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魔法の世紀を迎えるための助走 後編(落合陽一『魔法使いの研究室』) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.482 ☆
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魔法の世紀を迎えるための助走 後編(落合陽一『魔法使いの研究室』) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.482 ☆

2015-12-27 17:00

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    魔法の世紀を迎えるための助走 後編
    (落合陽一『魔法使いの研究室』)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2015.12.27 vol.482

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    本日は、12月2日にブックファースト新宿店で行われた特別講演「魔法の世紀を迎えるための助走」の後編をお届けします。近代以降のメディア史とコンピュータ史を踏まえながら、目前に迫っている「魔法の世紀」の訪れと、デジタルネイチャーの可能性について論じます。


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    【発売中!】落合陽一著『魔法の世紀』(PLANETS)
    ☆「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ。研究者にしてメディアアーティストの落合さんが、この世界の変化の本質を、テクノロジーとアートの両面から語ります。
    取り扱い書店リストはこちらから。http://wakusei2nd.com/series/2707#list

    ▼プロフィール
    落合陽一 (おちあい・よういち)
    1987年東京生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程を飛び級で修了し、2015年より筑波大学に着任。コンピュータとアナログなテクノロジーを組み合わせ、新しい作品を次々と生み出し「現代の魔法使い」と称される。研究室ではデジタルとアナログ、リアルとバーチャルの区別を越えた新たな人間と計算機の関係性である「デジタルネイチャー」を目指し研究に従事している。
    音響浮揚の計算機制御によるグラフィクス形成技術「ピクシーダスト」が経済産業省「Innovative Technologies賞」受賞,その他国内外で受賞多数。
    ※『魔法の世紀』の内容をフォローアップすべく、PLANETSチャンネルでは落合さんがこれまでに登場した記事を無料公開中! 無料で読める記事一覧はこちらのリンクから。


    本記事の前編はこちらから。


    ■ 「映像の世紀」の終わりとコミュニケーション消費

     ここまで、ざっとメディアの歴史をおさらいしてきました。18世紀までのメディアの中心は絵画でした。19世紀から20世紀にかけては、マス(大衆)を対象とした「映像」というメディアが現れました。
     そして、今の時代を象徴するメディアは「コンピュータ」です。これをあえて別の言葉で言い直すなら、「魔法」と呼べるのではないか、というのが僕の考えです。

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     19世紀までのコミュニケーション消費は、全体不便性の中で行われていました。例えば、井戸端会議という言葉が生まれたのは、当時は井戸でしか洗濯や水汲みができなかったからです。井戸が空くのを待つ暇な女性たちが、ペチャペチャ喋ってたわけですね。
     それが20世紀に入って洗濯機などの家事をするための機械が家庭に普及したことで、生活の中に自由な時間が生まれ、それを埋め合わせるメディアとして映画やテレビが普及しました。これらのメディアは誰もが同じように紋切り型でコンテンツを消費できるところに特徴がありました。その価格は年代を追うごとに下がり、人々が大量の映像をコンテンツとして消費する時代が訪れたわけです。
     しかし、21世紀の僕たちは、コンテンツよりもコミュニケーションを消費するようになっています。それは、19世紀以前の全体不便性の中で行われていたコミュニケーション消費とは根本的に異なっています。
     現在の僕たちは自分の時間を確保し、それを個人の判断であらゆることに使えます。そういう状況下では、個人のコンテクストは多様化し、人々は同じコンテンツを消費しなくなっています。
     例えば90年代までは、1人のアーティストのCDが100万枚売れていました。しかし現在のAKB48では、数百人のアイドルそれぞれにお金を投じるファンがいて、握手会を開けば個人的な文脈によって100万枚のCDが売れるような時代になっています。
     ここ数年、日本でもイベント化するようになったハロウィンも、コミュニケーション消費のひとつです。それぞれ好きなコスプレをして、街頭に集まっている様子をTwitterやFacebookで共有する。ここでSNSは、ハイコンテクスト化を促すインフラとして機能しています。
     旧来の映画やテレビといったメディアでは、単一のコンテンツをn人で観ていましたが、現在の文化の特徴は、n人 × n人で世界を捉えるところにあります。これは阿部先生の資料をお借りしたものですが、このように定式化することもできます。

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     リアルとバーチャルの境目が無くなってきた現在、画面の中を飛び越えて、この現実の中にいかにして物語を生み出すかが、次なるテーマです。メディアを意識することなくコンテンツに触れられるようになると、虚構が画面を隔てた向こう側ではなく、生活内のありとあらゆるところに溶け出してくる。今あるこの現実と虚構が溶け合い唯一のモノとなることで、やがて、虚構という概念は消失していくことになるでしょう。


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