小泉純一郎首相(当時)が「郵政解散」を決断したのは2005年8月8日。それから一か月後の9月11日、総選挙において自民党は300議席超という空前の勝利を収める。
そして今年の夏、ぐだぐだの消費税国会に火をつけたのもやはり同じ小泉氏であった。
「三党合意を破棄しろ。こんなチャンスはない。野党が解散の主導権を握っているんだ」
約3週間前、小泉氏は自民党幹部と連絡を取っては、このように焚き付けていたという。
だが、ぬるま湯政局に慣れている自民党幹部の反応は鈍い。小泉氏の進言を事実上放置し、自らの保身に回る。そこで小泉氏が「刺客」に立てたのが、もうひとりの小泉、そう息子の小泉進次郎衆議院議員である。
〈自民党の小泉進次郎青年局長ら若手衆院議員7人は1日、党本部で谷垣禎一総裁と会い、社会保障と税の一体改革関連法案に関する民主、公明両党との3党合意を破棄し、参院で法案を否決するよう求めた。野田佳彦首相を今国会中
の衆院解散に追い込むのが狙いだ。谷垣氏は「重く受け止める」と述べるにとどめた。
この後、記者会見した小泉氏は「3党合意は自民党の考え方が基本だが、政府・与党の態度はそれとは異なり、合意の基盤は崩れている」と指摘。「政局(優先)との批判があろうとも、本気になった姿を見せないと到底解散には持
ち込めない」と強調した。
自民党内では、解散戦略を描ききれない谷垣氏に対し、中堅・若手を中心に不満がくすぶっている」(時事通信/2012/08/01-16:52配信)
困ったのは谷垣総裁だ。仮に若手の意向に従って3党合意の破棄となれば、党内で政治責任を問われるのは必至だ。そうなれば、秋に予定されている自民党総裁選再選にも黄信号が灯る。
かといって、野田民主党の要求を単に呑むだけで、唯々諾々と三党合意に従うという選択肢ももはやなくなってしまった。社会保障・税一体関連法案成立後の解散を約束させない限り、谷垣総裁の立場は危うい。