希蝶さん のコメント
このコメントは以下の記事についています
号外 2020.1.28発行 【目次】
1. ゴーマニズム宣言・第358回「山口敬之の慰安婦ねつ造記事」
2. 泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第153回「検察審査会というブラックボックス」
第358回「山口敬之の慰安婦ねつ造記事」 最新刊『慰安婦』が明後日・30日、幻冬舎から発売される。
これは、わしが24年前に参戦したいわゆる「従軍慰安婦論争」の集大成であり、特に当時のことを知らない人に読んでほしいという思いを込めて作った本である。
あの当時は自虐史観全盛で、慰安婦といえば問答無用の被害者であり、日本は謝罪するのが当然、それに異を唱えるような奴は極悪人という全体主義的な空気が完全に出来上がっており、わしは出版界から干されることまで覚悟して戦いに挑んだ。
その戦いは熾烈を極めたが、幸いにして奇跡的な勝利を収めることができ、自虐史観の空気は薄められ、少なくとも国内においては慰安婦の実相というものがかなり知られるようになった。
その経緯はライジング読者の方ならご存じだろうとは思うが、しかし、それも20年前のことである。時代は一瞬たりとも止まってはいない。下からどんどん当時を知らない世代が育ってくる。それをいいことに左翼は、とっくに論破された詭弁をそっくりそのまま繰り返し始め、若い世代を洗脳しようとしている最中だ。
そうなるとこちらも対抗する手段を取らなければならない。『慰安婦』はそのための本である。
そしてさらに問題なのが、保守側の連中である。
わし自身の使命は、自虐史観全体主義の時代に風穴を開けたところで終わったものだと思っていた。わしには他にも描きたいものが山ほどあって、いつまでも慰安婦問題ばかりやっているわけにもいかないし、保守論壇には他にも人がいっぱいいるのだから、後は誰かが引き継いでやってくれるものだと思っていたのだ。
ところが実際には、日本の保守論壇にいたのは自称保守・エセ保守ばかりで、本物の保守は全然いなかった。その劣化の度合いはすさまじく、左翼の企みに対して全く対抗できないばかりか、自ら事態を最悪の方向に追いやってしまうオウンゴールを連発して、慰安婦は「性奴隷」だったという認識を海外に定着させてしまった。
そして安倍首相は日米首脳会談で、ブッシュ米大統領(当時)に対して慰安婦問題について謝罪し、共同記者会見で慰安婦とは「20世紀の女性の人権侵害」だったと認める発言をしてしまった。
しかし自称保守の連中は、その失点に気づいてもいないという呆れ果てた有様なのである。
そうなると結局は、わしが戦うしかないということになる。これも、『慰安婦』を出版することになった理由の一つである。
今回はそんな『慰安婦』の出版を記念して(?)、慰安婦問題における自称保守の劣化の極みと言うべき事例を紹介しておこう。
週刊文春2015年4月2日号に 「歴史的スクープ 韓国軍にベトナム人慰安婦がいた! 米機密公文書が暴く朴槿恵の“急所”」 と題する記事が載った。
記事の筆者は、「あの」山口敬之! 伊藤詩織さんをレイプした犯人であると東京地裁に認定された、総理ベッタリ記者の山口敬之である。
その内容は、 「ベトナム戦争当時、韓国軍が南ベトナム各地で慰安所を経営していた」 というもので、山口が全米各地を取材して「韓国兵専用の慰安所がある」と米軍当局が断定している公文書を発見、さらに証言者のインタビューで裏付けを得た…というものだった。
だが、この記事は完全に捏造だったことを週刊新潮が暴いたのである。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
ゴーマニズム宣言・第358回「山口敬之の慰安婦ねつ造記事」
以前、川端康成が祖父の死に際を淡々と克明に描写した作品を読んだことがありますが、作家はともかくとしても、ジャーナリストは実際に自分の目で体験したことを淡々と克明に描いていかなければいけないのではないか、と思い、その意味でも「Black Box」が優れていることが良く分かりました。加えて、権力におもねる文章屋が、見当違いのことをすると、周囲にどれだけ甚大な損害を与えるのか、ということも感じました。これは他人事ではなく、自分自身も他者のためにした、と思っていることがそうではなかったという場合があるので、外から見た自分を観察するようなことをしないといけないのでは、という気持ちを新たにしました。
慰安婦の問題は、戦場における必要悪のようなもので、それがないと戦地の住民に損害と大きな傷痕を与える物であり、先日のSPA!の内容と重なりますが、現代の感覚で吉原遊廓を悪の巣窟と決め込んでしまう愚と同じなのだろう、その意味で山口という人も時代の思想に囚われており、お釈迦様の手から脱出できない孫悟空と同じなのではないか、という気がします。ジャーナリストは現代の人間が求めるものを感じつつ、時代や歴史、伝統やその土地の風俗・風習にも目を向け、全世界的な視野で物事を捉えなければいけないのでしょう。歴史家に通ずるところがある、とも言えるのでしょう。
権力の忖度やおべっかをする位なら、転職を考えた方がよいのではないか、と山口という人のことを評価します。いっそ、ファンタジー作家にでもなった方がよろしいのではないのでしょうか(ファンタジーだって、決して莫迦にできたものではない、とも思います)。
泉美木蘭の「トンデモ見聞録」・第153回「検察審査会というブラックボックス」
こちらも、権力という暴力がなすことはなんと理不尽なことなのか、という感慨を(いまさらながら)抱きました。自分たちに都合が悪いことは、何でも黒くしたり、簡素化すればいいのでしょうか。暴力の側からすれば、たかだか女がどうこうされた、位にしか思っていないのでしょう。政治家の不正に対しては公正に働いている政府機関も事の軽重をつけているのでしょうか。こういう犯罪に軽重はない、ただ不正があるだけだ、という視点に基づいて、審査をおこなって欲しい、そうでない政府を信頼できるのか、ということも考えて欲しい、と思いました。
それでは、次号を期待します。はやく新型コロナウィルスの蔓延が収まりますように。
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