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リボンの騎士さん のコメント

【新・堕落論】は発売されて程なくして入手し、さっそく一度読み、その後何度か読んでいるのですが、なかなか感想を書けずにいました。
まず目次を見て「変わっているなぁ」と思ってしまいました。第一章から最終章まで、「太宰治のトカトントン」とか「日本はいつも八つ墓村」とか「“平定”こそが“平和”である」とか「弱者のルサンチマンゆえに」など、それら章のテーマがそれぞれにどう関係し、そして繋がるのか、何の予備知識もないと何について書かれてある本なのか、目次を見ただけではなかなか想像できないのではないかと思ったからです。
でも読み進めていくと、なかなか想像できなかったそれらの関連性について、一章ごとのテーマすべてが見事に繋がっていることがわかってくる。それぞれに通底しているものこそが堕落であり、ページをめくるたびにその実感ははっきり明確になっていくわけですが、それはとても厳しく、恐いことでもあったのだけれど、カタルシスさえ感じました。そして程なくして気づくのです。「ゴー宣は、そもそもが堕落論なのではないか」と。
どこの図書館にも置いてあるような古今東西の古典文学には、さまざまな形で「人間は愚かな生きものだ」ということが書かれてあります(たいして読んでいないので、我ながらエラそうですが)。社会を見つめ、それを論じることは、人間を考え、知ろうとしなければできないことだろうと思います。だからこの度の【新・堕落論】とされたゴー宣スペシャルは、文学や哲学の視点を意識的に交え、それらと極めて自然に融合されたのではないでしょうか。

一読者として勝手にも、とくにお気に入りの章を挙げさせていただけば、文学に関する章の「太宰治のトカトントン」「坂口安吾の“堕落論”」「夏目漱石の“こころ”」と、映画に関する章の「“マイノリティ・リポート”と共謀罪」「オーディエンスかロボット天皇」でした。今日はその中の第15章「夏目漱石の“こころ”」について、【新・堕落論】には関係ない内容になってしまうかもしれないのですが、少しだけ書かせていただこうと思います。
No.141
83ヶ月前
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第257号 2018.2.6発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…4週間に渡り、フェイクニュースとジャーナリズムの価値の崩壊、広告代理店とルールなき欲望の市場万能主義、その末に起き得る企業による情報統制について書いてきたが、その結果、その記事そのものが、企業による情報統制に見舞われるというトンデモが起きた!過去にFacebook社がベトナム戦争の象徴的な写真「ナパーム弾の少女」を一律に検閲し、「児童ポルノ」と認定して削除してしまったという事件を紹介したところ、なんとApple社から「『ナパーム弾の少女』は児童ポルノに当たる」として削除要請が来たのだ!なぜこんなことになったのか? ※「ゴーマニズム宣言」…日本相撲協会の理事候補選挙を前に、貴乃花親方はブログで「相撲界の未来」について語り、驚くほど端的に保守の精神を述べていた。ところが保守を名乗る言論人の間でも、貴乃花に対する評価は分かれる。例えば西部邁氏は生前、白鵬を評価して、貴乃花をボロクソにこき下ろしていた。保守を名乗っている人でも、社会問題についての見解がまったく異なることがあるが、果たして「真の保守」とは何なのか? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!安倍政権が調子に乗り続ける一番の原因は?毛糸のパンツやカイロを使うことはある?大竹まこと氏の娘が大麻所持で逮捕された件をどう思う?一番好きな果物は何?国民栄誉賞は政権の人気取りでは?無声映画は好き?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第67回「Apple社、『ナパーム弾の少女』を児童ポルノ判定」 2. ゴーマニズム宣言・第263回「相撲、表現規制、原発、対米関係…保守も意見は分かれる」 3. しゃべらせてクリ!・第215回「ぽっくんの未知との遭遇!ファースト・コンタクトぶぁい!の巻〈前編〉」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第67回「Apple社、『ナパーム弾の少女』を児童ポルノ判定」  AIが暴走したというフェイクニュースをきっかけに、仮想世界のなかに企業が作り出した欲望のシステム、それによる価値の崩壊と平板化、感受性の劣化へと引きずられそうになってゆく現実を書いてきた。  で、このまま無関心・無自覚のままでいると、一企業が設けた「わが社の規定」によって画一的な情報統制がなされてしまうよ、そう、Facebook社が「ナパーム弾の少女」を機械的に児童ポルノ判定して削除したようにね。 ・・・という記事を書いたら、その記事中の「ナパーム弾の少女」が児童ポルノ判定されて、削除させられてしまった!    まじか。 ■経緯  経緯を改めて書いておく。  1月30日に配信した記事について、翌31日までに、 Apple社 からニコニコチャンネルを運営するドワンゴ社に対して、「ナパーム弾の少女」が児童ポルノに当たるとして、削除依頼があった。  どうしてAppleから? 青天の霹靂すぎて驚いたが、ニコニコチャンネルにスマホから簡単にアクセスできる機能として、「ニコニコチャンネルアプリ」というものが配信されており、ライジングをスマホの専用アプリで簡単に見られるような仕組みがあったらしい……。  そして このスマホアプリが、Apple社の配信基準に合わせて運用されているため、ドワンゴを飛び越えて、Appleの規約に触れた ということだった。  ドワンゴにとっては、Appleと契約の上でスマホアプリのサービスを利用しているわけで、Appleをコントロールすることは不可能。ドワンゴのチャンネル担当者は、記事を読んでくれていて、 「記事の意図からも、該当画像が児童ポルノ画像には当たらないと考えている」 とのことで、なにか他に対応策はないか検討してくれたようだが、不本意ながら、現状では削除するしか方法がないということだった。 ■Appleは人道に反しすぎている  しかし、どこの誰が、あの写真を見てポルノだと思うのか。いるとしたら、相当特殊に病んでいる人間で、そのような特殊なごく一部の人間のために、紋切り型のルールを全世界に適用し、歴史的に重要な報道写真まで排除するなんて、Appleは異常すぎる。   だいたい、 ナパーム弾はアメリカが開発したもの だろう。あの写真だって、南ベトナム軍(=アメリカが加担した側)の空爆による実態を示しているのだ。広島・長崎の原子爆弾によって、身ぐるみを吹き飛ばされてしまった少女の写真があったとして、それを掲載したらアメリカの会社からポルノ呼ばわりされ、一方的に削除されるようなもの。人道に反するのもいい加減にしてもらいたい。  それに、あの写真に写っている少女、キム・フック氏は生存しており、大人になって、現在も反戦活動家として各国で講演を行っている。背中一面に壮絶なケロイド状の火傷の痕のあるキム・フック氏が、生まれたばかりの我が子を抱きしめる写真もかなり印象的だ。来日したこともあり、日本の大学などで講演会も行っている。 もちろん、あの写真をみずから説明しながら。   キム・フック氏は、自伝も出版しており、 自伝の表紙にも、あの写真が使われている。  しかも、少女時代の逃げ惑う自身の姿の部分をあえて明るく加工し、スポットライトを当てたようなデザインになっている。自身の存在意義を示す写真でもあるだろう。だが、その本の書影をここに掲載したら、またAppleから削除依頼が来るのかもしれない。 「The Girl in the Picture: The Story of Kim Phuc, the Photograph, and the Vietnam War」という洋書だ。戦争で過酷な体験をした生き証人である女性の自伝が、児童ポルノ扱いされるなんて、本当に腸の煮えくり返るデタラメな世界だ。 ■たどりつかない…  こういうことを、直接Appleに言って、見解を聞こうと思ったのだが、まず、どこに連絡したらいいのかがわからない。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!