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『想いのすべて』 011〜2016年、ありがとう(YOSHIKI CLASSICAL SPECIALを観て・・・3)
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『想いのすべて』 011〜2016年、ありがとう(YOSHIKI CLASSICAL SPECIALを観て・・・3)

2016-12-31 23:46

    2016年もそろそろ終わり、いよいよ映画『We Are X』やウェンブリー公演、そしてニューアルバムリリース(!?)などを控えた2017年がやってくる。

    2017年最初を彩るのは1月のカーネギーホール公演だ。

    そのYOSHIKI CLASSICAL SPECIALを国際フォーラムで観て、想ったり気づいたりしたことを2回にわたって書き綴ってきたけれど、今回は、その3回目を書いて今年のブロマガを締めくくろうと思う。



    それにしても、今回(12/29)香港で起きた予想外のできごとには驚いた。

    そしてそのできごとに対処したYOSHIKIの動きには深く感動した。

    まさに、僕がこのブロマガを通して伝えてきたYOSHIKIの人間性の素晴らしさが、鮮やかに浮き彫りになったと感じたからだ。

    その姿と、国際フォーラム公演後YOSHIKIに会って僕が伝えたことには密接な関係があった。

    だから、今回はそのことを書いてみたいと思う。




    6日の公演で、美しい音楽とYOSHIKIの人生とファンとの深い絆に感動した僕は、YOSHIKIと会うため、案内されたフロアへ向った。

    YOSHIKIと会える場所へ着くと、やはりYOSHIKIと会おうとしている稲ちゃん(稲田和彦=I.N.A.)を発見したので、Visual Japan Summitの感想などを語り合いながらYOSHIKIの登場を待った。

    しばらくするとカメラクルーに囲まれたYOSHIKIが現れた。

    稲ちゃんとその連れの方達がYOSHIKIと和やかに会話をし、写真撮影などが終わると、僕はYOSHIKIに近寄り、「よっちゃん、ひさしぶり」と声をかけた。

    何も連絡をしていなかったから、僕の出現に驚いたのだろう、「ああーー!津田さん!!」と突然懐かしそうな表情に変わったYOSHIKIは、ギプスをした右手を僕の方に差し出した。

    常にYOSHIKIの身体を心配している僕は、「あらら、こんな大変な右手で・・・」とその手をいたわりながら、優しく握手をした。

    ありきたりな表現になってしまうけれど、その瞬間に会っていなかった時間は消えてなくなり、あの頃の、そしていつもの2人に戻っていた。

    僕は笑顔のYOSHIKIに、まず最初に伝えたかったことを言葉にした。

    「よっちゃん、映画『We Are X』のこと、ありがとう。僕ね、あんな形でXやYOSHIKIの力になれたのが、とても嬉しかった」

    YOSHIKIはさらに顔を綻ばせ、「ああ、『We Are X』ね!津田さん、大フィーチャーされてるよーー!!」
    と無邪気に応えてくれた。

    その声に思い切り笑顔になった僕は、今回、会って伝えたかった、とても大切なことを話した。

    「よっちゃんね、僕、あの映画のようにYOSHIKIの力になれると信じていることが他にもあってね、そのことをきちんと進めていきたいんだ。だから、スタッフの人たちとも打ち合わせをして、良いタイミングでよっちゃんとゆっくり話がしたい。僕はね、YOSHIKIの本当の素晴らしさを、深く理解しているファン以外の多くの人に伝えたいんだ。それが自分の使命だと思ってる。いいかな?」

    すると黙って真剣に聞いていたYOSHIKIは、

    「ああ、もちろんです。ぜひスタッフと話を進めて下さい」

    と、重要な話をしている時の、あの懐かしいしゃべり方できちんと返してくれた。

    そう、僕にはYOSHIKIとゆっくり話し合う時間が必要だったのだ。

    それは、2014年の秋、マジソンスクエアガーデン公演を観てから必要になった、とても大切な時間だった。

    その半年後、予期せぬ映画『We Are X』のインタビュー撮影という形で僕の使命は一部果たされたけれど、もっと本当の意味で使命を全うするために必要な時間・・・その時間をきちんともらうために、僕は今回YOSHIKIと会ったのだった。

    YOSHIKIが僕の要望をきちんと受けとめてくれたことは、僕にとって素晴らしいことだった。

    安心した僕は、本来最初に伝えるべきだった、コンサートの感想を伝えた。

    あの、共に頑張った2002年のシンフォニックコンサートと比べて遥かに素晴らしい内容だったこと、YOSHIKIの音楽の美しさが会場中を埋め尽くし、YOSHIKIがこれまで歩んで来た人生と、その毎日が結実したMCや映像が、観ているファンたちの心を夢の世界へ連れて行き、みんなに幸せを与えながら、さらに人生の中で大切なことも伝えてくれるコンサートの素晴らしさ・・・
    僕は気持を込めてYOSHIKIに語った。

    僕の感想に「ありがとう」と応えたYOSHIKIの顔を見ているうちに、僕はどうしてもひとつアドバイスをしたくなった。

    あの頃と同じディレクターの津田直士に戻り、YOSHIKIの耳元でそっと、

    「でね、相変わらずよっちゃん、たまにちょっとつっこむでしょ? あれだけ、気をつけてね。あとは素晴らしいから!」

    とささやいた。

    世界のYOSHIKIに、そういうことを伝える人が他にはあまりいないだろうから、せっかくの機会だと僕は思ったのだ。何しろ、カーネギーホール公演が控えている・・・

    すると、せっかく耳元でささやいたのに、YOSHIKIは大きな声で

    「そう、そう。つっこんじゃうだよね、僕!」

    と笑いながら応えるのだ。

    (まったく、何だかあの頃とまったく変わらないなあ・・・)

    でも、僕にとってはこれも幸せな瞬間なんだ・・・。

    YOSHIKIの笑顔を見つめながら、僕はその幸せに浸った。

    そして、2人でゆっくり話す時が本当に楽しみになってきた。

    僕たち2人の様子を微笑んで見守る水晶が視界に入ると、僕はYOSHIKIに話した。

    「そうそう、よっちゃんに大事なことを伝えなきゃ!僕ね、この年でとうとうアーティスト活動を始めることになったの。こちらがね、僕より30才も年下の、大切な音楽のパートナー、水晶!」

    すると驚いたことにYOSHIKIは「津田さんには本当にお世話になったんです」と言葉をかけながら、ずっと年下の水晶に向かって、スッと右手を差し出した。

    僕が最近、まるで神さまのようになってきた、と、このブロマガやTwitterで触れている、あの人間性が、まさに目の前で展開された瞬間だった。

    水晶もそのYOSHIKIの所作に驚きながら、自己紹介をした。

    その後、YOSHIKIと共に記念写真を撮り、他にもたくさんYOSHIKIと会う人が待っている場所を後にすることにした。

    最後に僕は再びYOSHIKIの耳元でそっと

    「よっちゃん、身体には本当に気をつけてね・・・」

    とささやいた。

    別れる時に必ず僕がささやく言葉。

    そしてその言葉に、なぜか少し寂しそうな表情で頷くYOSHIKI・・・。

    何もかもが、懐かしいあの頃と同じだった。

    YOSHIKIに手を振って別れ、水晶と共に会場の出口へ向いながら、胸の中に温かく残っている優しい愛情を確かめて、僕は気づいた。

    何もかもがあの頃と同じで・・・でも、あの頃はまだ全く見えなかった『輝く未来』がきちんと今、始まっている。

    ということは・・・

    そうだ、やっぱり何も間違っていなかったんだ、あの頃は・・・。

    当然なのかも知れない。

    だって、僕たちはいつも命懸けだったから・・・。



    ふと、心の中にしまってあった大切な記憶が、浮かんでは消えていく。

    それは、PATA、TOSHI、TAIJI、HIDEそれぞれのメンバーと、YOSHIKIとが笑い合ったりふざけ合ったりしている記憶だった。



    僕の考えは間違いではなかった。

    久しぶりに会ったYOSHIKIは、もはやXそのものだった。

    ひとりで孤独の中を闘い抜きながら、メンバーと共に歩んで来た人生と、それぞれのメンバーの人生すべてに責任を果たす・・・

    その壮絶な時間を経て『輝く未来』に辿り着いたYOSHIKIは、とても明るくて柔らかだった。

    YOSHIKI、もうこれ以上闘わなくてもいいんだよ、そう伝えたい気持でいっぱいになるけれど、YOSHIKIはやはり闘い続けるのだろう。

    でも、大丈夫。

    『輝く未来』が始まっているから、もう大丈夫。

    だから、僕が果たすべき使命は、もうひとつ。

    YOSHIKIとゆっくり話して、僕なりに多くの人に『今のYOSHIKI』を伝えること・・・。

    (ようし、気合い入れていこう・・・!)



    出口を出ると、寒い風が僕たちを包んだ。

    僕は「うはー、寒いね!」とつぶやき、水晶に尋ねた。

    「どうだった?YOSHIKIは。 実際に会ってみて・・・」

    途端に目を輝かせた顔を見て、僕はもう水晶が何と言うのか、大体想像がついた。

    2016年11月。

    僕は長い人生の中でたまに訪れる、素晴らしい夜を過ごしていることに気づいていた。


    (おわり)


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