「心のブス」は倒せるか?
他人が羨ましい。
自分はこんなにがんばっているのに、報われるのはいつも他の誰か。
そんな誰かが憎たらしい。あんなやつ死ねばいいのに。
どうにかしてあいつが不幸にならないか・・・
「そんなことを考えるのは止めよう」なんて、頭では考えるけど、それが本当に止められるかどうか?といえば、そんなに簡単じゃない。
「少女革命ウテナ」の黒バラ編で、「敵」になるのはそんな「人の気持ち」です。
どうしようもない「嫉妬」「妬み」「憎悪」「復讐心」みたいなものが「黒バラ」という象徴的な花になる、というのが「黒バラ編」なのです。
そんな「憎悪の象徴」の黒いバラを切り裂くのが、中盤のウテナの役目なんですねー。
ウテナによって「黒バラ」を散らされたキャラクターは、心理的に開放されて「まるで別人みたい」に明るくなる。
「心のブス」をやっつけるのが「ウテナ」!
それが「少女革命」!
面白いのは、それまでの「敵」は自分の外にあったのに。この時期のアニメから「敵」は「自分の中」にある、みたいな感じになってくることです。
夏目や太宰などの文豪が扱ってきた「私の敵は私自信なのです・・」みたいなテーマを「美少女変身アニメ」に持ち込んでいるのが「ウテナ」なんですねー。
確かに人を妬んでいても良い事なんかない。
周りは敵ばかりになるし、とにかくその「心の醜さ」が顔に出てしまう。
「それ」をエンジンにしたらいい、なんてのが落とし所だと思うし、そもそも「人と自分を比べる」のが無意味だっていうのも永遠の真理でしょう。
でもそれが難しい。
人間ってのはそもそも「そういうもの」だからです。
興味深いのは、その「心のブス」を倒すウテナという「少女の力」は「永遠を求めるあの日の思い出」だという点です。
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