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脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第13回「男と男2」 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.506 ☆
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脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第13回「男と男2」 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.506 ☆

2016-01-31 07:00

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    脚本家・井上敏樹エッセイ
    『男と×××』
    第13回「男と男2」
    【毎月末配信】 
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.1.31 vol.506

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    今朝のメルマガは平成仮面ライダーシリーズでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』第13回です。何もかもが規格外の男”S”と付き合い始めた敏樹青年が巻き込まれた、女性編集者をめぐるトラブルとは?


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    ▼内容紹介(Amazonより)
    「仮面ライダーアギト」「仮面ライダー555」をはじめ、
    平成ライダーシリーズの名作を送り出した脚本家による、
    荒唐無稽な世界を多彩な文体で描き出す、異形のエンターテインメイント! 
    (Amazonでのご購入はこちらから!)

    PLANETSチャンネル会員限定!
    入会すると視聴できる井上敏樹関連動画一覧です。

    (動画1)井上敏樹先生、そして超光戦士シャンゼリオン/仮面ライダー王蛇こと萩野崇さんが出演!(2014年6月放送)

    (動画2)井上敏樹先生を語るニコ生も、かつて行なわれています……!仮面ライダーカイザこと村上幸平さんも出演!(2014年2月放送)

    (動画3)井上敏樹先生脚本の「仮面ライダーキバ」「衝撃ゴウライガン!!」など出演の俳優、山本匠馬さんが登場したニコ生です。(2015年7月放送)

    (動画4)『月神』発売を記念し行われた、敏樹先生のアトリエでの料理ニコ生です!(2015年11月放送)

    ■井上敏樹先生が表紙の題字を手がけた切通理作×宇野常寛『いま昭和仮面ライダーを問い直す』もAmazon Kindle Storeで好評発売中!(Amazonサイトへ飛びます)



    これまでPLANETSチャンネルのメルマガで連載してきた、井上敏樹先生によるエッセイ連載『男と×××』の記事一覧はこちらから。(※メルマガ記事は、配信時点で未入会の方は単品課金でのご購入となります) 

    ▼執筆者プロフィール
    井上敏樹(いのうえ・としき)
    1959年埼玉県生まれ。大学在学中の81年にテレビアニメの脚本家としてのキャリアをスタートさせる。その後、アニメや特撮で数々の作品を執筆。『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』などのほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー555』『仮面ライダー響鬼』『仮面ライダーキバ』など、平成仮面ライダーシリーズで活躍。2014年には書き下ろし小説『海の底のピアノ』(朝日新聞出版)を発表。


      男 と 男 2
                   井上敏樹

     さて、一晩でクラブと焼肉を何度も往復し駐車違反の鎖をチェーンソーでぶった切るようなSだったが女性に関してはこれがなかなかのフェミニストだった。言い忘れたが、当時のSは四十代で独身。働き盛りで大手映画会社のプロジューサー、足は短かったが顔だって当時の人気歌手フリオイグレシアス似のイケメンだった。だがらモテないわけはないのだが、それが当人の意に反して独身だったのはひとえにSの人となりのせいであろう。Sは確かに豪快な男だったが同時にひどく女性的で粘着質な一面があった。人間とは不思議なもので、相反するふたつの性質を、往々にして合わせ持っているものなのだ。当時の私はSのおかげで国民的な人気アニメのシナリオに携わっていたが、Sの仕事ぶりには辟易した。シナリオの読み方が重箱の隅を突つくように細かいのだ。ト書きのテニオハから句読点まで目を光らせていちいち直しを要求する。小説じゃあるまいしシナリオのト書きなどどうでもいいではないかと思いながら、こっちはド新人なので従う以外ない。
     そんなSの細かさ、執拗さは女性が絡むとまた一段とすごくなるのだ。たとえばあるアニメ雑誌の女編集者と知り合いになって酒を飲みに行った事があった。その時はもうひとり、脚本家のTと四人で楽しい夜を過ごしたのであるが、帰り道に私とTはふたりになって女編集者を評し始めた。
    『なにを考えてるのか分からん女だ』とT。
    『汚れたパンツを穿いてそうな女だ』と私。大体、男なんてものは、そんな風に好き勝手を言うものなのだ。
     それからしばらくしてTと会う機会があったのだが、すると、Sにひどく怒られた、と言う。尋ねてみると例の女編集者絡みだった。それもひどくくだらない。TとSが飲んでいて彼女の話になり、Tは『あれは汚れたパンツを穿いているような女ですよ』と私の言葉を引用したのだが、それがSの怒りを買ったという。女性に対してなんだ、その言い方は、侮辱じゃないか。そう激昂されてTは『いや、それは井上の意見で』と言い逃れた、と言う。全く余計な事を、と私が困惑したのは嫌な予感がしたからだ。そしてその予感は的中し、すぐにSからの電話があった。『Tから聞いたんだが』電話口から流れるSの声がくぐもっている。『お前、彼女のパンツにウンコがついてると言ったそうだな』
     違う。少し違う。


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    最終更新日:2024-11-13 07:00
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