年が明けて2019年がスタートした。

 広く世の中を見渡せば、良いことも悪いことも起きそうなものだが、自分にとって身近なところでは、昨年に引き続き良いことが増えていくだろう、という実感がある。

 そんな実感を持てる年頭もなかなか多いものではないだろうから、大変恵まれた年明けだと思う。

 そういえば、今からちょうど30年前の1989年も、恵まれた年明けだった。

 人生で初めてプロデュースを手がける、Xのメジャーデビューアルバム・レコーディングを、スタートするところだったからだ。

 ちょうどその一年前からメンバーと親交を深めていき、春にはYOSHIKIと名曲創りについての会話を深め、TOSHIとパフォーマンスに関する会話をするなど、新しい未来の可能性を切り開くために具体的なプロデュース作業を重ねていき、夏にはソニーミュージックとの契約を果たした上で音楽合宿を始め、そこで名曲「ENDLESS RAIN」が生まれ、その後業界内宣伝用の動画制作をして、続く秋の音楽合宿では引き続き各曲のアレンジを進め、冬に入って更なるアレンジ作業とリハーサルを経た上で、新しい年を迎え、いよいよこれからアルバムレコーディングが始まるのだから、何とも期待の大きな年明けだった。

 なぜなら、当時の僕のビジョンでは、このデビューアルバムがXの新たな未来を切り拓くからだった。

 それは、僕が当時のXを取り巻く評価とは裏腹に、Xの限りない可能性がその音楽性の高さにあると確信していたからだ。

 まだ一部のファンしか知らない、Xの本当の魅力が詰まったアルバムを完成させて、その素晴らしい音楽をソニーミュージックの力を活用しながら全国の津々浦々まで届ける、そんなビジョンの実現がスタートする1989年の年明けは、僕にとって恵まれた年明け以外の何ものでもなかった。

 では今年、2019年がなぜ僕にとって恵まれた年明けなのかというと、その理由は30年前の1989年とちょうど重なる。