キスしたい男
「キスしたい男」という短編漫画がある。
「自分はアンジェリーナ・ジョリーとキスをする」という思いに取り憑かれた高校生の話だ。
彼は「バイトで100万円貯めたらアメリカへ行ってアンジェリーナ・ジョリーとキスをする」と決め、一心不乱に働く。
働き詰めで笑わなくなった彼。そんな彼を心配した同級生の女の子にも「俺はキスをするためにアメリカへ行く」としか言わない。
やがて彼のこの行動は「母親の自殺」がきっかけだった事がわかる。
今回の放送で話題の漫画「タコピーの原罪」について考察したのだけど、この「キスしたい男」は作者のタイザン5がタコピーの前に発表した短編だ。
放送では「たいした話ではないな」とかいうコメントがあったり、おっくんは例のごとく何か不満そうだったのだけど、僕にはこの短編漫画が恐ろしく出来のいいものに見えるので少し説明したい。
【『推し活』で生き残る】
この漫画は冒頭に主人公の母親が出てきて「恋をしなさい」と言う所から始まる。
そんな母親は心を壊し、父親の姿は例のごとく無い。
酒に溺れ、ゴミ屋敷になった家庭で暴れる母は主人公のレオにも当たり散らし、2人きりの家庭は地獄のようだ。
そんな母は何人もの男を連れてきては別れ、ある日浴槽で自殺してしまう。
ポイントは「そんな母でも僕には大切な人だった」と主人公が言っている点だ。