AKB48最新アルバム
『次の足跡』全曲レビュー
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2014.2.11 vol.007

──「僕たちの足跡は、先にある」
人気メンバーの卒業と新人の台頭で、転換期にあるAKB48。最新アルバム『次の足跡』全37曲を宇野常寛が一言レビューします! (※ 昨日のメルマガの予告から変更して、今日はこの記事を特別配信いたします。予告した尾原氏と宇野の対談は、明後日に配信となります)

「次の足跡」
(こちらから試聴できます)
 
 
【TypeA,B Disc1】
 
■「恋するフォーチュンクッキー」★★★★★
作詞:秋元康 作曲:伊藤心太郎
おそらくAKB48はこの一曲をもってして日本の歌謡曲史にその名前を残すだろう。それも指原莉乃の名前とともに。彼女は他のどのメンバーとも異なり、秋元康の後継者的な存在となりつつあり選抜総選挙も人気投票からグループへの貢献度を競うゲームに半ば書き換えることに成功している。
この指原という存在を念頭に極めてコンセプチュアルにプロデュースされた本作は、その自主制作動画のブームも相まって国民的「音頭」として定着しつつある。「知らぬ間にリズムに合わせ、つま先から動き出す」ように自主参加する人々のつながりが自己増殖していくさまは、ポスト3.11のあたらしい「つながり」の可能性すら感じさせる。

※宇野常寛の「恋チュン」論はこちらも参照!
※「恋するフォーチュンクッキー PLANETS ver. 」はこちら
 
■「LOVE修行」★★★
作詞:秋元康 作曲:石井亮輔
歌:AKB48研究生
青木宏行という編集者の名前は、FLASHスペシャルのあやなん&さっほーのグラビアを実現したことによって、世界文化史に残る。曲は普通にいい。
 
■「さよならクロール」★★★
作詞:秋元康 作曲:渡辺和紀
映画監督としての蜷川実花は評価出来ないが、このMVは傑作である。「映画」的な統合された映像ではなくて、断片に解離した映像を音でつなぐのがMVであり、彼女の才能はここでこそ発揮される。楽曲は印象に残らないと言われるが、おそらく歌いだしを強く、アップに解釈するだけでまったく異なる印象の曲になるだろう。