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【今週の映画】
セス・マクファーレン監督『テッド』
いじめられっ子の少年ジョンは、クリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと本当の友だちになれるよう、神様に祈りをささげる。すると翌日テッドに魂が宿り、2人は親友になる。それから27年が過ぎ、ジョンとテッドはともに30代のおじさんになっていた。一時は「奇跡のテディベア」としてもてはやされたテッドも、幻惑キノコで逮捕されてからは堕落し、下品なジョークと女のことばかり考える日々。そんなある日、ジョンは4年間つきあっている恋人から、自分とテッドのどちらかが大事なのか選択を迫られ……。
監督/セス・マクファーレン 脚本/アレック・サルキン、ウェルスリー・ワイルド 製作/スコット・ステューバー
出演/マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、セス・マクファーレン(声)、ジョエル・マクヘイル、ジョバンニ・リビシ
☆☆☆☆☆ モラトリアム・コメディの卓越した変奏
☆☆☆
【森直人:8点】
おすすめ度は極めて高し! かわいいテディベアに、セックス&ドラッグ&バイオレンスの権化のようなゲス中年が宿っているという一種の「ギャップ萌え」だけで確実に楽しめる。全体構造としては『ハングオーバー!』など、ダメ中年のホモソーシャリティを核にしたモラトリアム・コメディのバリエーション。未熟な主人公(たち)が今も拘泥する80年代ネタの使い方は見事で、そこを拡大すれば充分アメリカ現代論にリンクするだろう。
☆☆☆☆☆ 単なる“ボンクラ映画”ではない
☆☆☆
【松谷創一郎:8点】
一見ポップなコメディだが、「移行対象を手放せなくなる大人」という興味深いテーマが基底にある。それにより単なる“ボンクラ映画”に留まらず、彼らを批評的に解釈することに成功。強い一般性のある傑作に仕上がった。描かれているのは、成熟社会を生きる非成熟な成人たちの「終わりなき日常」だ。『フラッシュゴードン』のくだりなど、日本のオタクと比較するとやや物足りなさは感じるが、一般的にはあの程度で良いのではないか。
☆☆☆☆☆ デートムービーの大正解
☆
【那須千里:6点】
平日の昼間も満席、前売券は軒並み完売という快進撃中の『テッド』。ディズニーの『トイ・ストーリー』とファレリー兄弟の『2番目のキス』をミックスさせたような作風だが、女子はテディベアが大好きだし、青春こじらせ病や下ネタは男子の好物なので、男女のニーズを満たすデートムービーのベストアンサーとなっている。そして動くぬいぐるみは予想以上に新機軸。若干のチープさを残したぎこちない動きはCGの特性と相性抜群だ。
▼公開中!『テッド』公式サイト
http://ted-movie.jp/
▼執筆者プロフィール
森直人
1971年生まれ。映画評論家、ライター。
著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)など。
http://morinao.blog.so-net.ne.jp
松谷創一郎
1974年生まれ。ライター、リサーチャー。
著書に『ギャルと不思議ちゃん論 女の子たちの三十年戦争』(原書房)など。
http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH
https://twitter.com/TRiCKPuSH
那須千里
映画文筆業。
「クイック・ジャパン」(太田出版)、「キネマ旬報」等の雑誌にて執筆。
セス・マクファーレン監督『テッド』
いじめられっ子の少年ジョンは、クリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと本当の友だちになれるよう、神様に祈りをささげる。すると翌日テッドに魂が宿り、2人は親友になる。それから27年が過ぎ、ジョンとテッドはともに30代のおじさんになっていた。一時は「奇跡のテディベア」としてもてはやされたテッドも、幻惑キノコで逮捕されてからは堕落し、下品なジョークと女のことばかり考える日々。そんなある日、ジョンは4年間つきあっている恋人から、自分とテッドのどちらかが大事なのか選択を迫られ……。
監督/セス・マクファーレン 脚本/アレック・サルキン、ウェルスリー・ワイルド 製作/スコット・ステューバー
出演/マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、セス・マクファーレン(声)、ジョエル・マクヘイル、ジョバンニ・リビシ
☆☆☆☆☆ モラトリアム・コメディの卓越した変奏
☆☆☆
【森直人:8点】
おすすめ度は極めて高し! かわいいテディベアに、セックス&ドラッグ&バイオレンスの権化のようなゲス中年が宿っているという一種の「ギャップ萌え」だけで確実に楽しめる。全体構造としては『ハングオーバー!』など、ダメ中年のホモソーシャリティを核にしたモラトリアム・コメディのバリエーション。未熟な主人公(たち)が今も拘泥する80年代ネタの使い方は見事で、そこを拡大すれば充分アメリカ現代論にリンクするだろう。
☆☆☆☆☆ 単なる“ボンクラ映画”ではない
☆☆☆
【松谷創一郎:8点】
一見ポップなコメディだが、「移行対象を手放せなくなる大人」という興味深いテーマが基底にある。それにより単なる“ボンクラ映画”に留まらず、彼らを批評的に解釈することに成功。強い一般性のある傑作に仕上がった。描かれているのは、成熟社会を生きる非成熟な成人たちの「終わりなき日常」だ。『フラッシュゴードン』のくだりなど、日本のオタクと比較するとやや物足りなさは感じるが、一般的にはあの程度で良いのではないか。
☆☆☆☆☆ デートムービーの大正解
☆
【那須千里:6点】
平日の昼間も満席、前売券は軒並み完売という快進撃中の『テッド』。ディズニーの『トイ・ストーリー』とファレリー兄弟の『2番目のキス』をミックスさせたような作風だが、女子はテディベアが大好きだし、青春こじらせ病や下ネタは男子の好物なので、男女のニーズを満たすデートムービーのベストアンサーとなっている。そして動くぬいぐるみは予想以上に新機軸。若干のチープさを残したぎこちない動きはCGの特性と相性抜群だ。
▼公開中!『テッド』公式サイト
http://ted-movie.jp/
▼執筆者プロフィール
森直人
1971年生まれ。映画評論家、ライター。
著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)など。
http://morinao.blog.so-net.ne.jp
松谷創一郎
1974年生まれ。ライター、リサーチャー。
著書に『ギャルと不思議ちゃん論 女の子たちの三十年戦争』(原書房)など。
http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH
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那須千里
映画文筆業。
「クイック・ジャパン」(太田出版)、「キネマ旬報」等の雑誌にて執筆。
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