公的年金の加入者は全て一律ではなく、3つのパターンに分かれます。
それぞれ「1号被保険者」「2号被保険者」「3号被保険者」と名前がついていて、日本人ならこの3つのどれかに該当します。何だか自分に番号振られているようであまりいい気分はしませんが、便宜上のことです。
それぞれ自営業、無職、学生等は1号、サラリーマンや公務員などの給与所得者は2号、そして2号被保険者の被扶養者、分かりやすく言えば専業主婦(主夫)を3号被保険者と言います。
男性の場合は仮に転職してもずっと給与所得者でいるケースが多いため、生涯2号であることが多いのですが、女性の場合は様々です。例えば学校を出て就職するとまず2号になります。次に結婚で退職して専業主婦になると3号。その内、夫が脱サラでお店を始めると今度は1号になります。
その内、夫の仕事も軌道に乗ってきたので、またどこかに働きに出たとすると再び2号になるのです。まさに女の一生、波乱万丈!です。
全部一律にすればいいのでは?
年金をややこしくしているのは、こんな風にそれぞれの人生模様に対応せざるを得ないからという部分もあります。そんな複雑にせずに全部一律にしちゃえばいいじゃないの? と思われますが、そうすると働き方によって差が生じてくる場合があります。
一例をあげると自営業者はサラリーマンと違って厚生年金や退職金がありませんから、その分自助努力で自分の年金づくりができるように自営業者だけが使える税制優遇制度が用意されている、といったようなことです。
公的年金の支給額は一定金額を国が負担しています。つまり国民の払う税金が投入されているわけですから、ある程度は結果平等を求めていかざるを得ないということから制度を調整しているのです。
しかしながら複雑になった結果、いろんな問題が出てきていることも事実です。少し前に話題になった一部の専業主婦の年金未納の問題や、そもそも専業主婦は保険料を払い込まなくても基礎年金だけは受け取れるわけですから、働いている女性から見ると「なんでそんなに専業主婦を優遇するの!」という声も出てきます。
そもそも専業主婦という存在が昔に比べると少なくなってきていますから、今後はどういう制度にするのが一番いいのか? そのあたりは実を言うと現在でも議論が続いている問題です。
立場によって利害関係が異なるために、万人にとってベストな制度というのはなかなか難しいというのが実情です。時代に応じて制度を変えていかざるを得ないというところが、年金制度というものだろうと思います。