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鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第4回 なぜサウジアラビア人にレジ打ちをさせるのは難しいのか【第4木曜配信】
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鷹鳥屋明「中東で一番有名な日本人」第4回 なぜサウジアラビア人にレジ打ちをさせるのは難しいのか【第4木曜配信】

2017-09-28 07:00
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    鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。今回のテーマは仕事です。あまり働かないイメージがあるというサウジアラビア人の若者たち。その背景には、石油産出国ならではの事情がありました。サウジアラビア人はレジ打ちにも一苦労? 期待の星、皇太子殿下の指揮下で進む国家戦略とは? 鷹鳥屋さんが現地のレポートを交えてお伝えします。

     今回、著者の鷹鳥屋はサウジアラビア皇太子殿下麾下の財団に関する案件でサウジアラビアに滞在しておりますので、この原稿は、サウジアラビアのリヤドよりお届けさせて頂きます。

    サウジアラビアで働く人々とサウダイゼーションの今

     サウジアラビアは世界有数の入国しにくい国とは言われていますが、それは旅行やバカンスで訪れることが難しいという意味であり、3200万人近くいる人口のうち約800〜900万人近くは移民人口(経済移民)であると言われています。その移民人口の構成は非産油国のアラブ諸国、東南アジア、アフリカなど、数多くの地域からサウジアラビアへ働きに来ている人々です。この出稼ぎ労働者とも言える層がサウジアラビアのブルーカラー及びホワイトカラーの多くの部分を占めておりました。これはサウジアラビアだけでなくUAEやカタールなど中東の産油国で主に見られる光景だと言えます。私はこの5年ほどの間に1年に1〜2回ほどサウジアラビアを訪れる機会がありましたが、毎年行く度に感じることの一つに、ホワイトカラーだけではなく、様々な分野においてサウジアラビア人が就業する比率が全体的に増えているという点が挙げられます。ここまで読んで、自国の経済を回すには自国民が働くのは当然では? と思うお方もいるでしょう。しかし、今まで産油国の経済(特にブルーカラーや一部ホワイトカラー)を支えていたのは移民労働者が主だったのです。

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    ▲現地の移民労働者(バングラデシュ人)と著者 リヤドにて

    あまり働かない?アラブの若者達

     ですが、経済を全て移民任せにするわけにもいきませんので、サウジアラビアには「サウダイゼーション」と呼ばれる制度が存在しています。サウジアラビアで営業活動、業務を行う会社では雇用する労働者の一定数をサウジアラビア人により構成しなければならないという制度です。この制度は現地に進出をする企業にとってはなかなか難しい制度の一つです。優秀な人材はやはり現地政府や公社、企業に勤めたがるため、場合によってはスキルが高くない、もしくは勤労意欲がそこまで高くないサウジアラビア人を雇わなければならないという現実があります。実際いざ雇っても、一日中新聞を読むか同僚とおしゃべりをするか、携帯をいじるだけなのに高給取り、というサウジアラビア人労働者に悩まされた日本企業の方々の怨嗟の声は過去多くありますし、現在進行形の問題とも言えます。ちゃんと会社に来ればまだいい方で、会社にも来ない社員まで存在しています。
     サウジ以外のとある某産油国で国立病院の人事部に勤務している私の友人は
    「今日は英語のメールを5件書いて送ったから疲れたよ」
    と一日の就業時間内における自身の圧倒的な業務パフォーマンスを私に自慢気に話してくれたりしました。朝職場へ行って新聞を読み、Facebookを投稿してアプリゲームに興じた後にメールを確認して返信し、昼の2〜3時に帰宅する彼は年収900万円近くでした。(産油国の多くでは所得税がかからないため年収=手取りの収入になります)
     これはサウダイゼーションの比率維持のためだけに雇っているというケースになります。この制度は勤労意欲に乏しいサウジアラビア人をさらに甘やかすだけの制度とも言えるのですが、そうでもしないとサウジアラビア人が進んで雇用されるということは決してありません。現地進出企業・外資系企業は必要コストとして甘んじて受けるしかなく、サウジアラビア人社員を名ばかりの管理職や重要ではないポストに置く、もしくは中央政府や現地企業の血縁や2世などを採用してビジネスを円滑に進めるための存在として確保するなどの方法を対策として取ってきました。もちろん産油国でもエリート層、もしくは超エリート層の方々の知力、見識は素晴らしいものがあり、そのような方々を雇えればいいのですが、現地進出企業がサウジアラビア政府の高級官僚並みの給与提示ができない、またそのようなエリート層は民間企業に行きにくいという事情があります。このサウジ政府や公社などがもたらす高給はサウジアラビアが原油を軸とした鉱物資源から得られる莫大な収入をベースにしたものであり、資源高が続く限り維持されるものでありました。 


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