私はグレートタコ社長さん のコメント
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第229号 2017.6.27発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが見舞われたヘンテコな経験を疑似体験!?小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…豪華2本立て!◆埼玉県警が、ある漫画家に対してエロ表現を規制するよう「申し入れ」をしていたという、信じられないような話が報道され、波紋を呼んでいる。表現の自由とは?“公序良俗に反する表現”に対してはどう考えるべきか?悪い影響を与えるようなものは一切ダメなのか?自主規制と権力の介入をどう捉えるべきか?…「表現の自由」の範囲を大きく保つためには何が必要か徹底考察!◆「不祥事一覧」連載再開!安倍自民党、ある意味「人材の宝庫」だ。こうも想像をはるかに超えて来るような人材、集めようとして集まるようなものじゃない。前回ようやく安保法制成立までのデタラメな動きをまとめたが、今回はその間に並行して行われていた不祥事の数々を記録する!
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…お友達の加計学園のために規制“強化”しておきながら「獣医師会からの強い要望で一校だけに限定して特区を認めた!地域に関係なく二校でも三校でも新設を認めてやるー!」と言い出した逆ギレ安倍晋三。幼児並みの安倍でもわかるよう「獣医学部全国展開が不要なワケ」を解説しよう!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!韓国の文在寅大統領は評価できる?給食は無理してでも完食すべき?若い世代に消極的ながら自民党を支持する人が多い理由は?アイドルという文化が日本だけなのは何故?ハーフの日本人が皇室の方と婚姻を結ぶのは歓迎できる?クラウドファンディングをどう思う?ニュース番組にはどういう人選が必要?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第232回「表現の自由と権力の介入」
2. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第38回「安倍でもわかる獣医学部全国展開が不要なワケ」
3. しゃべらせてクリ!・第187回「だるだる、ぐだぐだ、やる気が起きましぇ~ん!の巻〈前編〉」
4. ゴーマニズム宣言・第233回「第2次・3次安倍政権&自民党不祥事一覧(その6)」
5. Q&Aコーナー
6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
7. 読者から寄せられた感想・ご要望など
8. 編集後記
第232回「表現の自由と権力の介入」 埼玉県警が、ある漫画家にエロ表現を規制するよう「申し入れ」をしていたという、信じられないような話が報道され、波紋を呼んでいる。
事の発端は、埼玉県草加市在住の35歳の無職男性が、女子中学生にわいせつ行為をして逮捕された事件である。
男は「放射能の調査をする」などと言って住居へ侵入しており、その手口について「インターネットで知った漫画作品を模倣した」と供述した。
そこで県警は、その作者であるロリコンエロ漫画家を訪問し、作品内容が模倣されないようにと要請、漫画家も 「少女が性的被害に遭うような漫画は今後描かない」 と了承したというのだ。
ただし漫画家本人の弁では報道とはややニュアンスが違い、警察は菓子折りを持ってきて終始低姿勢で、ゆるい雰囲気の中で会話が行われたという。
そして漫画家は、問題の作品を描いたのは約4年前で、今は描きたいものの興味も変わっているし、犯人がその作品を見て真似たと供述していると聞いては、今後同じようなものを描く気にはならないだろうと答えたそうで、 「『表現の自由が脅かされた』とか『警察の圧力に屈した』とか『前例ができた』といった類の話だとは思ってほしくない」 とコメントしている。
だがこれは、今回「申し入れ」をした警察官の態度がどうだったかとか、それを受けた漫画家がどう思ったかとかいうことが問題なのではない。
表現の内容に関して、警察権力が介入してきたこと自体が、大問題なのだ!
共謀罪に反対した京都大学の高山佳奈子教授は 「表現の自由に対する重大な脅威」「性表現は弾圧されやすいが、同じ理屈ならミステリー小説やホラーなども規制されるべきことになってしまう」 と懸念を表明。
また、甲南大学法科大学院の園田寿教授は 「そもそも人は何から影響を受けるか分からないし、また行為を行った後で、なぜそのような行為を行ったのかの理由は、後付けでどんな理由でも考えることができる。いわゆる模倣犯がいるのは事実だが、それを防止するために事件報道や出版を控えたり、自粛を(警察が)求めることの方が、国の存立にとってはるかに危ういことである」 とコメントしている。
そもそも、何らかの犯罪を誘発するような作品は描いてはいけないなどと言われたら、わしは漫画を描けなくなってしまう。
昭和54年(1979)1月、早稲田大学高等学院1年生の16歳少年が、東京都世田谷区砧の自宅で祖母を金鎚で殴った上で、キリや果物ナイフでメッタ刺しにして惨殺した後、飛び降り自殺した。
少年は大学ノート40ページにぎっしり書かれた遺書を遺しており、そこには事件を起こした動機を 「エリートをねたむ貧相で無教養で下品で無神経で低能な大衆・劣等生どもが憎いから。そしてこういう馬鹿を1人でも減らすため」 とするなど、自らを「エリート」として、「大衆・劣等生ども」を憎悪する内容が綴られていた。
衝撃的な事件だったため、その「背景」が色々と取りざたされたが、その中で、 少年が筒井康隆の小説とわしの『東大一直線』を愛読していたことが報じられた。
それで、わしの影響で少年が殺人をしたかのような言われ方をして、非常に迷惑な思いをしたものだ。
ちなみにその2年後、わしは『東大一直線』の続編『東大快進撃』で、主人公が父親を金属バットでボコボコに殴りつけるシーンを描いている。これは当時話題となっていた、20歳の予備校生が両親を金属バットで撲殺した事件をモチーフにしているのだが、今だったら確実に「炎上」だ。
祖母を金槌で殴り殺した少年に影響を与えた漫画で、こんなシーンを描くなんて不謹慎極まりない!と非難轟々になることは必至、いや、それ以前に、編集部が描かせてくれないだろう。
表現の幅は、昔と比べて確実に狭まっている。
さらに『戦争論』では、より直接的に影響を受け、犯罪に及んだ者がいる。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
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