【ブロマガ月別アーカイヴ: 2012-12 / 2013-1 / 2013-2 / 2013-3生放送はこちら 】

昨日20日は無料生放送「「あとは自分で考えなさい。」に多数の御来場&コメント、感謝・深謝。

見逃した方はタイムシフトで御覧頂けます。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv130280471

 はてさて、
本日21日のブロマガ原稿は昨日の復習も兼ねてお届けしましょう。

民主主義は厄介な存在です。
以下の記事は、その「公理」を改めて痛感させます。

 http://www.47news.jp/news/2013/03/post_20130320113839.html

米上院、自動小銃禁止を断念 オバマ政権に打撃

 【ワシントン共同】米上院民主党のリード院内総務は19日、記者団に対し、昨年12月の小学校乱射事件を受けた銃規制強化策の柱として、オバマ政権が強く求めてきた殺傷能力の高い自動小銃などの製造や販売を禁止する規制を法案に盛り込まない考えを示した。

議会で十分な支持を得られないことが理由。2期目の主要な課題の一つとして銃規制強化を掲げるオバマ政権にとって、打撃となった。

 東部コネティカット州で児童ら26人が犠牲となった同事件を受け、オバマ大統領は1月、全ての銃購入希望者に対する犯罪歴調査を義務付け、自動小銃など攻撃用銃器を禁止する法律の制定を議会に求めていた。
2013/03/20 11:37  

 御存知、俳優のチャールトン・ヘストンは「武装する権利の擁護」を唱えて、全米ライフル協会の会長を務めていました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%98%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3

何故か人種差別撤廃の「公民権運動」の闘士でもあった彼の心智は、凡人の僕の理解を超えていますけど(苦笑)、「武装する権利」って事は、洋の東西・南北を問わず、テロリストも当然の助動詞「べし」で唱えている訳で、これぞロールシャッハ(苦笑)。

マイケル・ムーアが敢えて全米ライフル協会の会員wとなって、インタヴューした所、途中で「深意」が判ってヘストンが席を立った「ボウリング・フォー・コロンバイン」のシーンは、傑作でしたね。

ところで、僕のパソコンに「ちゃーるとん・へすとん」と打ち込んだら、「チャールとん・ヘスとん」と変換されてしまいました。変だなぁ、当方のパソコンのATOKには大分以前からのパソコンで独自に単語登録した膨大な表記が入っているのになぁ。「十戒」「ベン・ハー」「北京の55日」「猿の惑星」に出演していた彼も、「過去の人」なのね、ATOK上では(苦笑)。

「猿の惑星」に関しては、「週刊SPA!」連載「その『物語』、の物語。」Vol64「白色人種の新たなカタルシスとしてシリーズ化された映画『猿の惑星』」と題して言及していますので御一読を。そうだったのかぁ、と頷かれると思います。

http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/img-612212342.pdf

昨日の生放送でも申し上げましたが、以下の記事には嗤いました。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/kouza/kabuka2/03/20130318-OYT8T00754.htm

TPP参加で成長が期待される企業群

安倍首相は3月15日、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加を正式表明した。TPP参加となれば日本のマクロ経済面のプラス・マイナス効果が注目される。当欄ではミクロ面の関連企業群を探る。

日本政府がTPPへの交渉参加を正式表明
 安倍首相はTPP交渉参加を正式表明した当日に、マクロ面の経済効果の政府統一試算も発表した。それによるとプラスとマイナスの効果を総合して、実質国内総生産(GDP)を3.2兆円(0.66%)押し上げる効果がある、としている。
 プラスの効果は、日本の関税撤廃で安い農産品などの輸入が増えることによる「消費の拡大効果」が3兆円(0.61%)と最も大きく、次いで関税撤廃による日本の工業品などの「輸出増」の効果が2.6兆円(0.55%)、「日本への投資拡大」などの効果が0.5兆円(0.09%)あるとみている。マイナスの効果は、「安い農産品などの流入」が国内の農林水産業に与える打撃を2.9兆円(0.6%)と見積もっている。 

TPPは日本を含む12か国で交渉へ
 TPPは、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA) である。2006年5月28日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国で発効した後に、2010年3月にはその4カ国に加えて米国、豪州、ペルー、ベトナムの8カ国で交渉が開始された。その後マレーシア、メキシコ及びカナダが交渉に参加し、現在は11カ国で、非関税分野や新しい貿易課題を含む包括的な協定として交渉が行われている。
 今回、日本が交渉参加を正式表明したことにより、早ければ今年6月ごろ、遅くとも10月ごろには日本を含む12か国での交渉が開始されることになろう。

TPPは高い水準の自由化を求める
 TPPの基本的な考え方として、まず「高い水準の自由化」が挙げられる。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた道筋の中で実際に交渉中のものであり、環太平洋地域における高い水準の自由化が目標になる。物品市場アクセスの交渉対象については、全ての品目を自由化交渉の対象としてテーブルに乗せなければいけないとされているが、最終的な関税撤廃の原則については定かではなく、微妙な、あるいは問題となりそうな品目の扱いは交渉分野全体のパッケージの中で決まるとされる。
 もうひとつは「非関税分野や新しい分野を含む包括的な協定」を目指していることである。物品市場アクセス(物品の関税の撤廃・削減)やサービス貿易のみではなく、非関税分野(投資、競争、知的財産、政府調達等)のルール作りのほか、新しい分野(環境、労働「分野横断的事項」等)を含む包括的協定として交渉される。 

TPP参加で成長が期待される主な企業群
 日本の交渉参加が承認され関税撤廃などの協定締結となれば、日本の輸出企業には相手国の関税撤廃による製品・サービスの価格競争力アップ、日本の輸入企業には日本の関税撤廃による原材料費の減少などのメリットが期待されよう。

■自動車関連■

 トラックや二輪車、ベアリング(軸受け)などは米国を筆頭に交渉参加国の輸入関税が比較的高いとされる。関税引き下げによる日本製品の競争力拡大に期待。
 <トヨタ自動車>…日本を代表する自動車メーカー。グループで軽自動車からトラックまで幅広くラインアップ。 

 <いすゞ自動車>…小型トラックやピックアップトラックに強み。トラックや二輪車、ベアリング(軸受け)などは米国を筆頭に交渉参加国の輸入関税が比較的高いとされる。
<富士重工業>…北米市場で高性能車の販売拡大に期待。

■原材料価格・製品コストの低下関連■

 日本の輸入関税引き下げにより、農産物では食材コストの低下が見込まれる。衣料品などの製造を東南アジアで行い、日本に輸入する小売業も恩恵を享受する。
 <日本マクドナルドホールディングス>…小麦や食肉などの日本における関税低下・撤廃により、食材コストの低下につながると期待。
 <ゼンショーホールディングス>…外食大手で、牛丼の「すき家」のほか、「ココス」「ビッグボーイ」を展開。牛肉は豪州産が主力。
 <ファーストリテイリング>…アパレル製造業/小売業の代表格。アジアに生産拠点を展開。

■農業競争力の強化関連■

 コメなど一部農産品などは関税撤廃の例外になるとの見方もある一方で、輸入農産物との競争激化に伴い国内農業は政府支援の下で農地集約化や、企業による農業参入が進む可能性もある。
 <井関農機>…農業機械の大手。大型トラクターやコンバインが好調。輸入農産物との競争激化に伴い国内農業市場の活性化が進む可能性があろう。
 <クボタ>…農業機械の国内最大手。建設機械や鋳鉄管も手掛けている。
 <丸紅>…大手総合商社の一角で、穀物の取り扱いに強みを有する。TPP交渉国間における貿易量の拡大も追い風に。

■その他■

 TTP交渉国間における貿易量の拡大で、荷動きの活発化が見込まれる。国内外における金融や医療、メディアなどの各種サービスの自由化が進もう。
 <日本郵船>…海運大手で、海運売上高国内首位。足元では自動車船が復調。貿易量の拡大で、荷動きの活発化が見込まれる。
 <ジップヘルスヘルスケアホールディングス>…海外における病院の新設・移転、手術室の設営サービスなどを開始。

米と砂糖の関税の話ではない、って事が図表からも一目瞭然ですね。

しっかし、ここに投資すればTPPで大儲け、という具体事例がウ~ム、余りにいじましくて、この程度の心智で経済だの投資だの考えているというのが、ねぇ!

 
はてさて、それまで常に110の基準値内だったのに、昨年7月に突如として血液検査で血糖値269!!をマークしてしまった僕。
2週間後には血糖値92の正常値で、検査の2時間半前に豚キムチ丼大盛りを食べていたwとはいえ、未だに「謎」なのですねぇ。

とは言え、炭水化物に糖質が多いのは周知の事実。
根菜類も玄米も、豈図(あにはか)らんや、糖質過多品目!
これを機会に、と「適度に糖質オフ」を続けて5ヶ月で12kg減量しました。で、体調は極めて良好。数値的にも。

逆に言えば、昨日の生放送でも申し上げたように「過度な糖質オフ」は、過度な菜食主義と同様に副反応が想定されるのですね。

で、以下の記事は、そうした「過度な糖質オフ」のみを殊更に問題視して、従来の薬物投与での糖尿病治療に囲い込もうとしている「日本糖尿病学会」の広報に終わっています。それは製薬会社の思惑でもあります。

少なくとも、別の視点に立つ「医師」の見解も紹介すべきでしょ。
糖尿病の入口に立つ「患者」ならぬ「人間」には、薬の世界へようこそ、ではなく、「適度なヴァランス」の食事を推奨すべきです。
何故って、一度、インシュリン注射という世界へ入ると、そこは「廓」で抜け出せないのですからね。
ブロマガ39日号で子宮頸がんワクチンという名の「公共事業」に言及したのと同じ構図です。

原稿 http://ch.nicovideo.jp/yassy/blomaga/ar152062

動画 http://www.nicovideo.jp/watch/1362847398

原稿 http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/img-312094638.pdf

 「糖質オフ」ダイエットに興味を抱かれた方への参考として、「毎日新聞」記事再録の後に、「週刊SPA!」連載「その『物語』、の物語。」の2つの原稿URLへのリンクを張っておきましょう。

 
http://mainichi.jp/select/news/20130320k0000m040025000c.html

 糖尿病:極端な炭水化物制限は効果に疑問 学会が見解

毎日新聞 20130319日 1937

 日本糖尿病学会(門脇孝理事長)は、糖尿病患者が減量のためコメ、パンなど炭水化物の摂取を制限することについて、「極端に制限して減量を図ることは、科学的根拠が不足しており、現時点では勧められない」との提言をまとめた。炭水化物をとらない食事は「低GI(グリセミックインデックス=糖質の吸収度を示す数値)ダイエット」などと話題になり、糖尿病患者にも広がっているが、同学会は極端な栄養の偏りの危険性に警鐘を鳴らした。

 糖尿病患者は血糖値の上昇を抑えるため、摂取カロリーの制限やバランスの良い食事が求められ、炭水化物の摂取量は全体の摂取エネルギーの5〜6割程度と考えられている。一方、体重を効果的に減らす手段として、主食を食べないなど炭水化物摂取量を極端に制限する食事法が広がっている。このような食事は、効果が科学的に証明されていないうえ、腎機能が低下するなど合併症を持つ患者には悪影響を与えるなど問題が指摘されている。

 同学会は今後、糖尿病患者に適した食品摂取の栄養バランスを検討し、専門医向けの治療ガイドラインや患者向け食品交換表を改定する予定だ。

 「妻の献身的協力を得て3週間の糖質オフ生活」
http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/img-808213305.pdf

 「糖質オフの減量作戦継続中、“禁断の実”餃子を食す」
http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/img-906181227.pdf

 
日本銀行総裁を退任するに当たっての会見で、「日銀が設定した2%の物価上昇目標を達成するためには『成長戦略と財政再建が必要だ』」と白川方明(まさあき)と述べたのは正論です。と言うか、当然の助動詞「べし」なのです。

会見を受けての「共同通信」と「毎日新聞」を再録します。 

<共同通信>

【白川総裁が退任会見】新体制の手法に危うさ 「リフレ派」に警鐘 

日銀の白川方明(しらかわ・まさあき)総裁は19日、退任の記者会見に臨み、日銀が市場の期待に働き掛けて物価上昇を目指す手法に「危うさを感じる」と述べ、新総裁に就任する黒田東彦氏が国会などで表明した政策の先行きに懸念を示した。金融緩和を強めるだけでは物価上昇につながらないと強調し、政府に成長戦略の推進をあらためて要請した。

 金融緩和によって緩やかな物価上昇を起こし景気回復につなげる「リフレ派」の考え方を重視する黒田氏ら新体制の政策運営には支障が出かねないとの考えを表明。「市場動向に振り回される状況は避けなければならない」とくぎを刺した。

 白川総裁は市場との対話に関して「市場を思い通りに動かすという意味であれば、そうした市場観や政策観には危うさを感じる」と明言。「市場は金融政策を予想し、ともすれば過剰反応する」と警鐘を鳴らした。

 リフレ派の理論によると、近いうちに物価が上がるとの予想を日銀が世の中に広め、金融緩和で世の中のお金の量を増やせば、物価は上昇するとされる。これに対し白川総裁は日米欧の統計によれば「大量の通貨を供給することと物価上昇との間の関係は断ち切られている」と分析した。

 その上で、日銀が設定した2%の物価上昇目標を達成するためには「成長戦略と財政再建が必要だ」と語り、政府が役割を果たすよう求めた。

 5年間の任期を振り返り、リーマン・ショックや東日本大震災の危機対応に追われ「激動の5年間だった」と語った。

 バブル発生などの副作用を懸念して慎重に政策を運営したと説明。「想定外のリスクが発生したという言い訳は許されない」と 表明した。自身の政策の評価に関しては「第三者が行うべきで長い時間が必要だ」として今後の評価に委ねた。

 政府の圧力に屈して明確な物価目標を導入したのではないかとの問いには「その時点でベストを尽くしており、悔いるところはない」と語った。

 

http://mainichi.jp/select/news/m20130320k0000m020042000c.html

日銀:白川総裁が退任会見 リフレ政策に懸念の発言

毎日新聞 20130319日 2027

 日銀の白川方明(まさあき)総裁は19日の退任記者会見で、日銀が市場の期待に働きかけて物価上昇を目指す手法について「そうした市場観や政策観に私は危うさを感じる」と述べた。20日に就任する黒田東彦(はるひこ)新総裁らが志向する「リフレ政策」の先行きに懸念を表明した発言といえる。

 日銀はデフレ脱却に向けて2%の物価上昇目標を設定したが、白川氏は「マネタリーベース(お金の供給量)を増やせば物価が上昇するというリンク(相関関係)は断ち切られている」と指摘した。デフレの原因については「すべての経済現象を貨幣現象だけで説明できるわけではない」と説明し、金融政策だけでデフレは克服できないとの考えを重ねて強調した。

 白川氏の本来の任期は4月8日までだが、山口広秀、西村清彦の両副総裁が3月19日に任期満了となるため、新体制への移行をスムーズにするため前倒し辞任する考えを示していた。

まったくなぁ(苦笑)、と感じたのは今朝21日の「日本経済新聞」の以下の記事タイトル。持ち上げて落とす、のがマスメディアの仕事だと思い込んでいるのですねぇ(苦笑)。

それでいて、記事を読んでみると、タイトルとも違う無難な心智で纏めていて、益々、シッチャカメッチャカ(爆)。その腰の引け方wを御一読下さい。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC20007_Q3A320C1NN1000/

黒田日銀スタート 「2年で2%」道険し 2013/3/20 23:30 日本経済新聞 電子版

 2%の物価上昇率目標の実現に向け、黒田東彦新総裁率いる日銀の新体制が20日発足した。黒田総裁は2年での目標達成を公言するが、民間エコノミストの間では経済成長を高めに見ても5年近くかかるとの見方が多い。どうかじ取りし、険しい道のりが予想される「2年で2%」を実現に導くのか。市場は新総裁の手腕を注視している。

 19日に退任した白川方明前総裁は「バブル期でも日本の物価(上昇率)は1%台だった」として、2%の物価目標には否定的だった。安倍晋三政権が規制緩和など構造改革で成長力を高めると約束したのを受け、ようやく1月に導入した。

■新興国並み成長

 物価を急速に押し上げるには、経済の供給力を大幅に超える投資や消費などの需要を生みだす必要がある。日本経済研究センターによると、2年後に消費者物価指数(CPI)が前年比2%上昇するには、実質国内総生産(GDP)が2年続けて4%成長しなければならない。

 2年で規制緩和が実を結び、新たな商品やサービスへの需要が生まれ、台湾やメキシコ並みの急成長が実現する――というシナリオは現時点では描きづらい。日経センターの試算では201417年度の成長率は平均0.9%。円安や財政出動の効果を目いっぱい織り込み2.3%成長が続くと仮定しても、目標達成に5年かかるという。

■失業率2.5%目安

 雇用との関係で見ても見通しは厳しい。賃金が上がって物価も上昇するのは、雇用が増え失業率が下がる時だ。SMBC日興証券によると、過去に2%の物価上昇が起きた時の失業率は2.5%程度だった。

 今の失業率は4%超なので、約1.5%下げなければならない。それには2年間、毎月11万人の雇用を増やすことが必要。牧野潤一SMBC日興証券チーフエコノミストは「リーマン・ショック前で景気の良かった07年ごろでも月4万人増どまり。ハードルは相当高い」と話す。

 単に物価が上がるだけなら、円安や原油高などの要因でも起こる。08年には原油価格が急上昇し、失業率が4%のまま物価上昇率は2%を超えた。だが景気が良くならずに物価だけ上がるのでは、国民の生活は苦しくなり、本末転倒だ。

■企業が2%賃上げ

 過去の景気変動から考えれば困難に見える「2年で2%」をどう実現するのか。経済産業研究所の中島厚志理事長は、経済成長を高める通常の政策に加え、バブル崩壊以来、企業や個人にしみついた「物価は上がらない」という感覚を変えることがデフレ脱却に不可欠と分析する。

 中島氏は安倍政権が産業界に異例の賃上げ要請をしたことを評価。「過去に業績が良くても賃金を据え置いてきた企業が一斉に2%賃金を上げれば目標を達成する可能性はある」と指摘する。

 日銀の新体制で理論的な柱となる岩田規久男副総裁が提唱するのも、企業や投資家の意識を変える手法だ。日銀が資金供給量を大幅に増やして物価を上げると確約すれば、市場参加者の「予想物価上昇率」が高まり、企業や家計の行動も変わると考えている。

 人々の「物価観」に働き掛けるこうした政策がどこまで有効かは、有識者の間でも見解が分かれる。黒田日銀が過去の経済の常識を覆し、実績を残せるか注目される。

 

リスクを負わない記事の典型です。

斬ったように見せて、撫で撫でしているのですから。

その意味では「ロイター」が掲載した、以下の署名記事の方が遙かに誠実です。

書き手自身もリスクを負っていますし。

http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE92E04F20130315

コラム:黒田日銀が直面する「市場の期待」という怪物=佐々木融氏

2013 03 15 17:21 JST

佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長(2013年3月15日)

日銀正副総裁人事の国会承認を、市場はひとまず静観したようだ。15日午前中、国会承認後の東京市場では、円相場に極端な動きは見られず、日本株は午後に入ってから堅調に推移した。

黒田東彦総裁・岩田規久男副総裁・中曽宏副総裁の就任は20日の予定だが、当日は祝日なので、実質的には21日から日銀は新体制で金融政策を遂行することになる。新体制での最初の金融政策決定会合は4月34日に予定されているが、一部にはそれよりも前に臨時の金融政策決定会合が開催されるのではないかとの憶測も流れている。

いずれにしても、新体制下での最初の政策決定会合に対する国内外の投資家の注目は非常に高く、市場の反応は実際に新日銀からどのような政策が打ち出されるかにかかっている。

<際限なく膨らむ市場の期待と失望リスク>

筆者は1月末以降の1カ月半ほどで計8か国を訪問し、約80のヘッジファンドや機関投資家とのミーティングを行ってきた。その中で最も強く感じたのは、海外市場参加者の日銀新総裁に対する期待の高さだった。当時はまだ候補者もはっきりしていなかったが、海外市場参加者は日銀が新体制に代わった後、どのような手段を用いてインフレ率を2%に引き上げるのかに一番の関心を抱いていた。

むろん、海外勢も、日本にとってこの目標がいかにハードルの高いものであるかは分かっている。日本の消費者物価指数前年比は1993年から2012年までの20年間で2%を超えたことが2回しかない。1回目は97年4月に消費税を3%から5%に引き上げた後の数ヶ月間、2回目は原油価格が高騰した08年夏の4ヶ月間である。過去20年間の毎月のインフレ率を平均すると、前年比プラス0.2%程度にしかならない。

だからこそ、それでもインフレ率を2%まで引き上げると約束する日銀の新体制が、かなり大胆な金融緩和政策を実行するのではないかと海外勢は期待しているのである。

だが、期待外れとはならないのか。市場の期待が膨らみ過ぎていることに、筆者はやや不安を感じる。

振り返れば、昨年12月と今年1月の2か月間、為替相場は大幅な円安となり、日経平均株価は急騰した。しかし、この間の日銀バランスシートの増加幅は3.4兆円程度で、その前の2カ月間(昨年10月と11月)の増加幅(6兆円)の半分強にとどまっている。

つまり、実体はさほど変化していないのに、日銀が2%のインフレ目標導入を強いられ、安倍晋三首相が金融緩和に積極的な人を日銀総裁に選ぶという強い信念を打ち出したことによって投資家の期待が膨らみ、マーケットはここまで動いたのである。

しかし、政治家であれ、中央銀行総裁であれ、実体の変化が伴わない中で、市場の期待だけを膨らませ続けておくことはできない。市場はすぐに次は何か、さらに凄い話はないのかと期待する。政治家は相当の覚悟とスピード感を持って経済構造の変化を示していかないと、際限なく期待を膨らませる投資家たちをすぐに失望させることになるだろう。

<先に結果を約束したから市場は動いた>

とはいえ、筆者は、頭ごなしに安倍政権の手法を否定しているわけではない。為替・株式市場の急速な反応には、安倍首相が結果を先に約束したことが大きく影響していると考えられる。

「金融緩和、構造改革、規制緩和を積極的に進める」という言葉は、表現は多少違っても、どの政権も口にしてきたことだ。しかし、安倍首相が前任者たちと違ったのは、「金融緩和、構造改革、規制緩和を積極的に進めた結果、インフレ率を2%にする」と結果を分かりやすい形で示した点である。

それゆえに、市場が結果を先取りしている。本来は、金融緩和、構造改革、規制緩和が進み、その結果、民間投資や消費が喚起され、需要が強くなる。そして、需要が強くなると、企業収益が増え、企業経営者が先行きの収益にも一定の自信を持てれば、雇用を増やし、労働市場がひっ迫すると雇用者所得が増加する。そうなると、自然に物価は上昇し始める。

通貨は物価の反対側の概念であるから、日本の物価が上昇を始めれば円安圧力が強まる。企業収益も増えるのだから、当然株価も上昇する。アベノミクスは物価上昇を明確に約束したので、「金融緩和、構造改革、規制緩和が進み・・・雇用者所得が増加する」というところまでも一括して約束したような効果があった。もちろん、それ自体が悪いことではない。良い結果を先に享受すること自体は問題ではないだろう。ただ、享受した後は、期待を実体に変えていかなければならない。

前述の通り、市場はすでにかなり大きな期待を抱いてしまっている。インフレ率が2%まで上昇することを織り込んでいるとまでは言えないが、少なくともインフレ率がプラス圏内に入ってくることは織り込んでいるだろう。したがって、黒田新総裁がこれ以上市場にポジティブ・サプライズを与えるのは難しいかもしれない。現在の市場の期待を維持するだけでもかなり困難な仕事である。

<黒田新総裁のもう一つのミッション>

さて、市場の期待という姿の見えない怪物に対処する以外に、黒田新総裁にはもう一つ重要な仕事がある。それは、政府に対して構造改革や規制緩和をきちんと実行するように働きかけることだろう。

今年1月に発表された政府・日銀の共同声明には、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向けて、「政府と日本銀行の政策連携を強化」すると記され、その中で、政府の仕事として「大胆な規制・制度改革、税制の活用など思い切った政策を総動員し、経済構造の変革を図るなど、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、これを強力に推進する」とうたわれている。

安倍首相も施政方針演説で「民間投資を喚起する成長戦略」に力点を置いたが、前述した通り、デフレ・円高脱却とは本来、民間投資や消費が喚起され、強い経済が戻って来たときに起こる現象、つまり目標ではなく結果である。名目金利がゼロの下で金融政策だけで民間投資や消費を喚起するのは不可能だ。政府の強力かつ大胆なマクロ経済政策運営がなければ、日本経済の状況はこれまでと変わらないだろう。

こう考えると、黒田新総裁には、大胆な金融緩和政策を進めて、市場の期待を維持しつつ、政府に対しては実体経済の構造変化につながる政策の早期実行を迫ってもらいたい。金融緩和で期待をつなぎとめられる時間は限られている。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に、「弱い日本の強い円」など。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

ねっ、ニャカニャカの分析でしょ。

ビデオニュースコムが126日にアップした畏兄・野口悠紀雄氏のインタヴュー動画も、既に御存知でしょうが、一応、URLを貼り付けておきましょう。
これは必聴です。

野口悠紀雄氏の「インフレ目標2%は達成不可能」

https://www.youtube.com/watch?v=2D34Z7pbiks&feature=youtu.be
http://www.videonews.com/interviews/001999/002648.php
 

「新潮454月号では、財務官の先輩に当たる榊原英資氏と水野和夫氏が「アベノミクスが浮き彫りにする『近代経済学の限界』」と題して対談をしており、一読に値します。

生放送でも言及しましたが、財務官として更に先輩の行天豊雄氏が「選択」3月号の巻頭インタビューに「アベノミクスが破綻する時」と題して登場しています。

http://www.sentaku.co.jp/interview/post-2709.php
(会員制)

また、昨日発売の「FACTA4月号は、
アベノミクスに浮かれる『黒田日銀』 日本市場はミニバブル。『やれることは何でもやる』新総裁の下で高まる財政破綻確率」
と題して中央見開きカラー頁で長尺の原稿を掲載しています。

http://facta.co.jp/article/201304030.html
(会員制)

 

であればこそ、「財政政策・金融政策・成長戦略」。3番目のアベノミクスの提示と実現こそが肝要なのです。

単なる「アベノミクス」批判と捉えるのではなく、「アベノミクス」への提言と捉えるべきで、その意味に於いても、

「市場を思い通り動かそうとする政策に危うさ=退任会見で白川日銀総裁」

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE92I05A20130319?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2Fjpedpicks+%28News+%2F+JP+%2F+Google+News+Editor%27s+Pick+%29&google_editors_picks=true

と題した「ロイター」と、

「白川日銀総裁:期待への働き掛けには『危うさ感じる』」

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJWDZK6K510K01.html

と題して「ブルームバーグ」が掲載した白川方明会見録はアーカイヴとして秀逸です。

少なくとも、洞察力持ち合わせた読み手に「あとは自分で考えなさい。」と問い掛けているのです。
社としては、或いは書き手としては、白川氏と異なる見解を持っているかも知れません。

が、これは会見なのです。

退任会見での発言なのです。

ストレート・ニュースたるべきです。

それは、

白川日銀総裁が退任 受け身終始 市場そっぽ」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013032002000116.html

と題して記事化した「東京新聞」と比べたなら、彼我の違いは歴然です。

単に「揶揄」する為に会見を記事化するのでは、警察や検察の“お貸し下げ情報”を垂れ流すだけに終わっている、極めて二元論的な社会部の「正義」と一緒ですね。

「ロイター」が掲載したのは

市場を思い通り動かそうとする政策に危うさ=退任会見で白川日銀総裁

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE92I05A20130319?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2Fjpedpicks+%28News+%2F+JP+%2F+Google+News+Editor%27s+Pick+%29&google_editors_picks=true

「ブルームバーグ」が掲載したのは

「白川日銀総裁:期待への働き掛けには『危うさ感じる』」

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJWDZK6K510K01.html 

「東京新聞」が掲載したのは、
白川日銀総裁が退任 受け身終始 市場そっぽ」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013032002000116.html

 

3つの記事を再録しますので、読み比べて下さい。

市場を思い通り動かそうとする政策に危うさ=退任会見で白川日銀総裁

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE92I05A20130319?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2Fjpedpicks+%28News+%2F+JP+%2F+Google+News+Editor%27s+Pick+%29&google_editors_picks=true

[東京 19日 ロイター] 白川方明日銀総裁は19日の退任会見で、市場の期待に働きかけるというリフレ派の金融政策について「危うさを感じる」と懸念を示し、資金供給量(マネタリーベース)の拡大で物価を引き上げられるとの考えにも疑問を呈した。

金融政策のみで2%の物価目標は達成可能とする黒田東彦新総裁や安倍晋三首相の見解をけん制し、成長力の底上げと金融緩和の合わせ技によるバランスのとれたデフレ脱却の重要性をあくまで主張した。

<資金供給量と物価の関係、断ち切れている>

黒田氏や岩田規久男・学習院大教授など新たに就任する正副総裁は、緩やかなインフレを起こして景気回復につなげようとするリフレ派。金融政策で期待物価上昇率を高めることを重視している。このような考えに対して往年の白川氏は「中央銀行は呪文を唱える組織でない」と強く反発していた経緯があるが、この日の会見でも「期待に働きかけるということが、言葉で市場を思い通りに動かす政策なのであれば、危うさを感じる」と明言。また「市場が望むことと、長い目で経済安定に望ましいことは必ずしも一致しない」とし、市場の期待に金融政策が振り回される形を戒めた。

また金融政策は「判断の根拠を説明するのが重要」とする一方、「我々の金融政策に関する知識は十分でなく、従来の理論のみに従うのは責任を果たしていないのでないか、との思いにも駆られる」と述べ、効果が十分検証されてはいない非伝統的な金融政策に対する判断の難しさを吐露した。

岩田規久男新副総裁もかねてから日銀が当座預金残高を拡大すれば、期待物価上昇率が引き上げられ、結果として円安・株高になると繰り返している。新日銀は岩田氏の学説が中心的教義と位置付けられる公算が大きい。これに対して白川総裁は「マネタリーベースと物価の関係は近年断ち切れている」とし、金融緩和のみではバランスの取れた物価上昇にはつながらないとの持論をあらためて強調した。

<金融政策の評価は出口脱却後初めて可能>

デフレ脱却で目指すべきは、「単に物価が上がればよいのでなく実質経済成長率が高まる結果、物価上昇率が高まる姿だ」と強調。日銀の試算でも「実質GDP成長率は向こう2年間、単純平均でプラス1.6%が見込まれる」と述べ、「金融緩和効果と競争力、成長力強化が相乗作用をもたらせばデフレから早期に脱却し、物価安定の下での持続的成長を実現することは可能だし、そうしなければならないと思っている」と述べた。

任期中の政策に対する自己評価についてはコメントを控えた。日本のバブル期や米国の2000年代半ばにかけての金融政策の評価は「時の経過とともに随分変わっている」とし、評価を後世の判断に委ねた。日米欧の中央銀行が現在展開している金利の上げ下げによらない非伝統的金融政策は「出口から円滑に脱却して初めて評価が可能になる」と述べ、市場の混乱を避けて巨額の保有国債を売却可能にするという難事の可否こそが評価を決めるとの考えを強調した。

白川氏は総裁就任前の京大教授時代に金融政策について教科書を執筆しているが、「通貨の信認維持には財政の持続可能性が非常に大事である点をもっと強調して書くべきであった」と指摘。強力な金融緩和を進める前提として政府による財政再建の取り組みが不可欠との考えを改めて強調した。

会見ではお気に入りの薄緑のネクタイ姿で淡々と質問に答える「白川節」を貫き通した後、満面の笑みで拍手で送られ会場を後にした。

 

白川日銀総裁:期待への働き掛けには『危うさ感じる』

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJWDZK6K510K01.html

 
3月19日(ブルームバーグ):日本銀行の白川方明総裁は19日午後、退任会見を行い、5年間の任期について「一言で言うと、激動の5年間だった」と述べた。20日から発足する新体制については「物価安定の下での持続的成長を実現するよう、適切な政策運営がなされることを期待している」と表明。一方で、市場の期待に働き掛ける金融政策運営については「危うさを感じる」との持論をあらためて展開した。

20日に総裁に就任する黒田東彦氏は先に衆院で行われた所信聴取で「金利引き下げの余地が乏しい現状では、市場の期待に働き掛けることが不可欠だ。もし私が総裁に選任されれば、市場とのコミュニケーションを通じて、デフレ脱却に向けてやれることは何でもやるという姿勢を明確に打ち出していきたい」と表明した。

白川総裁は「市場とどう向き合うのかというテーマは非常に重たい課題だ」と指摘。「もちろん市場は中央銀行のコミュニケーションの重要な相手だが、市場参加者にとって望ましいことが、長い目で見た経済の安定にとって望ましいことと、必ずしも一致するわけではないと感じている」と述べた。

その上で「期待に働き掛けるという言葉が、中央銀行が言葉によって、市場を思い通りに動かすという意味であるとすれば、そうした市場観、あるいは政策観には危うさを感じる」と語った。

物価だけ上がればよいわけではない      

景気の現状に関しては「海外経済が持ち直しの兆しを見せ、またグローバルな金融市場でもリスク回避姿勢が後退するなかで円安や株高が進行し、マインドも改善傾向にある。何よりも競争力と成長力の強化に向けた議論が始まりつつある」と指摘。新体制に対して「せっかくのチャンスなので、是非ともこれを生かし、日本経済が物価安定の下での持続的成長を実現するよう、適切な政策運営がなされることを期待している」と語った。

2%の物価目標に関連して、「われわれが実現したいことは、単に物価が上がればよいということではなく、デフレから早期に脱却し、物価安定の下での持続的成長を実現することだ」と言明。「物価が2%上がり、給料も同率上がるだけでは、国民の生活水準が向上するわけではない。物価が上がり、円の為替レートが同率で円安化しても、対外競争力が高まるわけではない」とし、「物価上昇の下では歳入も増えるが、歳出も増えるので、財政バランスの改善効果も限定的だ」と述べた。

その上で「実現したいことは、実質経済成長率、人口減少社会では1人当たり実質GDPやGNI(国民総所得)成長率になるかもしれないが、これらが高まり、その結果として物価上昇率が高まっていくという姿だ」と語った。

また、消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)の前年比上昇率について「消費税率引き上げの影響を除いてみても、2014年度中の平均はプラス0.9%と、同年度の後半には1%に達する可能性が開けつつある」と述べた。

貨幣だけですべては説明できない

デフレは貨幣的現象か、あるいはデフレの原因は何かという質問に対しては「ある意味でこれは5年間ずっと付いて回った問いだ。どのような経済活動もすべてお金を必要とするという意味では、すべての経済活動は貨幣的現象と言えるが、だからと言って、すべての経済現象を貨幣だけで説明できるわけではない」と指摘。

さらに、「仮にこの命題を、中央銀行が供給する通貨、いわゆるマネタリーベースを増加すれば物価が上がると解釈すると、過去の日本の数字、あるいは近年の欧米の数字が示すように、マネタリーベースと物価との関係とのリンクは断ち切れている」と語った。

その上で「デフレを克服する上で中央銀行の強力な金融政策が必要ないのかというと、もちろん必要だが、同時に、現在日本が置かれた状況を考えると、競争力・成長力強化に向けた幅広い主体の取り組みが不可欠だ」と述べた。

市場との対話

市場とのコミュニケーションが足りなかったのではないか、という質問に対しては「異例の事態の下で政策を展開していく上では、政策の背後にある経済情勢についての判断について丁寧に説明する、政策意図を丁寧に説明するとともに、ありうべき効果とコストについても丁寧に説明する必要がある、それこそが独立した中央銀行としての誠実な対応であるという思いで対応した」と語った。

その上で「もちろん、効果だけあってコストやリスクがないという政策があれば理想的だが、残念ながらそういう政策はない。金利水準が極めて低く、中央銀行のバランスシートも著しく拡大し、財政状況も非常に厳しいという現在の日本の状況では、効果とコストの比較衡量という視点は重要だ」と言明。「過去の経験が示すように、コストやリスクが顕在化するのはずっと後になってからであり、いったん顕在化した場合は、その影響は大きくかつ長く持続する」と語った。

5年間の任期中は「リーマンショック、欧州債務危機、東日本大震災、2回の政権交代と、めったには起きないことが次から次へと起きた」と指摘。「その下で急速な円高の進行をはじめ、経済・金融も当然大きな影響を受けた」と述べた。

総裁時代を含め39年間の日銀在職期間については「中央銀行の仕事は奥深い。大変恵まれた職業人生だった」と述べた。退任後については「明日からはまったく自由の身になるので、趣味のバードウオッチングを含めてゆっくりしたい」と表明。生まれ変わっても再び日銀総裁をやりたいかという問いに対しては「そんなふうには思っていない。人生はそれぞれチャレンジのしがいのあることがたくさんあるのだろうと思っている」と語った。

 白川日銀総裁が退任 受け身終始 市場そっぽ」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013032002000116.html

 東京新聞
日銀の白川方明(まさあき)総裁が十九日、四月八日の任期満了を待たずに退任した。リーマン・ショックや東日本大震災など未曽有の危機下で金融システムの安定に尽くした功績は大きい一方、デフレ脱却や本格的な景気回復を果たせないまま、表舞台を去る。 (白石亘)

 「激動の五年間だった」。白川氏は同日の退任会見で開口一番こう振り返った。長引くデフレから脱するため、在任中の金融緩和は十五回に及び、引き締めはゼロ。中央銀行としては異例となる値下がりリスクが大きい資産の購入を含む「包括緩和」にも踏み出した。それでも脱デフレを果たせず、責任を問われ続けた。

 日銀の対応は「受け身」との印象がぬぐえなかったことも、批判をさらに強める結果となった。例えばリーマン・ショック後、大胆な金融緩和をした米連邦準備制度理事会(FRB)より、緩和の規模が小さかった点を市場に突かれ、急激な円高が進行。市場や政治に促される形で緩和を繰り返した。今年一月の「2%の物価目標」の導入も、日銀法改正をちらつかせる安倍政権に押し切られた。

 また、市場への発信力でも、「副作用を強調し、自ら効果をそいでいる」(大手証券)との批判がついて回った。白川氏は「政策の効果とコストを丁寧に説明することが、独立した中央銀行の誠実な対応」と反論したが、二月に前倒しの退任を表明すると、新体制への期待から円安株高が加速。市場は残酷ともいえる反応を示した。

 二十日に就任する黒田東彦(はるひこ)新総裁の下で、日銀は「白川路線」と決別。大胆な金融緩和で市場への期待に働き掛けて緩やかなインフレを起こし、景気回復を目指す「リフレ政策」に転換する。これに対し、白川氏は会見で「市場を思い通りに動かすということであれば、そうした市場観や政策観には危うさを感じる」と懸念を示した。

 国内外の中央銀行を取り巻く環境については「(政府による)必要な経済、財政改革は十分に進まず、金融政策への要求が高まっている」と、中央銀行頼みの現状をやんわり批判した白川氏。自らの金融政策については「評価するには長い時間が必要」と述べるにとどめた。

 

野口悠紀雄氏が
「日本のTPP交渉参加を中国はどう見ているか」
http://diamond.jp/articles/-/33558
と題して、秀逸な論考を寄稿しています。

222日、TPP(環太平洋経済連携協定)に関する日米共同声明が発表された。ここで、「聖域なき関税撤廃は交渉参加の前提ではない」ことが確認された。これを受けて、315日、安倍晋三総理大臣はTPPの交渉に参加することを正式に表明した。このニュースは、中国にかなりのショックを与えたようである。

 今回は、日本のTPP交渉参加に対する中国の反応を、中国のメディアを通じて見ることとしよう。

アメリカのアジア政策の
一環としてのTPP

 最初に注意すべきことは、「TPPはアメリカのアジア戦略の一部だ」ということである。

 日本では、「TPPとは貿易自由化協定である」と単純に理解されていることが多い。しかし、これは自由化協定ではなく、「ブロック化協定」である。これは、実質的には日米のFTA(自由貿易協定)であり、その目的は、太平洋経済圏にアメリカ流の経済ルールを確立し、中国の成長をけん制することだ。

 日本は、安全保障の面でアメリカに依存せざるをえないという事情があるので、TPPがアメリカの太平洋戦略である以上、それには参加せざるをえない。これは、最初から課されている制約条件である。つまり、「経済的な利害得失を考慮してTPPに参加するか否かを選択する」というオプションは、日本には最初から与えられていないのだ。

 ところが、それでは国民を納得させることができない。そこで、TPPに経済的な意味付けを与えようとする努力がなされる。

 しかし、純粋に経済的に見れば、TPPにはほとんど意味がないのである。とくに、「日本の輸出を増やす」という観点から見ればそうだ。

 政府の試算がそれを明確に示している。TPPはGDP(国内総生産)を0.66%増やすというのだが、これは、「10年後に」ということだ。単純に年率で考えれば、GDPのわずか0.066%ということとなる。これは、「誤差の範囲」と言ってもよいオーダーのものだ。つまり、TPPがGDPを増加させる効果は、ほとんどないのである。

 こうした結果になるのは、アメリカの関税率は(トラックなどを除けば)すでにかなり低く、またアメリカ以外の参加国は経済規模が小さいので、日本の輸出に与える影響はきわめて小さいからだ。

 もちろん、農産物などの市場開放がなされることは、日本の消費者の立場からすれば望ましいことである。しかし、市場開放が目的であれば、日本が自主的に行なえばよいことである。関税以外の点での日本開国も、TPPによらなくともできる。それらは、日本が自発的に行なえばよいことだ。

 TPPが経済的にいかなる意味を持つかの検討は、十分行なわれていない。この問題については、拙著『製造業が日本を滅ぼす』(ダイヤモンド社、2012年。第8章)ですでに論じた。

日米政権のお家の事情

 今回の日米共同声明に至るまでの経緯を見ると、日米両国とも、国内の利害調整に配慮しつつ、形式的にTPP交渉に入ることを最優先してきたことが分かる。

 どちらの政権にとっても、それぞれの「お家の事情」がある。すでに述べたように、アメリカは、アジア戦略の一環として、日本を含むTPPを形成したい。しかし、オバマ大統領の再選には、自動車産業が集積するアメリカ北東部の支持が重要な役割を果たした。だから、自動車産業の利益には配慮せざるをえない。乗用車の関税はすでに2.5%と低いが、トラックは25%である。

 他方で、安倍政権としては、TPPを安倍経済政策の「3本の矢」の第3番目である「成長戦略」の一環として位置付けたい。しかし、当然のことながら、農産物の市場開放に反対する農業関係者に配慮しなければならない。

 だから、日米どちらの政権も、これらの点に配慮して実害を少なくしつつ、政治的な成果と見せることが目的なのだ。

 すでに述べたように、TPPはもともと経済的にはあまり意味がないものだ。それに加えて自動車や農業が例外になれば、経済的にはほとんど意味がないものになるだろう。

中国との関係における
国際政治問題

 日本では、TPPを貿易自由化協定と見なし、これが製造業の輸出を増やすという経済効果が強調されている。その半面で、これが国際政治的にいかなる意味を持つかが議論されていない。これは、大きな問題だ。

 とくに重要なのは、中国の反応である。TPPを中国の立場から見るとどういうことになるのか。これが日本では十分に議論されていない。

 第1に、中国は、TPPをアメリカ極東戦略の一部と位置付けている。アジア太平洋地域でのアメリカの戦略の一環であり、軍事戦略と同列のものだというわけだ。

 第2に、関税撤廃というよりは、アメリカの取引ルールを押し付けるという面を重視している。そして、その面においては、中国の現在の経済体制では適合できないとの認識がある。

 第3に、中国は、日本が対米関係を緊密化することを快しとしない。日中韓FTAを先行すべきだと考えている。

 このように、TPPは国際政治がからむ非常に複雑な問題である。

 日本でこうした視点が欠けているのは、多分、政府の説明を記事化することが新聞報道の中心になっているからだろう。中国のほうがTPPの性格を客観的に見ている面もある。

 日本のニュースを外国のメディアから見るのは重要な視点だ。ところが欧米のメディアは、あまり日本に関心を示さなくなってしまった。他方、中国にとっては、日本は重大関心事だ。だから、今回の交渉参加決定に関しても、多くの報道が行なわれている。

 インターネットを検索すると、ごく最近のものに限っても、きわめて多数の記事がヒットするのが印象的だ。中国がこの問題に深い関心を示していることがよく分かる。それは、危機感、焦燥感と言ってもよいほどのものである。アメリカのメディアがこの問題についてほとんど報じていないのと対照的だ。

 このような問題は、統計を見ているだけでは分からない。また、日本語や英語の文献でも十分な情報は得られない。どうしても中国語の文献を読むことが必要になる。

 さまざまな文献があるが、中国の公式見解に近いものを見るために、人民日報に掲載された文献を読むことにした。以下で読むのは、中国の検索サイト百度で、「TPP 中国 人民网」で検索して得られた記事の一部である(人民网は、人民日報のウェブ新聞)。

 なお、この分野の文献には、金融やマクロ経済の問題と違って、専門用語がほとんど登場しない。その半面で、文章の構造が複雑なものが多く、中国語の文章表現を学ぶには格好の教材になっている。

TPPをアメリカの
アジア太平洋戦略と見る中国

 以下は、「争区域易主 美国竭力拉日本加入TPP 制中国太影响」(地域貿易の主導を争い、アメリカは躍起になって日本をTPPに引き入れ、中国のアジア太平洋における影響力を牽制しようする)というタイトルの記事の一部である(2013年2月26日人民网)。

(原文)

 美国极推TPP,大体上有两个目的:一是要一步打开洲市经济快速增;二是要掌握太地区易体系及其规则的主导权其中有平衡中国来的经贸秩序化的一面,同亦有如何通过贸范的制定来大美国在本地区政治影响的一面。因此,TPP也是美国“重返洲”略的重要成部分,它与政治、事上的“重返”构成了一个整体。

(日本語訳)

 アメリカが熱心にTPPを推進するのは、大きく2つの目的がある。第1は、アジア市場の門を開け、アジア経済の高度成長という車に急いで乗るための第1歩を踏み出すこと。第2は、アジア太平洋地区の貿易体系とその規則に関して、主導権を掌握することである。そのなかには、中国の発展によってもたらされた経済貿易秩序の変化を平衡させたいという一面もある。同時にまた、貿易規範の制定を通じてアメリカの本地区における政治的影響力を拡大するという一面もある。したがって、TPPは、アメリカの“アジア回帰”戦略の重要な構成部分である。それは、政治的、軍事的な“アジア回帰”とともに、1個の総体を構成するものだ。

(一般用語)

 まず、頻繁に登場し、意味を補う役割を果たしているつぎの言葉に注目しよう。これらについては、すでに何度か述べてきた。

「是」(shì) は、be動詞に当たる。「有」(yǒu)は、英語のhaveに近い(持つ、ある)。「(進)」(jìn) は、外から内に移動することを示す。

「在」(zài)は、「存在する」。「要」(yāo)は要求する。

「的」(de)、「了」(le)については、これまでも述べてきた。

」(zhè)⇒これ。它(牠)()⇒それ。与(與)()⇒と。「因此」(yīncǐ)⇒それゆえ。

「一个」(yí ge)⇒一個、「两个」(liǎng ge)⇒二個。

 これらを( )で括り、キーワードを[ ]で括ろう。そして、単語の区切りと思われる個所に・を打つ。すると、つぎのようになる。

[美国]极・推[TPP],大体(上)(有)(两个)目的:一(是要)()・一步・打开[洲市・大],搭[经济][快速增](之);二(是)(要)掌握[太地区][易体系](及)(其)规则(的)主导权。()(其中)(有)平衡[中国展]来(的)[经贸秩序]化(的)一面,同(亦)(有)如何・通范](的)制定(来)大[美国](在)本地区[政治影响](的)一面。(因此),[TPP](也)(是)[美国][“重返・洲”]略(的)重要・成部分,它与[政治]、[事](上)(的)[“重返”]构成(了)(一个)整体。

 これだけでも、かなり読めるようになる。そして、つぎの言葉を辞書で引けば、完全に読める。中国語を知らない者が中国語の文章に接するとき、一番戸惑うのは、どこからどこまでが一つの単語なのかが分からないことなのである。上のような処理をすることで、それがはっきりするのだ。

极」(jījí)⇒熱心な。「推」(tuīdòng)⇒推進する。「大体」(dàtǐ)⇒だいたい。「()」(qiǎng)⇒大急ぎで。「搭」()⇒乗る。「通」(tōngguò)⇒を通じて。「重返」(chóngfǎn)⇒立ち戻る。「整体」(zhěngtǐ)⇒全体、総体。「洲」⇒アジア。

TPPの政治的側面を
重視する中国

(原文)

 美国是否能成功将日本拉入TPP,也就不再是一个粹的经贸问题,而有了更多的政治色彩,未来一地区政格局走向会生重要影响。可以想象,如果没有日本洲第二大经济体加入,TPP的影响力,以及于未来区域和全球范的制力就会小很多。而于日本而言,度在于一面要在政治上尽可能地足美国的个需要,另一面却必慎重考虑经贸上的得失。在两间权衡并做出决断,看来也不是件容易的事情。(丁

(日本語訳)

 アメリカが日本をTPPにうまく引き入れることに成功できるかどうかは、1個の純粋に経済貿易問題ではない。そうではなく、多くの政治的色彩を持つものだ。未来のこの地区の政経局面には重要な影響が生じる。つぎのように想像することができる。もし日本がこのアジアの2大経済体に加入しないとすれば、TPPの影響力、および未来地域と世界貿易規範の制約力に対するTPPの影響力は、小さくなる。日本に対して言いたい。アメリカの政治上の要求を出来るだけ満足させるという一面があり、他方で、経済貿易上の得失を慎重に考慮しなければいけないという一面がある。これは難しいことだ。2つの板挟みから出る決断をすることは、容易な事ではないように見える(記者:丁 )。

(一般用語)

 「是否」(shìfǒu)⇒…であるかどうか。「将」(jiāng)⇒まさしく。「可以」(kěyǐ)⇒可能である。「以及」(yǐjí)⇒および。「于(於)」()⇒に。「却(卻)」(què)⇒逆接の関係を示す。

「并(並)」(bìng)(「不」「没有」などの前で)なにも(…でない)。
「另」(lìng)⇒他に、別に。「很」(hěn)⇒とても。

「地」(de)⇒多音節の動詞・形容詞(句)などに後置され、前の語句が状語であることを示す。

个」(zhège)⇒この。「(這)」(zhè)⇒これ。「就」(jiù)⇒まさしく。

「如果」(rúguǒ)⇒(もし~、もし~なら)、これを含む文章を「仮定複文」と言う。

 前と同じように、これらを( )で、キーワードを[ ]で括る。そして、単語の区切りと思われる個所に・を打つ。すると、つぎのようになる。

[美国](是否)能・・成功(将)[日本]・拉入[TPP],(也)就(不再是)一个・粹(的)・[经贸问题],(而)(有了)(更多)(的)[政治色彩],[未来]()(一地区)[政格局]走向会[生][重要影响]。(可以)想象,(如果)(没有)[日本](个)[洲第二大经济体]加入,[TPP](的)[影响力],(以及)(于)[未来区域](和)[全球范(的)制力]就会・小(很)多。(而)()(于)[日本]而言,度(在)(于)一面・(要在)「政治」(上)尽(可能)(地)足・[美国](的)(个)[需要]、(另)一面(却)・必・慎重・考・[经贸上(的)得失]。[在][两](之)()[衡]并做出・决断,(看来也)(不是)件・容易(的)事情。

 これでかなり読めるようになるので、つぎの言葉を辞書で引く。

」(gòu)⇒達する。「拉」()⇒引き寄せる。「走向」(zǒuxiàng)⇒ (…に)向かう。「生」(chǎnshēng)⇒生み出す。「度」(nándù)⇒難度、困難の程度。「两」(liǎngnán)⇒(二つの選択肢の)どちらを取るのも難しい、ジレンマに陥った。

 この作業を行なったとしても、上の文章を完全に読むのは、難しい。とくに、「可以想象」で始まる第2文は、かなり複雑な構造をしている。「如果」が上で述べたように仮定を表し、「没有」が否定を表しているので、これは、「もし…でないならば」という構造だ。その結果が、「TPP」で始まる部分だが、この主語は、「影响力」と「制力」が「以及」で結ばれて構成されており、「未来区域」と「全球」が「和」で結ばれている。

 なお、「洲第二大经济体」とは、「アジアにおける日本とアメリカという2つの経済大国」という意味であろうと思われる。

 最後の文章は、「度」が2つの側面を持っていることを述べている。その2つが、「一面」と「另一面」で示されている。

 

繰り返し、僕も述べてきたように、中国は2010年に世界最大の工業生産額、2012年に世界最大の貿易総額となっています。その中国とアメリカが事を構える訳もなく、米中の間に浮かぶ島国の日本は、であればこそ、TPP賛成・反対の二元論を超えたオランダ的なヴェネチア的な立ち回りの戦略と戦術を持ち合わせるべきなんですけどね。
貿易や経済に留まらず。

それこそは、オランダ的・ヴェネチア的な「情報」の洞察力=勘性。
その意味では本日夕刊の以下の記事も脱力します。

 知事会「TPP情報提供を」

http://mainichi.jp/select/news/20130321dde007020049000c.html

安倍晋三首相は21日午前、全国知事会の山田啓二会長(京都府知事)らと首相官邸で会談した。山田氏らは、首相が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加を表明したことに対し、農業などへの悪影響が懸念されることから、関係国との協議内容について十分な情報提供と説明を行うことなどを求める要請文を手渡した。首相は「地方では農林水産業は生活そのものだ。情報提供できるように努力したい」と応じた。

 また、山田氏らは米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ4機が飛行ルートなどの事前連絡がないまま四国で飛行訓練したことについて、事前の情報提供などを行うよう求めた。首相は「米側に(情報提供を)要請している」と語った。

 あのねw「情報提供」「情報提供」と“お利口さんの一つ覚え”(爆)のように知事会側は繰り返してますけど、TPPが何たるか、なあんて既に判り切った話で、「情報提供」「情報収集」したって当の本人に、その「情報」の何処が重要だと「分析」「認識」し、如何なる「戦略」と「戦術」を「構築」「決断」「実施」するかの智性・勘性・温性が無ければ駄目駄目な訳ですよ(苦笑)。
ホント、戦後偏差値教育の「成果」ですね。「自分で考え・自分で語り・自分で動く」心智が欠落してしまった日本人です。

その意味では共同通信が速報した本日の以下の会見こそ、「東京新聞」ならず原発推進の「日本経済新聞」も「讀賣新聞」も一刀両断すべきでしょ。
白川方明氏の揚げ足取り記事を書いてる前にね。
白川発言を自家薬籠中の物として活かしてこそ、アベノミクスも真の国民益・国家益を生み出す触媒となるのですからね。 

東電福島本社代表が謝罪

 東京電力福島本社の石崎芳行代表が21日、福島県庁で記者会見し、福島第1原発の冷却システムが停止したトラブルについて「大変な心配と迷惑をお掛けし、深くおわびする。一日も早く原因を究明し、対策を講じる」と述べた。

3/21 14:22

安全性の指摘顧みなかった、と東電福島本社代表

 東電福島本社の石崎代表は、4号機の使用済み燃料プールの安全性に対する不安や指摘があることを認めた上で「顧みるのが不足していた」と述べた。

3/21 14:44

 

絶句ですね。モノ作り産業の匠が息づく日本は、斯くも「無能な大本営」を処罰も出来ずにいるのですよ(涙)。
ではでは、明日も気を取り直してwお届けしましょう。

tanaka@nippon-dream.com