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【夢と夕陽】71. 夢の始まり(16)
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【夢と夕陽】71. 夢の始まり(16)

2015-10-20 01:00


     居酒屋でメンバーと乾杯をして、僕が最初に話し始めたのは、だんだん確信になってきた「Xの未来」についてだった。
     
     聴かせてもらったアルバム曲から見えてきたオリジナリティ溢れる音楽性の限りない可能性、今の時代が必要としている刺激的な要素やバンドのあり方、メンバーの人間的な魅力とファンを惹きつけるカリスマ性、今よりずっと広いステージでより大きなパフォーマンスを展開している将来のイメージなどなど・・・。
     
     真剣な顔で聞いていたメンバーは、途中から嬉しそうに笑ったり、お互いに顔を見合わせて小声で話したりし始めた。
     
     やがてひと通り僕が話し終えると、まずリーダーのYOSHIKIが「嬉しいです、自信になります」と言い、それをきっかけにメンバー同士が賑やかに話を始める。

     騒がしい居酒屋だけれど、メンバーの顔を好奇心一杯で見ている僕には、周りの音は全く気にならない。
     
     「俺たち、絶対負けないですから」
     
     YOSHIKIがそう切り出すと、すぐにTAIJIが「津田さん、俺たち命かけてるから、何がなんでも日本一になりますよ」と多少凄みのある声で言い、続けて

     「このYOSHIKIって男はねぇ、とんでもない奴なんですよ。メンバーみんなYOSHIKIに惚れてるし、この男がとんでもないから、全員命かけられるんですよ」

     と、YOSHIKIへの尊敬と評価を熱く語る。
     
     YOSHIKIは「・・・っていうか、Xは色々なバンドのリーダーが集まったバンドで・・・それに他のバンドと違って気合いのある人間だけがメンバーのバンドなんで・・・」 
     
     主にYOSHIKIとTAIJIだが、よほどバンドに対する気持が熱いのだろう、『Xというバンドは・・・』というテーマで話が始まると、もうメンバーの会話が止まらなくなる。
     
     そのうちに、バンド結成当時のエピソードが話題になり、誰かが思い出話をする度に他のメンバーが「そうそう!!」と応え、思い出してはメンバーの笑い声が響き渡り、するとまた他のメンバーが「だったらほら、あれ・・・」という風に別のエピソードを話し始め、話す声と笑い声がどんどん大きくなっていく。

     これはいいタイミングだと僕が結成から現在までのバンドの歴史を尋ねると、さらに会話は熱を帯び始め、話す声も笑い声も店から苦情が出ないか心配になるほど大きくなり、そんなメンバーの顔を見ながら幸せな気持になっていると、突然YOSHIKIが僕に言った。
     
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