ヒデちゃん、お誕生日おめでとう。
凄いね、嬉しいよ。
そう。
石巻での震災復興チャリティーコンサートからスタートした、怒濤の国内ツアー
映画「We are X」のサンダンス映画祭での上映と世界的な広がりの可能性
そしてニューアルバムのリリースとウェンブリーアリーナでのロンドン公演・・・
ニューアルバムがリリースされたら、世界中のXファンが喜ぶんだね。
ファンはね、みんな気づいてる。
YOSHIKIの隣にヒデちゃんがいるって。
僕はさ、去年の横浜アリーナとMSG公演を観ていて気づいたよ。
ああ、ヒデちゃんがいるな、って。
だからね、苦しみの中から時間をかけてヒデちゃんと一緒に、もう一度新しい活動を始めたYOSHIKIを観て、偉いな、凄く頑張ったな、って、あの時、僕は泣きながら深く感動したんだよ。
ありがとうね、ヒデちゃん。
僕ね、ついこの間、懐かしい映像を観たんだ。
1989年のライブ映像。
そしたらさ、あの頃に戻っちゃった。
でね、はっきり思い出しちゃったんだよ、ヒデちゃんのナイフみたいな殺気を。
あの頃、ライブは全員殺気だらけだったよね。
ほんと、命懸けのライブだったよね。
5人が自由に自分らしく暴れていたからさ、僕にはPATA、TAIJI、TOSHI、YOSHIKI、そしてヒデちゃんがさ、それぞれ自分らしさに溢れているのを見ていて、幸せだったんだよ。
僕ね、あの頃ヒデちゃんが、時々自分ひとりの世界に入っているように見える瞬間が大好きだったんだ。
なぜって、そんな時のヒデちゃん、殺気が凄かったから。
怖いくらいだったよ。
そんな時ね、他のメンバーも黙ってヒデちゃんをひとりにしていた気がする。
後から何だったの、って尋ねることもあまりしなかったし。
でもそれがかっこ良かった。
怖いくらいにかっこ良かった。
でも不思議だね。
だってメンバーで一番ファンのことを考えていて、他のメンバーのことを考えていて、とびきり赤ちゃんのように無垢な心のヒデちゃんだったから。
殺気に溢れてて怖いくらいにかっこいい『HIDE』も、赤ちゃんみたいな優しい『ヒデちゃん』も、同じ人間だったから。
きっとそのふたつはヒデちゃんの深いところでつながっていたんだね。
ヒデちゃんの殺気は、ライブを観てるたくさんのファンを興奮させてた。
ギターを振り回して投げつけたり
強い照明やメガホンで挑発したり
ステージからカメラでファンを撮ったり
頭がおかしくなったように不思議な動きをしたり
仁王立ちになって微動だにせずファンを見下ろしていたり
メンバーがステージを去っても倒れたままずっとギターをかき鳴らしていたり
そんな時はいつも、ヒデちゃんひとりの世界だった。
でもそれがヒデちゃんそのものなんだ、ってわかるから
ファンも僕も『HIDE』が大好きだったんだ。
あのさ、
ヒデちゃんが初めて僕に心を開いてくれた、あの灰皿を壁に投げつけて泣いていたときも
「ART OF LIFE」の完成パーティーで、ふたり笑いながらビールの缶を投げつけていたときも
『hide』のツアー最終日の打ち上げで『今夜はずっと僕の横にいること』って言われてその通りにしていたときも
大事なときは、僕たちいつも横に並んでいたでしょ。
ヒデちゃんが左で、僕が右。
横に並ぶのが自然だった理由がね、いま想うと何となくわかるんだ。
きっと・・・
あれはさ、僕からのね『ヒデちゃん、ちゃんとわかっているよ』っていう気持の表れだったんだ。
『横にいるから大丈夫』っていう気持の表れだったんだ。
そしてね、それは何よりも
ヒデちゃんがそういう生きかたをしていたから
なんだと想うんだ。
大きめのサングラスをしていても
ヒデちゃんが
ファンを
メンバーを
優しい目でみつめているのがよくわかったよ。
黙ってね
何もしゃべらずにじっと見つめてね
そうして気づいたこと、気になったことを、
どうすればいいのかひとりで考えていたんだよね、きっと。
しばらくして、ヒデちゃんが考えたことを聞いて
その優しさに心打たれていたんだ。
毎回ね。
聞くたびにね。
そんなヒデちゃんがいつしかひとりのアーティスト『hide』になって
とてつもなく魅力的なアーティスト『hide」になって
たくさんのファン、クリエイター、ミュージシャン、アーティストに影響を与えたのはね、
すごく自然なことだと僕は思ったよ。
自分自身を犠牲にするくらいに
自分に対して厳しくて
なのに、誰よりも人の気持を考えて
自分にしかできない素敵な作品を生んで
それを受け取った人が笑顔になるように
たくさん工夫をして ちゃんと届ける
その笑顔を見て
喜んで
安心して
手伝ってくれた仲間をねぎらう
みんな、大好きなんだよ、ヒデちゃんが
ヒデちゃん、お誕生日おめでとう。
そしてもうひとつ
ヒデちゃん、「We are X」で加速していく全世界展開 おめでとう。
ヒデちゃんの優しさと強さが
たくさんの人たちを幸せにして
今、世界に広がっているけど
その始まりで
怖いほど殺気に溢れた
『HIDE』がいたんだよね
それを想い出して
僕は幸せになったんだ
だって
その姿が
『自分に正直であることが一番大切なんだ』
って教えてくれるから・・・
作品だけじゃなくて
その生き方も
ずっと永遠に
伝わっていくんだね
それが『X JAPAN』っていうバンドなんだね
ありがとう ヒデちゃん
出会えてよかった
ありがとう ヒデちゃん
本当にありがとう
2015年12月13日 津田直士