140702honto_pocket02.jpg通信はもちろん、タッチパネルも内蔵バッテリーもありません。

「これは電子書籍端末ではない、電子の本だ」として大日本印刷(DNP)が12月11日からの書店販売を発表したのが、超シンプルな読書専用端末『honto pocket(ホントポケット)』です。

これは収録されている書籍データの書き換えやダウンロードは一切できず、ただ「本を読むこと」のみに特化した製品。数十冊以上の長編シリーズや全集といった、紙では重くかさばる書籍パッケージが文庫本サイズのビューアーに納まるということになります。

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実はhonto pocket自体は以前より展示会などで参考出品されており、我々タブロイドとしても密かに注目していた端末(過去の記事はこちら)。はたしてどのような製品に仕上がったのでしょうか。

発売の経緯は「もっと簡単に利用したい」から


DNPによるhonto新サービス発表会では「これまでの電子書籍には、初期設定のハードルがある」として、インターネット接続設定・会員登録・電子書籍の購入やダウンロード・バッテリーの充電といったことに抵抗のある読者層が存在すると指摘。それらの一切を省いたのがhonto pocketだとしています。

ハードウェアの詳細をすこし見てみよう

honto pocketを手に取った感触やサイズ感は過去の記事でも紹介しましたが、ここではハードウェアの細部についても紹介していきましょう。


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文庫本に近いサイズに数十冊ぶんの電子書籍データをあらかじめ収録。メニューで巻数の指定やしおり(ページ選択)といった操作が可能。画面は5インチのE Ink電子ペーパー解説記事)で、解像度は800 × 600ピクセル。文字の視認性は良好です。


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文字のサイズは7段階から選択でき、上の画像左が最大サイズ、右が最小サイズです。


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単三乾電池2本で動作。1ページ30秒表示で3,000ページ以上、電源オフ時で約6ヶ月間の電池寿命を持っています。


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タッチパネルは備えておらず、ボタン類は正面の左右移動、メニュー/決定ボタンと側面の電源ボタンのみのシンプルな構成。電池を除いた本体重量は約130グラムです。

「所有する喜び」と「場所をとらないデジタル」の中間へ

これを見て、人によっては「機械として面白みに欠ける」と評するかもしれませんが、honto pocketはそういったユーザーとは別の層をターゲットにした製品だと考えるのが適切なようです。


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「すぐに読める、所有欲を満たす」といった紙の書籍が持つ長所と「文字サイズの変更が可能、多数のコンテンツを一度に持ち運べる」という電子書籍のメリットを併せ持った新しい電子の本のカタチのひとつなのでしょう。今回発売開始される第1弾のラインアップはすべて単行本サイズの装丁パッケージに納められており、紙の書籍といっしょに本棚に収納することができます。

honto pocket 第1弾 全5タイトル(honto pocket × 早川書房)

・アガサクリスティー全集 全100作品収録(税抜74,800円)

・名探偵ポアロ・シリーズ 全43作品収録(税抜32,800円)

・エラリイ・クイーン選集 全27作品収録(税抜19,800円)

・ホームズ&ルパン 名作競演集 全14作品収録(税抜9,800円)

・グイン・サーガ全集 上巻 全80作品収録(税抜39,800円)

いずれも収録巻数が多いだけに、それなりの高額商品ではありますが、紙の書籍で揃えた場合と比較して約2割ほど安く、電子書籍に比べるとやや高い、くらいの価格設定にしているのだそう。

本を楽しむ選択肢のひとつとして、紙とデータの中間形態となるhonto pocketは、12月11日より発売開始。丸善丸の内本店、丸善日本橋店、丸善お茶の水店、ジュンク堂書店池袋本店で取り扱いとなりますよ。

 
ネットでの会員登録やダウンロードなどが不要ですぐ読める"電子の本"名作の電子書籍を収録した『honto pocket(ホントポケット)』を販売開始 [DNP 大日本印刷株式会社]

 

RSS情報:http://www.tabroid.jp/news/2014/12/honto-pocket-1.html