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【対談】吉田浩一郎×宇野常寛 それでもクラウドソーシングは働き方を変えるのか ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.591 ☆
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【対談】吉田浩一郎×宇野常寛 それでもクラウドソーシングは働き方を変えるのか ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.591 ☆

2016-05-16 07:00

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    【対談】吉田浩一郎×宇野常寛
    それでもクラウドソーシングは働き方を変えるのか
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.5.16 vol.591

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    今朝は、クラウドワークスCEOの吉田浩一郎さんと、宇野常寛の対談をお届けします。先日、クラウドワークスが公開した決算資料から、月収20万円以上の利用者が111名しかいないことが明らかになり、議論を呼びました。「新しい働き方」として世界的に注目を集めるクラウドソーシング、その日本における牽引役とも言えるクラウドワークスが突き当たった「壁」とは何か。そしてそれでも期待を集めるクラウドソーシングの可能性とは何か。クラウドワークスを率いる吉田浩一郎さんに宇野常寛がお話を聞きました。


    ▼プロフィール
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    吉田浩一郎(よしだ・こういちろう)
    パイオニア、リードエグジビションジャパンなどを経て、ドリコム執行役員として東証マザーズ上場を経験。2011年11月に株式会社クラウドワークスを創業し、日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を展開。創業3年でマザーズ上場、登録会員75万人、利用企業は11万社にのぼる。2015年に経済産業省 第1回「日本ベンチャー大賞」ワークスタイル革新賞受賞、グッドデザイン・未来づくりデザイン賞受賞。著書に『クラウドワーキングで稼ぐ! ―時間と場所にとらわれない新しい働き方(日経新聞出版社)』『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる(ダイヤモンド社)』などがある。

    ◎構成:菅 葉奈


    ■ 年収250万円の利用者が100人という衝撃

    宇野 数年前から僕と吉田さんはクラウドソーシングの導入による働き方の変化、そしてその向こう側にある社会そのものの大きな変化の可能性について議論してきました。いちばんまとまっているものとしては、2年前に河出書房新社から出版された『静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話』(以下『ブループリント』)という対談集での議論があるのだけど、あれから日本における働き方の状況も変わってきたと思います。実際クラウドソーシングも普及したし、クラウドワークスという会社も大きく成長した。しかし同時にクラウドソーシングは当時期待されたような「働き方革命」を起こせているかというと、残念ながらまだそこには至っていない側面が大きいと思います。いろいろな問題点にも突き当たっているはずです。その辺について今日は「ぶっちゃけどうなの?」という話をしたいです。微妙に炎上騒ぎもありましたよね。

    吉田 この場では隠し事はできないのでね(笑)。

    宇野 そういったところも含めて、お話できればと思って今日はお呼びいたしました。
    『ブループリント』には「2016年までに年収500万円の人を1万人作る」という吉田さんの発言があります。出版から2年近く経って、最近クラウドワークスのユーザー分析の資料を発表されていましたよね。

    吉田 その中で申し上げたのが「月収20万円以上の利用者が、111人誕生しました」ということです。年収250万に換算すると100人くらいですね。

    宇野 「年収500万円の人間が1万人」と「年収200万円の人間が100人」の間には、絶大な差がありますね。

    吉田 そうですよね。2年前は、どれくらい伸びるかはやってみないとわからないという状況の中で、ベンチャーとして目標を大きく掲げた、というのが実際のところです。
     「月収20万円以上の利用者が111名」を公明正大に言うべきか、もう少し先に、数字がついてきてから言うべきか、という議論が社内でありましたが、我々としては、炎上したとしてもすべて公表して、ユーザーの皆さんと一緒に少しずつ着実に歩んでいこう、という結論に至り、発表しました。

    宇野 よくぶっちゃけましたよね。炎上するって分かっていましたよね?

    吉田 当然、炎上するとは思っていました。
     しかしクラウドソーシングは、このまま「魔法の杖」のイメージで語られ続けるべきなのでしょうか。我々としては、株式上場もしたし、公明正大に隠し事なしに歩んでいきたい。私は去年から「働き方革命」を提唱していますが、この「働き方革命」を掲げる上で、これはスタートラインなんです。
     もちろん『ブループリント』出版当時から見れば、2年後にどうなったか、という話なんですが、我々としては現状の数字を開示することで、ここをスタートラインにしていきたい。「働き方革命」のはじまりを設定したということです。

    宇野 ちなみにこれも、ぶっちゃけて聞きたいんですが、吉田さんの実感として、月収20万円の数は思った以上に伸びていないですよね?

    吉田 宇野さん、今日は突っ込みますね!

    宇野 いや、単純に聞きたいんですよ。大事なのは当然「それ、みたことか」と得意になって指摘することじゃなくて、なぜ伸びていないのかを検証すること、そしてこれから伸ばして行く方法を考えることじゃないかと思うんです。そして日本におけるクラウドソーシングの代表的な企業の社長である吉田さんは、「クラウドワーカーが食べていくことが難しい理由」について、日本で最も詳しいはずなんです。20万円クラスの収入が、クラウドワーキングで得られない一番の理由は何なんですか?

    吉田 いろいろありますが、1つは、クラウドソーシングの仕事は、普通の仕事と手間や労力は変わらない。そこに誤解があるのかなと。クラウドソーシングには、今までの仕事よりも手軽にできるイメージがあります。ところが、やってみると思ったよりも大変で、そこを乗り越えられないことが多いです。
     例えば、子育てママで働きたい人がいるとして、子育ての合間に、1日に1回メールをチェックすればいいんじゃないか、くらいに思っています。でも東京の会社はフルタイムで動いているので、1日に20回はメールのやり取りをしたいと考えます。そうなったとき、「そこまでして働きたくない」と思って仕事を辞めてしまいます。

    宇野 クラウドワークスは、子育て中の主婦層や、定年退職後の団塊世代のパートワークをサポートすることで伸びていきましたが、彼らの目的は、それで生活することではないですからね。


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