【 ART OF LIFE ③ 】
 
 
 前回に引き続き、さらに「ART OF LIFE」の音楽的な解説を続けたいと思うが、この解説を書き始めて改めて強く感じたのは、音楽的な解説をしていくと、その背景には常に、YOSHIKIの生きかたや音楽に対する姿勢が色濃く存在している、ということだった。

 そしてそれらが皆、圧倒的なオリジナリティや100年残る作品だという大きな根拠になっていたりする。

 だからここでは、単なる音楽的な解説だけではなく、その背景となっているYOSHIKIの姿も同時に描いていくことが重要だと思った。

 そういったわけで、今回は速いリズムが始まるところから「ART OF LIFE」の音楽的な解説を始めつつ、同時にYOSHIKIが名曲を生むことのできる大きな理由のひとつ、「イメージの重要性」についても書いていきたいと思う。
 
 
 ******************
 

  7. RIFF

0cc0a6436686825494e030f92802f9a2261d0fe7

 バラードテンポだった「6.RYTHM in」から一転して速いテンポの「7.RIFF」が始まる。
 
 テンポは速いけれど、まだDrumsは全開の速いリズムパターンではなく、Kick(Bass Drums)が4つ打ち、ハイハットが16(16Beat)を刻むリズムだ。僕の譜面で
「7.RIFF」の横にリズム譜状の絵が書いてあるのは、このDrumsのリズムのことだ。 

 このリズムは、本格的な全開の「速いリズムパターン」が始まる前に演奏されることで、いよいよ速いビートが炸裂する、という期待感を煽る効果が大きい、YOSHIKIが得意とするドラミングだ。

 「Silent Jealousy」ならバラードリズムのサビの後でYOSHIKIの語りが流れる部分、あるいは「Stab Me In The Back」ならイントロでツーバスパターンのリフに続いて30秒あたりから登場する部分、そして「JADE」なら1番のAメロなどが、まさにこのリズムパターンだ。

 メロディーやコード進行と同じように、リズムでも、YOSHIKIはそれぞれのリズムパターンが醸し出す雰囲気を、適宜ベストなタイミングと配置で使い分ける。
 
 その基本となるリズムパターンはある程度決まっており、大まかに次の6つのどれかとなる。