デモでもなく、リーダーも存在せず、ツイッターでの呼びかけを主とする自然発生的な抗議行動は前代未聞であるがゆえに、その行く末もまた不明である。
主催者である首都圏反原発連合の幹部も、そのことは重々承知しているようだ。慎重な言葉選びとより練られた方針で、混乱を未然に防いでいる。
これまでのデモであるならば、敵対勢力である警察などとは決定的な対立に至ることもあったが、彼らはそうではない。
たとえば、所轄である警視庁麹町署との話し合いや抗議行動に際しての関係各所への連絡など、友好的な関係を保っている。
13の団体と不特定の個人が緩やかに連帯して発生したこの新しいスタイルの抗議活動は、政府や霞が関にとってはかなりの脅威のようだ。
閣僚(政治的理由により匿名希望)のひとりに聞くと、「どう対応していいのか正直わからない」と本心を吐露し、原発推進派の民主党議員のひとりに聞くと、「政治家をうまく取り込んでいる。誰が絵を描いているのかわからないが
相当手ごわい」と答えた。
また、警備を担当する警視庁の役人のひとりに聞くと、「相手が友好的に来る以上、こちらも友好的にならざるを得ない。絶対に間違いの起きないように細心の注意を払っている」と現場ではうかがい知れない緊張感を伝えてくれた。