の様々な職業の人に、商売の皮膚感覚を訊いているものです。
都道府県別に景気変動の影響を受けやすい職業を狙って、定期的にヒアリングしているのです。
その調査票は、こちら。
景気ウォッチャー調査の結果は、実際のモノの動きや売上額といった客観的なデータを集計したものではなく、訊いた人の気分や皮膚感覚を表していますから、量を計るには適していません。でも「量」が動く以前の、ぴくっとした動きをすくい上げるのに適しています。
また、そのアンケートの内容も公表されていますから、読んでみると面白いです。たとえば、2014年9月の調査結果をみると、現状判断DI(これ、ディフュージョン・インデックスと読みます。意味は別の機会にご説明しましょう)は、前月比横這いの47.4です。50を割り込んでいますので、良い数値ではありません。4月の消費税引き上げのインパクトは大きく、そこから日本経済が回復出来ていないことを端的に表しています。
また、先行き判断をみると、消費増税の反動減の影響は薄らぐものの、原油高などの影響もあって、悲観的な意見が多いようです。
水準感も弱め。
生の声を読んでみよう。
先行き判断の理由を読んでみると、南関東の一般レストラン経営者の声はこんな感じです。
かなり悲痛な感じですが、これが「やや良くなる」という回答です。
「やや悪くなる」の回答では、旅行代理店従業員の
と、困っている感じが伝わって来ます。
とどめは、住宅販売会社(経営者)のこれ。
チャートを書いてみると...
これらの声を反映して、指数も
このようになっています。青が水準感、赤が先行き判断です。
真ん中辺りの大きな落ち込みは、いわゆる「リーマン・ショック」です。このときは世界中で景気が失速し、あわや恐慌寸前まで行きました。
右端(現在)をみると、まず赤の線が大きく落ち込み、青の線がそれを追って下がっています。これは、消費税増税を見越して、先行き判断が大きく落ち込み、次いでそれが本当になって、水準自体も落ちたということです。
また、赤の線がその後回復しているのは、やがて消費増税の落ち込みは回復するだろうと思っていたということです。それなのに水準の回復が遅れていることを受けて、実は充分に回復しないのではないか、と皆さんが不安に思い出したというのが、夏以降の先行き判断が低迷している原因です。
このように、景気ウォッチャー調査は厳密性には欠けるものの、速報性があり各地の生の声が反映され、コメントを参考にすることが出来る統計です。
経済の体温計として、常に注意を払っておくと良いでしょう。