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『ドラがたり――10年代ドラえもん論』
(稲田豊史)
第5回 ふたりのファム・ファタール 前編
【毎月第1水曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2015.12.02 vol.463

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本日お届けするのは『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)の第5回。今回からは「しずか」と「ジャイ子」という、ドラえもん作品内でも特異な立ち位置にいる2人の女性キャラクターに焦点を当てます。しずかに託されたセクシャリティ、そしてジャイ子だけが持つ「非『ドラえもん的』」な要素とは?


▼執筆者プロフィール
稲田豊史(いなだ・とよし)
編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキーマンガガイドブック』(企画・編集)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地団~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。

PLANETSメルマガで連載中の『ドラがたり――10年代ドラえもん論』配信記事一覧はこちらのリンクから。

 
 前回までは、3回分を費やしてのび太というキャラクター、および「のび太系男子」と呼ばれる3〜40代男性の精神構造上の難儀(生きづらさ)について述べた。今回は、『ドラえもん』に登場する代表的な2人の女子、しずかとジャイ子について考察してみたい。
 なお、ファム・ファタール(仏:Femme fatale)の直訳は「運命の女」。宿命的な恋愛対象の女、もしくは男を破滅・堕落させる魔性の女のことを指す。新約聖書に登場するサロメ、キューブリック映画でおなじみのロリータ、谷崎潤一郎『痴人の愛』のナオミ、連合赤軍幹部の永田洋子、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のクェス・パラヤなどが代表的なタマである。
 

●しずかに託されたセクシャリティ
 
 まずは、言わずと知れたのび太の将来の結婚相手にして『ドラえもん』世界のヒロイン、しずちゃんこと源静香(しずか)について考えよう。しずかはピアノ、バイオリン、テニスなどをたしなみ、ぬいぐるみが大好き。学校の成績は上々で、優等生の部類に入る。典型的な昭和マンガのアイコン的美少女であり、教室のマドンナ(死語)。のび太が惚れるのは無理もない。

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