TOSHIが突然、進化し始めた。
このことを確認した僕は、すぐに新たな動きをした。
いよいよ新しいセクションのメンバーにXというバンドを見せる時が来たのだ。
鹿鳴館ワンマンライブの翌日、僕は新しいセクションのミーティングで全員に伝えた。
Xというバンドのプロデュースをこのセクションで手がけたいこと。
そのために、XとSony Musicとの間で契約を締結したいこと。
なるべく早めにXのライブを観て欲しいこと。
突然の提案だった。
でも、あっけない程すんなりと、その提案は全員に賛成された。
きっと最近の僕の動きでみんな気づいていたのだろう。
僕がXのメンバーと共闘を始めていることを。
そしてその志が高く、未来を見つめるエネルギーがとても強いことを。
3月に新しいセクションが発足してからもう3ヶ月経っていた。
発足直後、毎日のように繰り返していたディスカッションもブレーンストーミングも、最近はすっかり落ち着き、各自が新たなビジネスの可能性につながる情報収集を始めていた。
時折、エンターテインメント業界で優れた仕事をしている人を招いて話を聞いたりもした。
選抜メンバーによる海外視察の予定もあった。
そんな中、Xとの共闘を始めていた僕には、新しいセクションのメンバーとは全く別の考え方を構築し始めていた。
それは新しいセクションのあり方に大きな影響を及ぼすことだった。
僕はそれを誰にも話さず、自分の心の中だけで構築していった。