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【ヤクザのイロハ】 盾として生きる! マニュアルにみる親分のボディガード心得とは?
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【ヤクザのイロハ】 盾として生きる! マニュアルにみる親分のボディガード心得とは?

2013-03-13 20:00
    【ヤクザのイロハ】
    盾として生きる!

    マニュアルにみる親分のボディガード心得とは?


     ヤクザのイロハは、本来、親分や先輩たちの背中をみながら自分で学びとるものだった。が、やはりいまの若い世代にはそれなりのマニュアルが不可欠なようで、北関東の某組織は、長い時間をかけてボディガートの心得を明文化している。もちろん、これは特A級の部外秘で、雑誌などの取材でも取り上げようとしても、なかなかオーケーが出ない。なにしろ、ヤクザ、それもボディガードの心得だけに、日常生活の至るところに非合法がつきまとうため、記事にされるとそれを証拠に逮捕されかねないからだという。


     実際、警察には雑誌のヤクザ記事を専門に解析する部隊が作られている。

    「実話誌などはかなりヤクザに気を遣い、やばいことは絶対に書かないようにしているが、やはり記者も人間で、ときおり、ちらりと本音が出る。そうした記述を解析し、それをもとに裏をとっていくわけだ。関東の他、山口組のお膝元である神戸を担当する兵庫県警などにもそうした部隊があると訊いている。実際、逮捕された例もあるそうだよ」(関東広域組織幹部)

     さて、実際にその心得をみていこう。

     面白いのはその冒頭にでかい文字で「道具の携帯禁止」と書かれていることではないか。道具とはヤクザ社会で拳銃を意味する隠語である。つまりこの組織のボディガードは丸腰なわけだ。意外な印象を受けるかもしれないが、実をいえば現在、ほとんどの組織でこうした通達が出ている。一昔前なら、まず間違いなくガード役の組員は拳銃をポケットに、あるいはクラッチバッグに忍ばせていた。

    「攻撃は最大の防御。撃ち殺されるなら撃ち殺した方がいい」(独立組織幹部)

     撃たれる前に撃つ。そのためにボディガードたちは年に数回、海外で拳銃の訓練を積んでいたという。

     スパイ映画さながらに仕込み銃などが持てはやされたのもこのころが最初だろう。いまも街の鉄工所などを巻き込み鉄パイプにライフリングを施して、自作の特殊拳銃を作るヤクザがいるが、それはもはや趣味の域。いまのボディガードはディフェンスだけを考えており、武器といえばナイフ(といっても飛行場の検査をくぐり抜ける細工がしてあり、十分に人を殺傷できる能力がある。詳細は控えるが、実際に試したところ羽田、大阪、徳島、福岡、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄の各空港で持ち込みできた。ヤクザがその気になればハイジャックはたやすいだろう)くらいが関の山だ。拳銃で襲ってくる相手にはどうしたって体を盾にするしかない。ボディガードたちの務めが大きく様変わりしたのは、山口組の直系組長たち(これには司忍六代目も含まれる)が、組員の拳銃所持で有罪判決を受けたためで、以降、山口組はもちろん、ほとんどの組織が拳銃の日常的な携行を禁止するようになったのだ。

     移動の多くは自家用車を使うため、こうした際の心得にはかなりの項目がある。

    「運転手、およびその付き添いは、防弾車を常日頃から手入れすべし」

    「義理事などで遠出することが分かっているときは、前日に必ず車を洗車すべし」

    「出発のおよそ30分前から、携帯電話をつかって道路の渋滞情報をチェックすること」

     このあたりは、一般的な社用車の運転手と相通じるものがあるだろう。

     が、やはりヤクザはヤクザ。なかには特殊な項目もある。

    「信号で止まる際は、必ず前車と三メートルほどの距離を置いて停車すべし」

    「護衛の他車があるさいは、必ず総長の乗っている側に停車すること」

     というのは、いざ襲撃を受けた際、相手の攻撃をかわすための必須条項。

    「親分と一緒に外出する際は、同じ組の人間、または自分の家族にもその行き先を教えてはならない」

     これもボディガードには必須の条件で、実際、親分の居場所はどの組織でもトップシークレットだ。余計なことを話すと、それを訊いた側を苦しめるからである。本当に知らなければ、警察から激しい尋問を受けようと、対立組織に拉致されようと、

    正直に答えればいい、というのがヤクザたちが身につけた自分たちを守る術なのである。

    〈宴席での心得〉という項目も、なるほどヤクザの特殊事情を色濃く反映している。

    「相手の組長から『こちらに座ってください』『一緒に食事してください』と誘われた場合、『ありがとうございます』と礼儀正しく挨拶しなくてはならないが、総長(自分の親分)から指示があるまで、決して持ち場を離れてはならない。これが酒の席の場合、総長から誘いがあっても、必ず二度は断ること。三度目に総長から言われたときだけ、ごく少量を口にする。酔っぱらうなど言語道断である」

     いやはや、まったくまどろっこしいが、当の総長に聞くと、ここまで細かくマニュアル化しなければならないほど、最近の若い衆は使えないのだという。

    「遠慮とか分別とか、昔はそんなこといちいち教えなくても、若い衆はきちんと分をわきまえてた。だが最近のヤツらは、素直というか、馬鹿というか、言われたことしかできねぇんだよ。お茶漬け食って行け、といわれれば、みな『はい』と答える。お前は馬鹿かといっても、きょとんとしているからね」

     そう解説され、思わず「総長は京都の生まれですか?」と質問してしまったが、「馬鹿野郎。俺は江戸っ子だ!」との返答だった。残念。ヤクザの中には、それだけ日本人らしさが凝縮していると考えるのが適当かもしれない。

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