第20回
「交際相手が自分の言葉で話してくれません」
相談者:アマランさん(埼玉県・23歳女性・大学生)
Q.
國分さんこんにちは。
私の相談事は、恋人の男性が自分の言葉で話をしてくれないということです。
何か返答を求めると、本の引用や、本そのものを引っ張り出し、他人の言葉を引用してきます。
悩んでいる様子を見せると、楽曲のURLなどを送ってきます。
私が自分の気持ちを伝えても、相手からは引用や、完成された音楽による返答しかないことに
少々不満を感じております。
また、お互いすれ違いで喧嘩になったとき、私が怒っているときなどは
「どうすればいいかわからない」「どうすればいいか教えて」と言ってきます。
私は、自分で考え、自分で感じたように行動してほしいのです。
でも本人には言えずにいます。彼自身は、とても優しく、真剣だというのがわかるからです。
自分の言葉で話さない、ということが、彼への侮蔑に値する、という自覚があるからです。
ちなみに、それ以外の時何を話しているかというと、本当にたわいもないことです。また、彼は基本的に無口です。
いつも何を考えているのかわかりません。教えてほしいと思いますし、中身が空っぽで自分の言葉で話せない人なのではないかと不信感もあります。
一番の悩みはそこでして、私は実際、中身が空っぽなんじゃないかと、彼を少し見下している自分をどうにかしたいのです。
彼は中身が空っぽなのでしょうか。自分の言葉を話さず他人の引用ばかりする彼を、私はどう信頼していけばよいでしょうか。
愛する恋人を見下す自分がとてもいやで、ご相談させていただきました。
ご返答いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
A.
相談ありがとうございます。
それにしても、アマランさんの彼氏に対する見下しはハンパないですね。すこし確認しましょうか。
最初に出てくるのが、「少々不満」。これは遠慮気味に書いているわけですね。ところがその後、かなり唐突に「侮蔑」という言葉がでてきます。「少々不満」という言い方では抑え切れなかったんでしょうね。本音に近い言葉が出てきたという感じです。
そしてこの後ですよね。
すさまじいです。
「中身が空っぽ」
「中身が空っぽ」
「中身が空っぽ」
三回も書いているんですよ? 僕だったら、単なる知り合いに対しても、
「中身が空っぽ」
「中身が空っぽ」
「中身が空っぽ」
なんて三回も書けませんよ。
ところがその後アマランさんはわざとらしく「愛する恋人」なんて書いているわけです。これって簡単な話で、
「中身が空っぽ」
「中身が空っぽ」
「中身が空っぽ」
って三回も書いてしまったから気が咎めて、「いや、この人はとってもいい人なの。私はこの人を愛しているのよ」と自分に言い聞かせるように書いているわけですよね。
「中身が空っぽ」
「中身が空っぽ」
「中身が空っぽ」
って三回も酷い言葉を浴びせかけることができる相手が、「愛する恋人」であり得ますかね?
アマランさんは恋人を「愛している」のではなくて、自分のプライドを維持するために利用しているんじゃないですかね?