
平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と遊び』。今回は、西荻窪の名店「しゃんしゃん」でのひとときから、友人・Kさんの珍妙なエピソードまで――人と店、遊びをめぐる一篇をお届けします。
脚本家・井上敏樹エッセイ『男と遊び』第72回
男と塾 井上敏樹
西荻窪の駅から歩いて十分ほどの所に『しゃんしゃん』と言う焼鳥屋がある。牛や豚も出すから正確に言えば串焼きだが、ここがなかなかの良店だ。まず、店構えがいい。大通りから少し外れた所に建つ適度に古びたその店にはここは……と食べ慣れた者ならピンと来る雰囲気がある。
サッと暖簾をくぐりガラッとドアを開けると、40がらみの主人が『らっしゃい』と威勢よく迎えてくれる。カウンターに座りおしぼりで手を拭きながらさてさて……とメニューを眺める。私が好きなのはガツシンとかエンガワとかの主にホルモン系である。コリコリした、むにゅむちゅした、ゴツゴツした、歯ごたえが好きなのだ。