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山田玲司のヤングサンデー 第172号 2018/2/7

「お前に言ってるんだよ!」〜舞台「三文オペラ」の夜〜

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今週は諸事情により配信が3日遅れてすみませんでした。


今回は色々考えさせられた「あの夜」の話です。



去年の秋だった。

僕らは「ヤンサン3周年記念イベント」のために阿佐ヶ谷にいた。

スペシャルゲストはドレスコーズの志磨遼平だ。


久しぶりに会った遼平に「最近どんな感じなの?」と聞くと「舞台の音楽をやるんすよ」と言う。

「面白いね、何ていう舞台なの?」と聞くと「三文オペラなんすよ」と彼は答えた。


イベントでは「初めてのまどマギ」だの「おっくんとは何者か?」だののコーナーで盛り上がり、「舞台頑張れよ」と言って遼平と別れた。


舞台制作の途中経過を聞く度に、彼は「舞台の面白さ」に取り憑かれている、と言っていた。

「楽しくてしかたない」らしい。


自分のイメージを中心に世界を作ってきた彼が、初めて「共同制作」の一翼になれた喜びを感じているのかもな・・・なんて思った。


「俺を見ろ!」もいいけど。「こいつを見てくれ!」ってのもいいものだ。

みんなで作る「何か」を魅力的にするために「自分を抑えて頑張る」なんてのも悪くない。


そんなこんなで、舞台「三文オペラ」の公演が始まったので、観せてもらう事にした。



恥ずかしながら、僕はこの超有名な戯曲「三文オペラ」をよく知らない。

上演前に「演劇畑にいたおっくん」に「どんな話なの?」と聞くと「パンクなんすよね」「それまでの演劇を完全にぶっ壊す・・っていうか」とか言う。


「パンクで、ロンドンで・・」

「ピストルズ?god save the queenか?」

「あ、まさにそれっす。そういう話っすよ」

「みんな権威の奴隷だ、みたいな?」

「・・・間違ってはいないと思います」


などと語りながら僕は舞台「三文オペラ」を観た。


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三文オペラのストーリーは、検索すれば簡単に出てくるのだけれど、今週の土曜の最終公演を観に行くので原作のストーリーも知りたくない、という方は、この先は「観劇後」に読んで下さい。


舞台は様々な「試み」が仕掛けられていて、音楽を束ねている志磨遼平の手腕も見事だった。

マリーズがかつて仕掛けていた「戦前、戦後の昭和デカダンス」「20年代のパリ」「夜の昭和歌謡」などのモチーフがオリジナルの楽曲にうまく溶け込んでいる。

最近盛り上がっていた「クストリッツァ楽団」の雰囲気もある。

楽団のミュージシャンがまた素晴らしい。


そんな音楽が生み出す「雰囲気」の中で、実力派の役者陣が「自分の役割」を見事に演じていく。



色々感じながら、気がつくと僕はこの舞台に「作者」を見ていた。