M.Oさん のコメント
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第336号 2019.11.26発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…在任期間が憲政史上最長記録を更新した政権が、たかが「桜を見る会」で倒れたりしたら、本当に笑い話である。安倍政権自体を擁護したいわけではないが、こんなちっぽけなことで政権が崩壊するような事態が起きたら、それは日本のためにはよくないのではないかと懸念する。それはなぜか?安倍政権が憲政史上最長記録した真の理由と、日本が世界で生き残るために必要なことを徹底的に考えよう。
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…世界初のフルカラー長編アニメーション映画は、1937年に公開されたウォルト・ディズニー制作『白雪姫』である。「白馬に乗った王子様を待つ、可哀想でいたいけなお姫さま」「私情に囚われた恐ろしくて冷酷な女王」…それがディズニーが長年描いてきた女性像である。ところがそんなイメージをすっかり覆したのが『アナと雪の女王』だ。果たして、ディズニーが描く女性像の変遷から何が読み取れるのだろうか?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!庶民は実感できるレベルの小悪の方が怒りを抱きやすい?皇室典範の変更について天皇陛下はじめ皇族の方々が意見を言うことはできないの?若くして亡くなった役者で老いた先の演技を見たかったと思うのは誰?ニューヨークのレストランでフォアグラの提供が禁止になることをどう思う?外国人労働者を雇おうとしている父をどう説得すれば良い?茶魔のほっぺが赤まるなのは何故?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第350回「小悪に挑む小物の野党という構図」
2. しゃべらせてクリ!・第294回「柿野くんの心はいくらで買えるとでしゅか~?の巻【後編】」
3. 泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第147回「ディズニーの描いた王女像、女王像の変貌」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第350回「小悪に挑む小物の野党という構図」
在任期間が憲政史上最長記録を更新した政権が、たかが「桜を見る会」で倒れたりしたら、本当に笑い話である。
安倍政権自体を擁護したいわけではないが、こんなちっぽけなことで政権が崩壊するような事態が起きたら、それは日本のためにはよくないのではないかとわしは懸念する。
この夏、『新聞記者』という映画が公開され、勇気ある安倍政権批判映画として話題になった。
この映画は、記者会見における執拗な質問で菅官房長官を怒らせたことで名を上げた、東京新聞の望月衣塑子記者の同名手記などを原案としており、望月本人や、加計学園問題で安倍政権に不利な発言をした元文科官僚の前川喜平も出演している。
公開にあたって望月は「萎縮や忖度が蔓延し、時に息苦しさ感じる日本社会の中で、一人一人がどう直面する問題に向き合い、声を上げ社会を変えていけるのか。映画を観た方々が一歩を踏み出す勇気を持って頂けたらと思います」とコメントした。
映画は左翼方面に大絶賛され、 「優れた社会風刺、政権批判作品が多く作られ広く上映され大々的に評価されてきたのは欧米ばかりだったが、待望の日本舞台の日本のための作品」「間違いなく日本映画の特異点であり、転換点にもなり得る大傑作。監督キャストはじめ今作に携わった全ての人に最大の敬意と感謝を」 といった賛辞が並んだ。
そこで、わしも『新聞記者』を見てみた。
だが、見終わった感想は「バカじゃないの?」だった。
フィクションとはいえ、現役新聞記者の手記を原案に、露骨に現政権の批判・風刺を目的として、現実に起きた伊藤詩織さんレイプ事件の容疑者逮捕もみ消しや、加計学園問題などをモデルにしたストーリーを展開しているにもかかわらず、この映画は一番肝心なクライマックスにくると、突然SFになってしまう。
なんと、明らかに加計学園を思わせる、政府が強引に設立を進めていた大学は、実は政府が生物兵器開発に転用しうる研究施設として秘かに構想していたもので、その地下には秘密の細菌兵器製造プラントが建設されていたという話にぶっ飛んでしまうのだ!
なんだこれ? 昭和の仮面ライダーか? 安倍政権って、悪の秘密組織「ショッカー」か? こんな荒唐無稽な話、今どき仮面ライダーでもやらないぞ!
いくらなんでも、現実の政権がやってもいない「巨悪」をでっち上げて叩いたのでは、批判にも何にもなりはしない。
なぜこんなことになったのかといえば、現実の安倍政権が「巨悪」ならぬ「小悪」であり、やってる悪があまりにもちっぽけすぎて、映画にならなかったからだ。
これがアメリカだったら、ベトナム戦争に介入するために自作自演の事件を起こしたり、イラク戦争を起こすためにありもしない大量破壊兵器の脅威を煽ったり、本当にスケールの大きな陰謀をやってしまう巨悪がいる。だから、これらを告発し、批判する映画が成立するわけで、傑作も数多い。
それに対して安倍政権はというと、官僚の自殺者まで出した最大の悪事である加計学園問題でさえ、 「お友達に利益誘導するために、強引に学校を新設させた」 という、たったこれだけのことである。
これではあまりにもスケールが小さすぎて、つまんない映画しかできない。だから現実離れした陰謀話を盛りに盛って、無理やり「巨悪」に仕立てるしかなかったのだ。もっとも、それも陳腐すぎてちっとも面白くなかったが。
安倍政権の悪の本質は 「忖度とお友達優遇が蔓延する公私混同」 でしかなく、こんなセコくてみみっちい悪を映画にして告発したところで、何の説得力もなく批判が成り立たない。
あまりにもちっぽけな悪だというところに、安倍政権を風刺することの難しさがあるのだ。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
安倍晋三が小悪人というのは全く同意です。
取り巻きの菅義偉も同様で、ちょっとしたことですぐに感情的になるというところがいかにもちっちゃいですよね。
人物的には二階俊博とか麻生太郎の方が、ふてぶてしさを備えているような気がします(政治家として支持できるかどうかは別として)。
立憲民主党は国対委員長を辻元清美から安住淳に変えたけど、やってることは同じですね。
辻元にアレルギーを感じる有権者に配慮したということなのか? と勘ぐりたくなります。
年末辺りから、国民民主党との合流に向けて協議するらしいですが、両者ともに「吸収されるのはイヤだ」と警戒感を持ちながらの話し合いになるそうです。
どうでもええわ!
お前ら単独ではとても支持できる政党ではないから支持率がじり貧で、だからこそ合流を模索しているのだろうに、今更アイデンティティにこだわっとる場合じゃなかろう!
先日まで紛糾していたイギリスの議会を見ていると、野党である労働党が傍若無人なジョンソン首相にきちんと現実的な対処をしているように感じられて、本来かくあるべきなのだろうと思いました。
ジョンソンの訴える解散総選挙を再三否決に持っていきながらも、最終的には「公」のために国民に信を問う選択肢を採った、というのは、その間に議論を重ねているからだろうと考えます。
日本だったら、最初から欠席して審議拒否に持って行ってしまうのかも。
枝野幸男や立憲民主党への個人献金が激減したというのは、非常に分かりやすい現象ですね。
皆、裏切られたと感じており、鳩山民主党時代と何ら変わっていないという事実が明らかになったからなのでしょうね。
そういえば秋篠宮さまが11月30日で54歳のお誕生日を迎えられ、その時の記者会見で眞子さまの結婚延期について「来年2月で(延期を発表して)2年になる。何らかの発表をしなければいけない」と回答されていました。
女性宮家の議論が深められていれば、皇族方のご心配ももう少し払拭できたのではないでしょうか。
そしてそれを立憲民主党が積極的に推し進めていれば、有権者の見る目も変わってきたはずです。
「桜を見る会」の追及は、来年の開催中止決定を得た時点で終わりにすべきでしたね。
珍しく「成果を得た」がために、味を占めてしまった感があり、何ともちっちゃいなあと思います。
『アナ雪』は先日、ようやくレンタルで観ました。
「女性活躍」というテーマに関しては、よしりん先生のブログなどで知っていましたが、何とここまでとは!
アンチ「白雪姫」を、当のディズニーが作ってしまうとは!
まあ、あのキャラはちょっと胡散臭いぞとは誰もが思っていただろうけど、じゃああっちか、と思わせておいてからの「真実の愛」炸裂!
元ネタであるアンデルセン童話の『雪の女王』では、「雪の女王」は人さらいをする悪役でしたけど、『アナ雪』の女王・エルザは色々な意味で画期的なポジションにあるキャラでした。
生まれながらに持っている特殊能力というのは、これまでのエンタメやファンタジーでは肯定的なものとして描かれてきました。
それを使って悪者をやっつけ、自分に自信がついたとか、正義感に目覚めるといった展開が圧倒的。
でも、本作では特殊能力ゆえに孤立し、苦悩を抱える人物として描かれています。
こういうテーマは、現在放送中のTBSドラマ『四分間のマリーゴールド』で扱われていますし、一昔前では宮部みゆきが得意としていました。
これらは、ストーリーがシリアスで湿っぽいものになっているわけですが、王道ファンタジーでぶっちぎりの面白さを保ちながらこのテーマにさらりと触れる、というのは今までにはなかった展開だなと思いました。
いずれにせよ、非常に今日的なストーリー。
こうした時代に即した内容の映画が、続々と誕生するのがアメリカ映画界の素晴らしいところなのだと思います。
日本映画界、大丈夫かと最近心配になります(むしろ地上波連ドラの方が、頑張ってる作品が多いような気がしますね)。
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