来年に控えた大阪万博が何かと話題になっていますが、私はこの万博は行かないような気がしますね。やっぱり私にとって“バンパク”というのは、一九七〇年の大阪万博に尽きるんです。あのとき感じた「世界は変わる。未来は明るいぞ」という実感は本物やったと思うんです。
 何といっても「太陽の塔」です。
 あの塔もできた当時はボロクソに言われて、それでもあの熱狂の真ん中で何万人もの人に囲まれて立ち続け、そして今は一人ポツンととり残されている。
 私、よくあの横を車で通るんですけど、太陽の塔のちょっと猫背の背中が夕日に照らされているのを見ると、泣けてくるんですよ。で、昔のCMみたいなエールを送りたくなるんです。
「バンパクでもいい。たくましく育ってほしい」と。 
週刊文春デジタル