今朝のPLANETSアーカイブスは、フジロックやロック・イン・ジャパンなどの「夏フェス」について論じた『夏フェス革命』の著者レジーさんのインタビューです。夏の定番イベントとして定着したフェスは、アーティストの露出からファンのあり方に至るまで、日本の音楽業界を大きく変えました。黎明期からフェスに通い続けているレジーさんに、今、フェスで何が起きているのかをお聞きしました。
【書籍情報】
環境を批評することで見えるもの
――昨年12月に刊行された『夏フェス革命』のお話を伺っていきたいのですが、まずはレジーさんの自己紹介からお願いします。
レジー レジーという名前で音楽ブロガー・ライターをしています。音楽と関係のない会社で働きつつ、社外では音楽についての文章を書いていて、音楽サイトのReal Soundや音楽雑誌などにも寄稿しています。
ライターを始めたきっかけは、2012年の夏に立ち上げた「レジーのブログ」です。そこでの記事が話題になったことで、商業媒体に声をかけてもらったり、あとはPLANETSの「
いま、音楽批評は何を語るべきか」にも呼んでいただきました。会社員をしながらライター活動をするにあたって、宇野さんの「
文化系のための脱サラ入門」には大きな影響を受けましたね(笑)。
――『夏フェス革命』の内容についても、改めてご紹介をお願いします。
レジー 夏フェスというものが日本で広く知られるきっかけになったのは1997年、フジロックフェスティバルの第1回が開催された年です。当時「夏フェス」という呼称は存在していませんでしたが、それから約20年の間に、フェスの種類も参加人数も大幅に増えて、音楽業界ではフェスの盛り上がりが非常に注目されるようになってきました。
世の中に浸透しつつあるフェスですが、初期のフェスに参加していた人と、今現在フェスに行っている人は、だいぶタイプが違うのではないか。毎年フェスに通っている中で様々な変化を感じていたんですが、その背景にある構造を解き明かせないか、と考えたのが本書の出発点です。
この本では、三つの視点からフェスの本質を明らかにしようとしています。
一つ目は、「ライブの時代」におけるフェスの位置付けと、それに影響を受けたアーティストたちの活動の変化という音楽業界的な切り口。
二つ目は、SNSの拡大の中で、フェスがどう変化していったのか。僕がフェスの変化を実感したのは2006〜2007年頃ですが、これはmixiの普及とほとんど同時期なんですね。また最近では、スマホの登場も大きな影響を与えていて、そういった関係性について考える社会学的な視点です。
三つ目はビジネス寄りの見方です。僕は普段会社で事業のコンサルティングに関わっているので、そういう視点から現在のフェスがビジネスとしてどんな特徴を持っているのかを明らかにしたい。
この三つの論点からのフェスの分析が、この本の大枠になります。