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〜ゲンドウと治虫〜
山田玲司のヤングサンデー 第122号 2017/2/13
「オヤ」の取り扱い方
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もーね。
正直な話、久しぶりに物凄く緊張しました。
頑張ってふざけていましたけど、何しろ今回のゲストは手塚るみ子さんです。
るみ子さんは優しくて面白い人だとは聞いてはいたんですが、何しろ僕の人生を決定づけた、漫画の神様のお嬢様です。
何度も言っていますけど、僕が漫画家になったのは、手塚治虫先生の「マンガの描き方」という本に出会ったからです。戦争時代に自由を奪われ、好きなことをやらせて貰えなかった手塚先生は、子供や読者に「自由」を与えてくれた人でもあります。
僕の人生がこんなに面白くて充実したものになったのは、手塚先生がこの本で「漫画はデタラメでいいんだ!」みたいなロックなメッセージを書いてくれたからなのです。
なので、僕もるみ子さんも戦後の平和な時代に手塚治虫という人がくれた「自由」をもらって生きてきた姉弟みたいなものなのです。
なんかもう「会った事のない(魂レベルの)姉弟」の対面だったのです。
そりゃあ緊張もしますよね。
〜ゲンドウと治虫〜
放送中に改めて「すごいなあ」と思っていたのは、るみ子さんが自分の「生まれ」を受け入れて、その過酷な使命を「明るく」引き受けていることでした。どんな人でも「自分には自分の人生がある」とか「自分と親は別のもの」と思ったりするものです。ましてや国民的な漫画の神様を父に持ってしまうと、もう「親のこと」抜きでは生きさせてはくれないのでしょう。若い時期に何度も親に反抗したというのも頷けます。
そして普通の番組ではまずありえない事ですが、るみ子さんがほとんど知らない「エヴァンゲリオン」の解説コーナーにまで参加してもらったわけです。
ああ、なんということを・・・
エヴァはご存知の通り「父親と息子の葛藤(愛憎)」を描いたアニメです。
頑固で融通のきかないゲンドウという父親に認められたい息子(シンジ)の物語です。
そしてこの構造はかつての日本家庭での定番で、手塚治虫も同様に「頑固な父親に認められたい」と思って戦ってきた人でもあるのです。
そんな「圧倒的な存在」としての親は少なくなったとは言え、まだまだ「親の問題」で苦しんでいる人は多くて、自分もそうだ、と思う人もこれを読んでいる人の中にはいるでしょう。
優秀で社会的に成功した親を持つと「仕事のチャンス」や経済的な部分での恩恵はあるけれど、できる親と比較されるので精神的なプレッシャーがきつくて苦しみます。逆に出来の悪い親を持つと、プレッシャーがなく「あんな親だから」みたいな言い訳はできるものの、コネなど期待できないし、経済的にも大変だったりします。
もう1つ「ハンパな親」というのを持った場合も複雑です。
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