「フクシマ」の長い闘いはこれからが本番だ。
3・11直後から、私は「3、4年後には現実を直視しなくてはならない悲しい瞬間がやって来るだろう。それまでに責任ある立場の者は(政治、行政、メディア)放射能事故の現実から目を背けてはならない、と再三警告してきた。
だが、いまだに日本の言論空間は遠慮がちに、そして自らの失政と隠蔽と誤報を隠しながら、放射能から微妙に目を背けている。
「現実を気付かせるのは、『若者とよそ者とバカ者だ』だけだ」という自由報道協会での大槌町の芳賀自治会長の言葉にもあったように、私は震災後、意図的に「バカなよそ者」であり続けようとして努力してきた。
例えば、「メルトダウンという言葉を使うな」と同業者に言われれば敢えて使い、「避難範囲は20キロで問題ない」と官房長官が言えば、放射性物質は同心円状には広がらないと抵抗し、「死の街などない」とマスコミが大合唱すれば、「間違いなく死の街だ」だして大臣の言葉を反復し、放射性物質は稲わらに付着し牛が危険だとすれば、それこそスケープビーフだ、と反旗を翻してきた。