『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』
機能から逆算されたキャラに厚みをもたらすファンコミュニティと舞台装置
『まどか☆マギカ』の魔法少女たちは各々が個性的だ。
だが周知のように、作品人気を受けた二次創作の盛り上がりなど、ファンコミュニティが付け加えた数々の属性が、公式設定にもフィードバックされていったのだ。この方向性は前後編の劇場版でも健在だ。
ほぼ総集編となる内容だが、おおまかに言うなら物語の「舞台装置」の扱いに微調整が加えられている。
ワルプルギスの夜あるいは「舞台装置の魔女」という本篇最大の災厄は、テレビ版ではループのトリガーとして冒頭から現れていたが、劇場版では後編ではじめて登場する。
さらにラストの世界改変後に、見滝原のビル群が健在であることが示され、13年公開予定の新作「叛逆の物語」の舞台との共通性が強調されている。
こうした演出は、テレビ版では数々の「飛躍」として表現されていた場面の移行を、キャラたちが活躍する舞台の充実に置き換える。
それだけでなく、機能から逆算されたキャラに新たな役割を与え、シナリオ上主役を演じた鹿目まどかと暁美ほむら「以外」の三人の魔法少女にもまた、新たな厚みをもたらしていくだろう。
筆者は佐倉杏子の活躍に大いに期待したい。