M.Oさん のコメント
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第293号 2018.11.27発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…1950年代、ドイツが戦後復興のために受け入れた大勢の外国人労働者=ガストアルバイター。彼らは当初、「労働契約満了後には母国に帰る人々」と認識されており、あくまでも短期の出稼ぎ労働者とみなされていた。就労期限が過ぎたら帰国する外国人労働者たち…「入管法改正案」の議論における現日本政府の説明と同じである。果たして「ガストアルバイター」の結末とは?
※「ゴーマニズム宣言」…今月14日にシンガポールで安倍とプーチンが日露首脳会談を行い、平和条約交渉を加速させることで合意した。しかし安倍は「東京宣言」ではなく「56年宣言」を基本とすることでプーチンと合意してしまったのだ。これは、北方領土交渉の重大な、そして最悪の方針転換を意味する。日本政府、いや国民は、本当にこのまま北方領土を諦めてしまって良いのか!?
【今週の目次】
1. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第106回「移民政策の行く末、ドイツの『ガストアルバイター』に学べ」
2. ゴーマニズム宣言・第302回「北方領土交渉の敗北」
3. しゃべらせてクリ!・第250回「カメ乗り世界一の妙技を見てクリクリ~!の巻〈前編〉」
4. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
5. 編集後記
第106回「移民政策の行く末、ドイツの『ガストアルバイター』に学べ」 ドイツは、 全人口の約14%にあたる1200万人が移民 という超移民大国だ。2015年のヨーロッパにおける難民・移民危機では、メルケル首相が移民受け入れを主導し、約110万人を受け入れた。
しかしその年末、大事件が起きた。2015年12月31日から翌1月1日にかけて、ケルンの駅前広場に集まった新年を祝う群衆のなかで、外国人男性らによる集団レイプ事件が発生したのだ。判明しているだけで1000人以上の女性が大勢の男性らに取り囲まれ、その場で強姦・強盗の被害に遭った。被害者は10代~20代の女性たち、容疑者の多くは北アフリカやアラブ諸国からの難民希望者や不法移民だった。
ドイツでも特に西側のケルンは、治安が良く安全と言われていたが、この事件によってドイツ社会は震撼。以降、反移民デモが続発し、極右政党の支持が勢いを増した。結果、メルケル首相は地方選挙で連敗し、与党党首と首相の座を「今期限りで退任」と表明するに至った。
■ドイツの教訓「ガストアルバイター」
2015年の移民危機以前から、 ドイツはもともと「移民受け入れに失敗した国」という教訓を持つ国 だった。失敗の原因は、1950年代、戦後復興のために南欧から受け入れられてきた外国人労働者たちの存在だ。
多くの肉体労働者が必要だった西ドイツは、送り出し国へドイツ人医師を出向かせ、現地の男女の身体検査・能力検査を行い、「合格」と判断した者に就労を許可していった。裸の労働者たちが並んで身体検査を受ける古い映像が残っているが、さながら「奴隷市場」である。
イタリア、スペイン、ギリシャなどから多くの労働者が西ドイツを訪れたが、それでも人手が不足すると、大勢のトルコ人が国境を渡った。
当時のドイツ政府は 「就労期限が過ぎたら帰国させる便利な低賃金労働力者で目下の人手不足が補える」 と考え、送り出す側の国は 「ドイツで外貨を稼ぎつつ、最新技術を母国に移転できる」 と考えていた。そして外国人労働者たちは 「短期間で高収入を得られる」 と考え、ドイツ国民たちは 「きつい・汚い・危険な肉体労働を外国人にやってもらえる」 と考えていた。
ドイツの経済発展が見えていた時代、それぞれの “目先の期待” が一致していたのだ。
彼ら外国人労働者は、 「ガストアルバイター」 と呼ばれた。「ガスト」はドイツ語で「客(ゲスト)」という意味だ。 当初は「労働契約満了後には母国に帰る人々」と認識されており、あくまでも短期の出稼ぎ労働者とみなされていた。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
「改正入管法」が衆院通過してしまいました。
政府が経済界からの要請にそのまま応じてしまうというのは、ひょっとして来年に予定されている「消費税増税」のバーターなのではないか、と勘ぐってしまいます(コンビニは対象の業界から、とりあえずは外れたらしいですが)。
何しろ、臨時国会に入って突然、入管法の改正待ったなし、と政府が言い出したので。
人手不足というのも、元々は少子化に端を発するものですが、昨年に安倍晋三は「少子化は国難」と言って「国難突破選挙」を敢行しましたよね。
この一年、少子化問題について議論が行われたでしょうか?
マスコミは「その時々の政府のやり方」だけでなく、縦軸を俯瞰するような報道も増やしてほしいです。
ただ、「移民政策」そのものの是非について問うた国会議員、もしくは専門家といった方々が極めて少なかったのかなといった印象です。
毎日新聞を読んでみても、「労働環境の実態が放置されたまま」「詳細は法案成立後に決定」といった議論の拙速さを批判する論調がほとんどで、「そもそも移民政策について」という「そもそも論」に切り込んだ内容が見られません。
そこに触れると、移民を拒む「排外主義」と目され、「多様性」を尊重しない態度として批判されることを、恐れているかのように(毎日新聞は左翼なので、そこまで切り込むつもりはないのかもしれませんが)。
マスコミは「#Me Too運動」とか「医療現場の男女比」などは、すぐに海外の例を持ち出して解説するのに、「移民政策」については海外の「成功・失敗」事例を持ち出さず、「労働環境の改善を」とか「共生の道を」という「移民ありき」でふわっとした無難な報道しか行っていません。
これから先の国の在り方を見据えず、すごく近視眼的な切り取り方が多いです。
これでは「外国人居住が少ない地域の人」「そこまで人手不足を感じない業種の人」などにとっては、自分とはあまり関係がない問題であるように感じてしまうかもしれません。
経済界の「人手不足だから、今だけ」という発想も、すごく刹那的ですよね。
昔は10年先、20年先を見据えていたり、利益を社会に還元することを考える経営者が多かったろうと思うのですが、グローバリズムと新自由主義が蔓延するとそうも言っていられなくなるのでしょうか。
ただ、今回の法案で少し気になって、すごく久しぶりにYahoo!ニュースのコメント欄を見てみたのですが、予想に反して「法案反対」を述べるコメントが目立ちました。
法案に賛成しているコメントもありましたが、それらは軒並み「そう思う」クリックよりも「そう思わない」クリックの方が大きく上回る、という状況。
ネトウヨは、単に中国人が増えるのがイヤだ、という発想なのかもしれませんが、必ずしもこの法案は支持されているとは言えないようです。
だったら、野党もマスコミも恐れずに「そもそも、日本に移民を受け入れるのに賛成? 反対?」と問い質してみればよかったのではないでしょうか?
12月の『ゴー宣道場』を前に、そこは議論の気運を高めてほしかったところです。
「東京五輪」や「大阪万博」もそうなんですが、特にマスコミは事を荒立てたくないあまりに、問題を「勝手にタブー化」しないでほしいと思います。
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