希蝶さん のコメント
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第348号 2020.3.4発行 小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…新型コロナウイルス問題、さすがにトイレットペーパーの買い占め騒ぎまで起きたのには驚いた。不安とパニックで、大衆から冷静な判断が失われていく様子は東日本大震災直後のことも連想させられる。そしていま、この混乱に乗じた「火事場泥棒」がいる。安倍晋三首相は2月27日、新型コロナウイルス対策として全国の小中学校、高校、特別支援学校を3月2日から春休みまで臨時休校にするよう要請した。これまでの対応は「無為無策」としか言いようがなく、海外からは「Where's Abe?」と揶揄された安倍首相が、なぜ今、そんな強権を奮ったのか?こんなのは「大英断」でも何でもない!!政権とマスコミの共犯を許すな!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…20代の間に「固定電話恐怖症」が広がっているという。会社にかかってくる電話の音を聞くだけで動悸や息切れがはじまったり、体が震えたり、手に汗をかくなどの症状が出るらしいのだ。固定電話に恐怖を感じる理由とは何か?そこにはどんな深層心理があるのか?そしてなぜそういう若者が増えてしまったのだろうか?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!「考えながら生きる」ためには何が必要?バブル期の女性は甘やかされていたのでは?プロとアマチュアのモチベーションの違いとは?視聴率や漫画の人気投票は、本当に信用すべきバロメータなの?作家にとって自分の本が図書館に置かれるのはどういう気持ち?日本は母性文明の国?女性の地位向上が進まない原因の一端は、自称フェミストにあるのでは?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第363回「コロナ・政権とマスコミの共犯」
2. しゃべらせてクリ!・第305回「へぶるわっ! 今どき希少品種のヤンキーしゃん登場ぶぁい!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第157回「固定電話恐怖症~若者はどうして電話が怖いのか?」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第363回「コロナ・政権とマスコミの共犯」
さすがにトイレットペーパーの買い占め騒ぎまで起きたのには驚いた。50年近く前のオイルショックの時代にタイムスリップしたかのようだ。
不安とパニックで、大衆から冷静な判断が失われていく様子は東日本大震災直後のことも連想させられる。
そしていま、この混乱に乗じた「火事場泥棒」がいる。これは決して見逃してはならない。
安倍晋三首相は2月27日、新型コロナウイルス対策として全国の小中学校、高校、特別支援学校を3月2日から春休みまで臨時休校にするよう要請した。
これは法的根拠のない要請で、与党議員にも事前の説明はなく、安倍首相に近いとされる議員もその多くが報道で初めて知って「驚いた」と口々に語った。
決定はほとんど安倍の独断らしく、官邸内でも危機管理における「政」のトップである官房長官・菅義偉、「官」のトップである官房副長官・杉田和博の両名にすら事前の相談がないという異例の意思決定が行われ、自民党の新型コロナウイルス関連肺炎対策本部長である元厚労相・田村憲久も「事前に聞いていなかったので、突然で驚いた」と述べている。
この要請、わしには全く理解ができない。
臨時休校や学級閉鎖などは、その学校ごとに判断すればいいことだ。感染者が続出している北海道なら休校が必要だといえるが、2月29日現在、東北地方の感染者数は仙台に1人、中四国地方は徳島県に1人だけである。全く患者のいない県の学校まで政府が一律に休校とすることに、一体何の意味があるのだろうか?
これはわしだけが言っていることではない。安倍側近と言われた元文科相の柴山昌彦までが報道で初めて知って、「亡くなった方が出ている所と、感染者が報告されていない所と、一律の対応というのは、柔軟性に欠けるのかなと。唐突ではないかなと思う」と言ったほどである。
しかも子供の感染例は比較的少ないのだから、それよりも老人に対する診療体制を充実させる方を優先させるべきではないのか。
それなのに、この要請に対して自称保守のみならず、普段安倍政権を批判している左派メディアからも「英断だ」と絶賛の声が上がったものだから、わしは呆れかえってしまった。
そもそもここまでの安倍政権の新型コロナウイルスへの対応は「後手後手」どころか「無為無策」と言うに等しく、ここまで感染が広がったのは、阪神淡路大震災の村山政権、東日本大震災の菅政権にも匹敵する、安倍政権の「人災」というべきである。
本来なら今年1月6日、武漢からの帰国者に初の感染が確認された時点で徹底した水際対策を取らなければならなかった。ところが政府は春節のインバウンド需要欲しさに中国人観光客を入国禁止にせず、ウイルスを国内に招き入れてしまった。
わしは早い時点で「中国人観光客を入国禁止にしろ」と唱えたが、そういう意見は「排外主義」扱いされる始末だった。
スイスのロシュ社は、武漢での感染が発覚すると緊急にわずか数日で検査キットを開発し、中国湖北省に無償提供していた。 だからダイヤモンドプリンセスの件では、ロシュのキットをさっさと輸入して、直ちに乗客乗員の全員検査をすればよかった。
ところが実際は全員検査をせずに乗客乗員を船内に閉じ込め、船をウイルス培養の「巨大シャーレ」にしてしまい、無駄に感染者・死者を出し、その失態を世界中に大宣伝してしまった。
もともと感染症対策は厚労省だけの問題ではない。国民の行動制限など、厚労省ではできない問題も多く関連するので、全省庁を横断する体制を作り、そのトップに首相が就いてリーダーシップを発揮するというのが当然の形式だ。
ところが安倍は責任を取りたくなかったのか、これを厚労省マターにして対応を加藤勝信厚労相に丸投げし、自らはずっと表に出てこなかった。
これは海外から見れば明らかに異常で、米ロイター通信は「Where’s Abe?」(安倍はどこだ?)と揶揄、国内の内閣支持率も急落した。
なにより安倍首相にとって重要なのは、3月末にも始まる東京五輪の聖火リレーである。東京五輪が中止になったら、莫大な経済的損失が出る。
それに焦ったものだから、安倍は急にしゃしゃり出てきて、必要ともいえない「全国小中高一斉休校」を唐突に言い出して極端な強権を振るい、「子どもの健康安全を第一に考え」ただの「ここ1、2週間が極めて重要な時期」だのと言って大見得を切ったのだ。
あまりにも見え見えの、政権維持のためのパフォーマンスである。ところがこれに左翼まで騙されて、「大英断」と絶賛したのだ。安倍は、チョロいもんだと内心舌を出したことだろう。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
異例ですが、木蘭さんの記事から感想を記します。
泉美木蘭のトンデモ見聞録・第157回「固定電話恐怖症~若者はどうして電話が怖いのか?」
自分も電話応対が下手な方で、いちおう、相手の氏名とかけてきた時間、電話番号と要件を聞くことはできますが、込み入った内容になると、「ただいま係の者は席を外していますが」となり、内線でも同じような対応をしてしまいます(これが一番問題)。こんなんで、よく受験生のフォロー電話とかやっていたな、と自分を恥じています。
いちおうよく言われることは、木蘭さんも指摘しているように、「電話の先の相手は何をする人ぞ」ということで、これは相手のことをいちおうは考えているのだろうと思います。敬語もちゃんと使えているかどうかも気になります(少なくとも、自分はそうです)。
しかし、今回の内容にあるような「固定電話恐怖症」というのがあるのは初めて知りました。私にとっては、メール文の方が、失礼がないか、とか、相手の反応が見えない分、どんな返事がかえってくるのか分からないという恐怖感があります。極端なことを言えば、「貴方のせいで人生が滅茶苦茶になった、誠意ある対応をしてくれ」とかいう返事かも知れないし(本当にそういう脅しのメールを貰ったことがあるんですよ)。
自分も対人恐怖症の方で、空気を読むとか他者の表情を読み取るとかいうと、何だかテレパシーか読心術か、ホームズのような世界や能力みたいに感じてしまうので、人のことは言えないのですが、人とのふれあいが少ないと見識が狭いものになり、歪んだものになるのだ、ということを理解しました。優しい言葉だけでは駄目で、厳しくとも「艱難汝を玉にす」みたいなものが必要なのでしょう。その試練を与えてくれるのが共同体で、自分を守ってくれると同時に、鍛えてくれるのも優しさなのかも知れないと思いました。今後の社会不安の解消のためにも、新しい社会共同体を構築し、「未来への希望」を繋げるよう努力できたら…と、とりあえず分に過ぎた「願望」を述べておきます。自分の場合は、まずは「普通」コンプレックスを何とかするのが肝要でしょう。
本日のブログの感想も少し述べておきますが、「綸言汗の如し」とはこういうことを言うのかな、と見当外れかも知れないことを述べておきます。マスコミも「綸言」をある意味発しているのであり、羊番が狼の虚報を流し続けていると、信用されなくなる、あるいは狼は村の周囲を徘徊するのが常だという感覚になり、狼が幻だという真実を述べても、誰も見向きもしなくなるのかも知れない。万が一、狼が来た場合のことを想定するのが常識になってしまうのかも知れない、そんなことを思いました。
本当の緊急の時の対応は、政府が政治として、常に警戒・配慮しているべきなのに、本来の役割を忘れて、自分たちの支持率ばかり気にしている。だから、固定電話問題のようなニヒリズムが蔓延する。「信じる心が力になる」というふうに言われたりしますが、何を信じるか、日頃のありかたがこういう形で現れるのか、と歎息をつきたくなりました。何とか正の方向に「信じる思い」を向けられるように、と願います。
よしりん先生の方は、また改めて記します。
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