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第2話:急接近
2018-07-31 13:0030あれから夏の日差しが強まっていくのと同じように、僕らの仲も急速に深まっていた。
「ねー、今日も会いにいってもいい?」
ピコン。彼女からのLIMEが鳴る。
午前11時、何の予定もなく部屋で漫画を読み漁っていた僕は慌ててパジャマを着替えようと立ち上がった。
「いいよー」
彼女との関係は新鮮だった。彼女が初対面の僕のどこにそれほど惚れてくれたのか、深い理由なんて考えてもわからないが、運命なんて使い慣れない言葉が脳裏に過るぐらいには何か少し違ったものを感じているのは確かだったのだ。
コン、コン。
「来ちゃったー!」
「はや。5分じゃん」
と、クールに答えつついまだに彼女と話すと照れる僕。そこで自分の恰好が三年前から着ているパジャマであることに気づき一層赤面する僕。
「えー、玄関の前でちょっと待ったんだよ? こんな早く来たら気味悪がられるかなって」
「どんだけ早く来てるんだよ」
思わず突っ込む僕に、 -
第1話:出会い
2018-07-20 12:0071「私、今日からあなたの彼女だから!」
目の前にいるのは可憐な美少女。
相対するは普段着のジャージにスイカバーを持った僕。
透き通るような白い肌が夏の日差しの下で眩しい。蝉の鳴き声が僕を囃し立てるように、深緑の中で響いていた。
何なんだ。一体何なんだ、この神様からの特大プレゼントは。
暑さではなく、体が火照るのを感じながら僕はゆっくりと彼女を見た。
こうしてこの夏、僕は運命のヒトに出会ってしまった。
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ジリジリと照りつけるような夏。
世間は夏休みなんだよなぁ、なんて思いながら僕は真っ白なカレンダーを見てため息をつく。このままでは記念すべき夏休み第一週目を浪費してしまいかねない。勿論それなりに年頃だし、彼女だって欲しいとは思っているのだが。
「どっかに超絶美少女、落ちてないかな……」
思わず口をついて出た独り言に苦笑しながら、重たい腰を上げる。よし、アイ
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