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東京オリンピックでテロは難しいのか?――イスラム系の人々をリストアップする警察の監視力(黒井文太郎)/無料公開 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 号外☆
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東京オリンピックでテロは難しいのか?――イスラム系の人々をリストアップする警察の監視力(黒井文太郎)/無料公開 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 号外☆

2015-09-18 17:00

    東京オリンピックでテロは難しいのか?
    ――イスラム系の人々をリストアップする
    警察の監視力(黒井文太郎)/無料公開
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2015.9.18 号外

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    2020年の東京五輪計画と近未来の日本像について4つの視点から徹底的に考えた一大提言特集『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』(以下、『P9』)。その『P9』の中から、特に多くの人に読んでほしい記事をチョイスし、12日連続で無料公開していきます。
    第5弾となる今回は軍事評論家・黒井文太郎さんの寄稿です。イスラム過激派による軍事テロ、サイバーテロなどの可能性をシュミレーションし、東京のディフェンス力を解き明かします。

    『PLANETS vol.9』連続無料公開記事の一覧はこちらのリンクから。
    ※無料公開は2015年9月24日 20:00 で終了しました。

    ▼執筆者プロフィール
    黒井文太郎〈くろい・ぶんたろう〉
    1963年生まれ。軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障など。近刊に『イスラム国の正体』(ベスト新書)。

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     テロというとイスラム過激派によるそれを思い浮かべる人も多いが、日本で国際テロ犯罪を起こすのはかなり難易度が高い。理由の一つとして、武器を国外から持ち込むことも、国内で現地調達することも、どちらも難しいことが挙げられる。アメリカやヨーロッパ諸国に比べれば、桁違いに困難だと言っていいだろう。
     もう一つの大きな理由は、日本にはテロ活動をしやすい下地がないことだ。たとえばイスラム系人種の居住者はもともと少ないので目立ちやすいし、警察の平時監視力も高い。全共闘時代、警察は小さなアパートも一軒一軒回ってリストアップする「ローラー作戦」を展開していたが、現在はイスラム系の人々に対して同じことを行っているばかりか、全国のモスクを回って要注意人物をリストアップまでしている。よく知られているように、日本の警察の検挙率の高さは、この監視能力の高さと直結したものだ。もし私がイスラム過激派なら「東京でテロを起こすのは面倒」と考えて、他の国の都市をターゲットにするだろう。
     ただし、テロに対して万全の備えがあるかというと、決してそうではない。特にローテクなテロ犯罪の実行はたやすく、東京の地下鉄にガソリンを撒いて火を放てば何十人もの人を殺すことができるだろう。わざわざサリンなど用意しなくても普通に手に入るもので十分だ。肥料店で販売している化学肥料などを使って手製の爆弾を作ることもできる。警察も肥料店にやってくる客はマークしているというが、客全員をチェックすることは不可能だ。
     また、確かに日本国内での武器の入手は難しいが、一旦手に入ってさえしまえば、重要施設で大勢の人質を取ることは簡単にできる。欧米では重要施設の警備員は武装していることが多いが、日本の民間警備員はまったく武装していないからだ。さらに欧米のように数分でSWAT(火器で武装した特殊部隊)が到着する態勢も整っておらず、現場の判断で銃撃戦や突入作戦などが行われることもない。そもそも日本の警察は銃撃戦に不慣れであり、テロリストは犯行にたっぷりと時間をかけることが可能だ。日本ではテロ犯罪自体が少ないため、警備のハード部分は脆弱というほかない。
     もう一つ、日本がもっとも弱い部分がサイバーテロ犯罪である。現在も中国、北朝鮮、ロシアの犯罪組織などからハッキングが行われているが、有効な手立てが打てないでいる。今のところは日本語という言葉の壁もあり、サーバーをダウンさせる程度の犯罪で済んでいるが、当該国の言葉に通じたハッカーを金で雇うロシアンマフィアの例もあるため、オリンピックまでの間に日本人ハッカーが目をつけられる可能性は十分にある。電気、水道、金融などのインフラが狙われれば社会は混乱するし、病院のサーバーがダウンさせられれば重篤な患者は死に至るだろう。
     原因は、警察や政府、官公庁のサイバーテロ対策が後手に回っているところ。そして、とにかく人材が足りないことに尽きる。セキュリティをIT業者に外注せざるを得ない状況だが、業者は一般企業のセキュリティも請け負っているので後回しになりがち。本来は官公庁が若いITのエキスパートを雇えばいいのだが、官公庁の給与体系はいわゆる経験給なので、若いというだけで給料がたとえば20万円程度とかになってしまう。これでは有能な人材が集まるはずがない。
     では、実際に日本でテロが起こったらどうなるのだろうか。少人数の武装勢力なら、警視庁や大都市の県警本部に配備されているSAT(特殊急襲部隊)でも対処することができるだろう。立てこもり事件などには刑事部のSIT(特殊捜査班)が出動することになる。サブマシンガンを持つSAT以上の装備、つまりロケットランチャーなどを持つ相手が現れた場合、警察力で対応できないと判断されれば、自衛隊に治安出動命令が出る。
     自衛隊にはテロ対策の専門部隊として、特戦群(特殊作戦群)と呼ばれる組織が設置されている。いわばアメリカ陸軍特殊部隊のグリーンベレーやデルタフォースに近い存在だ。特戦群は隊長以外、隊員の氏名などは非公開で訓練内容も極秘。今まで実際に国内で特戦群が出動したケースはないが、外国の特殊部隊が日本に潜入してテロを起こすようなことがあれば出動することになる。多少の武装をしたテロリスト程度なら特戦群で鎮圧は可能だろう。
     また、サリンなどの化学兵器を持つ相手に対しては、自衛隊の特殊武器防護隊が出動することになるだろう。過去、地下鉄サリン事件にも特殊武器防護隊が出動している。しかし、化学兵器、生物兵器、放射線の対策は、日本はまったく遅れているのが実情。ただ、これは日本だけの問題でなく、世界中の国で課題とされている。
     なお、2013年末に安倍首相の肝入りで設置された日本版NSC(国家安全保障会議)だが、NSCそのものは国際的なテロ犯罪の対策を行う組織ではなく、ポリシーメイキングの機関である。今後はNSCが情報分析と政策立案を行い、政策決定を行う総理大臣に選択肢を提供して判断しやすくする役割を担うと考えてよいだろう。いずれにしろ、物理的なテロとサイバーテロの両面において対策を練っておくのが、東京を防御する鍵となるはずだ。【構成・大山くまお】

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    『PLANETS vol.9』は2020年の東京五輪計画と近未来の日本像について、気鋭の論客たちからなるプロジェクトチームを結成し、4つの視点から徹底的に考える一大提言特集です。リアリスティックでありながらワクワクする日本再生のシナリオを描き出します。

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