「鬼滅の刃」だった「The Boys」
今週のヤンサンは話題の海外ドラマ「The Boys」の分析。
面白かったのは、番組の後半のおっくんの「懊悩」でした。
アメリカの掲げる理想がどれだけ「ぶっ壊れているか」を「スーパーヒーローの腐敗」という視点で描いたこのドラマ。
役者や脚本家を交えてのトーク番組も含めて、おっくんがこのドラマにドハマリしているのは、番組を観てくれた人には伝わったと思います。
スピンオフでの出演者たちは、とにかく明るくて感じが良い。
彼らはユーモアを交えながらも政治について自分の考えをはっきり語り、相手の話も尊重する。
そんな彼らについて「最高だけどついていけない」みたいな気持ちになると、おっくんは言うのだ。
「いやー現実ってマジで最悪だよね」
と言って笑顔で語り合う彼らに対して「何でそんなに明るく喋っていられんだよ!」とか思ったのかもしれない。
本当の所はわからないけど、おっくんならそう感じた気がする。
それくらい、このドラマで描かれている「アメリカの現実」は深刻で恐ろしい。
【夢幻列車】
一方で僕はディスカバリーレイジチャンネルで「鬼滅の刃」劇場版の解説に挑んだ。
一見社会とは無関係な作品に見えるけど、この作品は実に「日本社会の現実」に強烈に切り込んでいる作品だった。
(以下ネタバレ含む)
この作品で扱うエピソードは、主人公達が乗り込んだ列車そのものが「鬼」だった、という話だ。
鬼は乗客を「自分にとって都合のいい夢」を見せて眠らせたまま食べようとする。
この「自分にとって都合のいい夢」っていうのが強烈な「今の」社会風刺になっている。
誰でも「信じ続けたいもの」はある。
「アメリカは偉大な国」も「日本はアジアで1番」もそうだし。
「見た目で人生は決まる」「都会は偉い」とか「気候変動はデマだ」とか「コロナはただの風邪」とかいう「夢」まで・・・
誰もが何らかの「都合のいい夢」にすがって生きている。
僕らは「夢幻列車」で眠らされ、鬼に食われようとしているのに「都合のいい夢」から覚められない。
鬼滅の刃の主人公「炭治郎」は、そんな夢から覚めるために「夢の中にいる自分」を何度も殺すのだ。
「目覚めなければみんな死んでしまう」という強烈なメッセージがそこにある。
(詳しくはディスカバリーレイジチャンネルtake 72で)
【The Boysという刃】
「The Boys」では、作品そのものが「目覚めろ」と言っている。