諫議大夫さん のコメント
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第365号 2020.7.21発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…先週は、たとえ動機が純粋で、善意と正義のつもりでやったことでも、結果が酷いことになったら、その責任からは逃れられないということを書いた。それは大前提とした上で、今週は、そもそもハンセン病の恐怖を煽った医師・光田健輔や、新型コロナウイルスの恐怖を煽っている玉川徹・岡田晴恵の動機は「純粋」で「善意と正義」に基づいたものなのかを検証したい。
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…スウェーデン公衆衛生局が記者会見を行い、さらに、T細胞を介した自然免疫とあわせると、40%近くが免疫を獲得していると推定されるとし、集団免疫獲得はほぼ完成したと発表した。しかし、スウェーデンという存在を認めたくない勢力、そして日本のコロナがとっくに「終了」していることを認めたくない勢力は強い。彼らは飽きもせず「ミラノ、ニューヨークの二の舞になる!」と発狂しているが、一体どういう科学的知見からそう考えるのか?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!「コロナが収まる」とはどういう状態のことを言うの?政府が「GoToキャンペーン」から東京を外したことをどう思う?新コロ後遺症って恐ろしいの?現代において、田舎と都会との差異って感じる?旅行先で子供たちに危害が及ぶことが心配…都民は旅行をキャンセルしたほうが良い?リニアは必要だと思う?有名人が公表したくないプライベートなことを、週刊誌が暴露するのって許されるの?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第381回「歪んだ動機の正義」
2. しゃべらせてクリ!・第322回「ぽっくんを飼ってクリ、支配してクリ~!の巻〈前編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第175回「スウェーデンの勝利宣言と、発狂中の人たち」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第381回「歪んだ動機の正義」 先週は、たとえ動機が純粋で、善意と正義のつもりでやったことでも、結果が酷いことになったら、その責任からは逃れられないということを書いた。
それは大前提とした上で、今週は、そもそもハンセン病の恐怖を煽った医師・光田健輔や、新型コロナウイルスの恐怖を煽っている玉川徹・岡田晴恵の動機は「純粋」で「善意と正義」に基づいたものなのかを検証したい。
先週も書いた通り光田健輔はエリートの出ではなく、博士号すら取っていない。「独学で医学を学んだ」と言われるほどの苦学の末、私立済生学舎を経て東京帝国大学医学部選科に進んだ。
そして光田は、ここで他の医学生が触ろうとしなかったハンセン病患者の遺体をただひとりで解剖。この「美談」の解剖で切り出したリンパ節の染色実験から初の論文を書き(先週、初の論文は養育院時代と書いたのは誤り)、それ以降東大でハンセン病研究に没頭した。
そして、 そんな光田に東大医学部長が目をつけ、ハンセン病の入所者が数多くいた救護施設の東京養育院で勤務するよう命じたのである。
ではなぜ、光田はハンセン病研究に没頭したのか?
その動機は何だったのか?
ここからは推測になるが、東大医学部選科にいた他の医学生は、ほとんどが帝大医学部を経たエリートぞろいだったはずで、私立済生学舎の出で、学士ですらない光田は相当に異色の存在だったはずだ。
そしてそんな状況では、世の中の脚光を浴びるようなメジャーな研究テーマは全て他の医学生に持っていかれてしまい、 光田が手掛けることができたのは、誰も手を付けないようなニッチな領域しかなかったであろう。そして、ハンセン病研究こそ、まさにそれに打ってつけのテーマだったのではないだろうか。
東大を出て、養育院勤務の医官となった光田は、日本初のハンセン病専門医となった。当時の日本には、他にハンセン病の専門医は一人もいない。 光田はたちまち日本における「第一人者」となり「権威」となったのだ。
それからの光田は、苦学生時代の怨念からか、それとももともとの性格からか、「ハンセン病研究の第一人者」としての自らの権威を高めることにのみ没頭していったように思える。
そしてそうするためには、ハンセン病自体に対する世間の関心が大いに高まらなければならない。だから光田は、わざとハンセン病はペストと同然の恐怖の伝染病だと大宣伝したのではないか。
光田は、患者の体からまき散らされた病菌が日本全土を病の国とするかのような誇張までしていたが、それが完全にウソだということは、実際にハンセン病患者を扱ってきた光田自身が一番よく分かっていたはずだ。
そして、この恐怖の宣伝によって日本中が震えれば震えるほど、そんな恐怖の病と闘う医師として、光田のステイタスは上がることになったわけである。
光田はさらに財界・政界に人脈を広げ、国策に強力な影響力を発揮し、持論であったハンセン病患者の 「絶対隔離」 を実現する。
そして、日本癩学会の中心を全て自分の弟子で固め、押しも押されもせぬ権威に成り上がった。
動機がハンセン病患者のためではなく、自分の権威を高めるためであれば、当然のごとく自分の学説を否定するような意見は徹底して排除するだろう。
ハンセン病の感染力が非常に弱く、治療薬が開発されて完治する病気になっても、徹底隔離方針を変更することなどできなかっただろう。そんなことをしたら、それまで自分がやってきたことが否定され、権威が失墜してしまうから。
気前がよく、患者のためにも惜しみなく自腹を切ったというような「美談」も、あくまでも自分が患者を完全支配しているという、絶対的上下関係が存在しているところでのみ行われていたことだったのではないか? 患者の名前を全て記憶していたというのも、単に記憶力がよかったというだけのことじゃなかったのだろうか?
全て推測だが、そう外れてはいないと思う。
なお、光田に反対する学説を発表して学会で潰された医師・ 小笠原登 は京都帝大卒のエリートだった。
エリートが冷淡で、たたき上げが人情深いというステレオタイプがどこでも通用するとは限らないものだ。
さて、それでは岡田晴恵や玉川徹の「動機」はどうだろうか?
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
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