━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
山田玲司のヤングサンデー 第240号 2019/5/27

終わりと始まりの瞬間について/その時継続していたものについての話し。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

30年続いた平成が先月に終わって、今月から令和というのが始まった。









なので、終わりと始まりの瞬間について、そして、その時継続していたものについて描こうと思う。

あっ。今日は久世です。





そのとき僕は、鶏ガラと干し椎茸の出汁でおでんをつくっていた。



 

その日はレコーディングの日だった。



音と言葉の新しく優しい着地点を提示する、言音(ことね)というユニットのレコーディング。

そっちの詳細はおいおいどこかでお目にかけるので割愛するとして。




その日の分を録り終わったのが21時で、

そこから今回のアルバムの用の作品を暫定で順番を決めて聞いてみて



終わったらまあ22時過ぎくらいだった。



その時間に音担当の相棒、市川くんは帰った。




自分しかいなくなった部屋で一息ついていたのだが、






ふと思い立って、おでんをつくり始めることにした。




かつおだしの気分じゃなかったんで、鶏ガラで出汁をとり、干し椎茸をぬるま湯で戻しその二つの出汁を基調に、




あとは練り物から出るいろんな魚の出汁で味の綺麗なグラデーションが出るぞという目論見で。

だからカツオは外した。昆布も今回は大根の下茹で以外に使わなかった。 




「いいか。時間も遅いし。具で入れるし。早煮の昆布。」なんてことを考えながら。




出汁をとる昆布と違うから代わりにはなってないのだけれど。







大根も練り物もこんにゃくも一個一個ちゃんと手間をかけて下茹でやら味が染みるために入れる包丁やらの下処理が必要だ。




 

何も夜中にそんなことをしなくてもいいのだが、やりたくなったんだから仕方ない。



それに、今日はとてもいい作品が録音出来て、気分が高揚していた。

高揚した気分を解放させるのに料理よりいい方法を僕は知らない。




僕はそういう下処理をいくつももくもくと同時並行ですることで、

気が引き締まりつつ、緊張がほぐれ、なにかを手放せる感覚になっていく。




集中しつつ解放されて視野が広くなるという独特の感覚になっていく。





そして、その素材を少しおいしくするための仕込みを少しづつ重ねていくことに

誠実さのようなものを感じる。





やることはやりました。あとはお任せしますと素直に言える感覚。



鍋に具材を入れてどこまでいくか素直に結果を楽しみに待てる感覚。



その感覚がその時の自分にとって必要な気がした。 



大げさですかねw




鶏ガラを選んだのはそういうこともあってかもしれないなー。4時間くらい煮込むから。



手間をかけたかったのでしょう。



とにかく多分その日はたくさんの時間を使って手間をかけ、

そういう感覚になりたかったからおでんをつくりたくなったんだと思う。




入れる具も種類をたくさん。

それぞれ下処理が違うものがたくさん。




出来ることをさぼらない。




手を抜かない。





嘘つかない。




時間をかけることが必要なものに端折らずしっかり時間をかける。



36年生きてきた中で知って来たその素材や料理に対して知っていることをすべてやっていく。




時短とか効率とかを言わずに。




普段はどれだけ手をかけても評価されるかされないか分からない創作をしている僕にとって、

料理は手間をかければかけただけ、すぐ「味」という結果に反映されるので、とても楽しい作業だ。





自分が生きることを楽しめると感じることを誰かから無駄に見えても、

仕上がりにそこまで差が出なくても、やるんだ。



僕の疲れや深夜という時間帯、それはその料理や素材に対しては関係がなく、

もともと生き物だったものを扱うことへの敬意が自分の身体を自然と動かす。







元号が変わる瞬間を「変わった!」と思うのではなく、

ただ「繋がってる」何の変哲もない瞬間の一つだと実感するために、

時間と手間をかけて、さっきの続きが今なんだってちゃんと見えるかたちでわかるように。




元号が変わっても僕はここにいるだけだからほとんど変わらないんだけど





何かが変わって浮かれる人はもちろん、こんだけ周りが騒いでいれば、

浮かれない人も反応してないつもりでも体と心のどこかでは何か反応してるわけで。




だいたい街の空気が違うから、影響を受けないわけにはいかないわけなんですが。





平成の終わりにつくり始めた何かが

ちゃんと何時間後には自分好みの美味しく食べれるものとして存在できてることが

その日はとても嬉しく思ったんだ。




それが食べてすぐに消えるものであることも大事だった。





時代は変わって、でも時間なんて関係ないような手応えのある音と詩の作品を今日は録音できて。

そしていろんなSNSにたくさんの言葉があって。



そんな日。





春の名残のわらびやこごみも最後にさっと入れた。

もう終わりのふきのとうも。



でもふきのとうは味うつるから、別の鍋にちょっと出汁を張ってさっと火を通して、苦みがあまり出すぎないようにして、おでんの鍋に入れた。




わらびもこごみもふきのとうもちゃんとアクを抜かなきゃだから、それにあくの抜き方もちょい違うから、これまた手間がかかるんだけど、

僕は手間をかけたいわけだからちょうどよかったんだ。










たくさん作った。5日間くらいは食べれたかな。



鍋ごと冷やせる冷蔵庫が欲しくなった。



そんな日。24時を回り、令和になって、母からのメールが来た。



その近辺で放送したヤンサンのスピンオフ「ほろ酔い久世チャンネル」で小さいころ一時だけ住んでいた野方の住所を訪れたのだが、

その写真を母に送ったから、その返信としてメールが来たのだ。




母「『令和』になったね~。

お祖母ちゃん今日から大正→昭和→平成→令和の四元号を過ごしてきはった事になる!!

お祖母ちゃんはめでたい感がするけど、お母ちゃんは淋しい樣な虚しい樣な複雑な心境ですね~。

野方の画像ですが塀の樣な物しか写ってないけど…  空き地になってたん!?」





僕はそれにこう返した。






僕「なんで虚しいの?平成終わったから?

いや空き地じゃない、この壁マンションの壁。線路が近くて全体が撮れへんかったわ!」






母「平成を生きた達成感が無いからかな~。」







僕「笑。昭和の時は虚しくなかったん?」






母「昭和は充実してたと思う。大江で生まれ学校に通い就職し結婚し子供も二人授かり忙しかったけど幸せやったな。

色々考えると寝れへんからもう休みます!おやすみなさい。」





母親とそんな会話をして、僕の令和は始まった。

また何も変わらないけど、全てが変わっていく毎日の始まりだ。





そして、僕は6月、詩の朗読のツアーに出る。音楽家二人と共に。詩人とダンサーとのツーマンライブ。

ダンサーは熊谷拓明さん。





皆さん良かったら、僕の手を抜かない、さぼらない、36年で覚えたり、気づいたりした全部を使ってお届けする、



言葉と音の無限廻廊「謎夜(なぞよる)」のライブに遊びに来てください。PVは加藤オズワルドさんにつくっていただきました。

リンク下に貼っておきます。





僕は今ここに居ます。終わりと始まりの瞬間も今継続しているものも全部引き連れて。






CARABATO

フルプルファファ想

~小さな夢なら叶えます~




6月6日(木)静岡  場所 スノドカフェ七間町

http://sndcafe.net/shopinfo/sc7

開場19:00  開演19:30




6月7日(金)京都 場所 UrbAN GUILD

http://www.urbanguild.net/top.html

開場18:30  開演19:30




6月8日(土)大阪 場所 common cafe

http://talkin-about.com

開場16:00  開演16:30




6月9日(日)愛知県岡崎市 場所 葵丘 kikyu

開場14:00  開演14:30 




ツアーファイナル

6月15日(土) 場所 シルクロードカフェ

http://www.silkroad-cafe.com

開場 12:00  開演 13:00





踊り 熊谷拓明

朗読 久世孝臣

バンドネオン・ピアノ 仁詩

パーカッション 熊本比呂志





PVはこちら




ご予約はこちらか、FBのコメント欄など、僕に何らかの手段で直接連絡ください。

https://carabatoyoyaku.wixsite.com/carabato

691cdc196f4bb98e7188b330c6e20acb3f456028459146d0fa91e3a56e1bef08069f5f95c903cc7ee87e6c7200d76d8124a842b5d55959d1d20e3eec

公式サイト:漫画家 山田玲司 公式サイト
Twitter:@yamadareiji
ファンサロン:GOLD PANTHERS
Facebookページ:@YamadaReijiOfficial

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
企画編集:久世孝臣
     平野建太

発  行:合同会社Tetragon
and
Special Thanks To 読者のあなた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(C) ReijiYamada. All Rights Reserved. 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■お問い合わせ
有料メルマガの購読、課金、メール未達に関するお問い合わせは、
『ニコニコヘルプ』のページよりお願いします。