基礎医学研究者さん のコメント
このコメントは以下の記事についています
号外 2021.6.15発行 【目次】
1. ゴーマニズム宣言・第423回「YouTubeの秘密」
2. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第217回「コロナ以外のウイルスに要注意・RSウイルス流行中」
第423回「YouTubeの秘密」 やっぱりYouTubeには「言論・表現の自由」はなかった。
YouTubeもテレビと同様に、「コロナは怖い」とする誤情報以外は許されない言論統制が敷かれていることが今回、明らかになった。
YouTubeは6月8日、 「不適切なコンテンツ」 であるとして、「小林よしのりチャンネル」の2本の動画を削除した。
1本は『ワクチンなんか打ってたまるか!』と題する動画で、5月15日の生放送番組から、わしがワクチン接種券を破り捨てるシーンを抜粋したもの。
(ニコニコ動画にアップし直した。 https://www.nicovideo.jp/watch/so38869788 )
もう1本は『医学生がクズばかりの理由』というタイトルで、6月5日の番組から、ゲストの精神科医・和田秀樹氏が、日本の大学医学部の入試面接の問題点などを語っている場面を抜粋したものである。
(同 https://www.nicovideo.jp/watch/so38869823 )
YouTubeは動画を削除すると共に、小林よしのりチャンネルには1週間、新規動画やライブ配信など一切の投稿ができないようにした。
そして90日以内に同様の違反警告があると2週間投稿不可となり、さらに3回目の警告が出るとチャンネル自体が停止されるという。
小林よしのりチャンネルの動画がYouTubeに削除されたのは、これが初めてではない。
最初に削除されたのは昨年9月29日で、90日以上経っているので今回は改めて「1回目の警告」となったようだ。
この時のことは、泉美木蘭さんが詳細に解説している。
(泉美木蘭のトンデモ見聞録・第185回「正気でないYouTubeに動画を削除された件」
https://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1952385 )
YouTubeCEOのスーザン・ウォジスキーは2020年4月、 「WHOの見解と対立する動画については、どのようなものでもすべて削除する」 と宣言した。
そしてYouTubeはガイドラインに、配信を禁止する 「暴力的または危険なコンテンツ」 のひとつとして 「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の医学的に誤った情報」 という項目を追加し、このように書いている。
「COVID-19 の医学的に誤った情報に関するポリシー」より
深刻な危害を及ぼす可能性のある COVID-19 に関するコンテンツは YouTube で許可されていません。YouTube では、世界保健機関(WHO)や地域の保健当局が提供する COVID-19 に関する医学情報と矛盾する、医学的に誤った情報を拡散するコンテンツを許可していません。
WHOや地域の保健当局(日本では厚労省)が提供する医学情報といっても、それは刻々と変化するものであり、一時正しいと思われていた情報が覆ることなどいくらでもある。
それなのに、その時点でWHOや厚労省が発表している情報と違うものは問答無用で「医学的に誤った情報」と決めつけ、一切発信することは許さないというのだから、ムチャクチャである。
そしてこの「ポリシー」に続いて、YouTubeが許可しないコンテンツの例がズラッと挙げられている。
そこには「COVID-19 はウイルス感染症ではないと主張するコンテンツ」や「非承認または自作の COVID-19 ワクチンの使用をすすめるコンテンツ」といった、そりゃ確かにダメだろという例も挙がっている。
だがその一方で、 「社会的距離を保つことや自己隔離措置を取ることに、ウイルスの拡散を防ぐ効果はないと断言する動画」 や、 「マスクの着用は危険である、または身体の健康に悪影響があると主張する」「自然感染によって集団免疫を獲得するほうが、集団でワクチンを接種するよりも安全だと主張する」 といったコンテンツも許可しないと明記している。
つまり『コロナ論』シリーズの主張は、YouTubeが許可していないのだ。
昨年9月、最初に削除された動画は2020年6月20日放送の『勝利・第一弾!「抗体保有率0.1%」の衝撃』
https://www.nicovideo.jp/watch/1594447863
の冒頭30分部分である。
その動画では、厚労省が抗体検査の結果 「東京都の抗体陽性率は0.1%だった」 と発表したことを受け、なぜこんなめっちゃ少ないのかということで、わしはこんな発言をした。
「日本人はどうしてこんなにかからないのかと。日本人は自然免疫が強化されていて片づけたか、旧コロナの交差免疫がはたらいて退けたかということだろうな」「集団免疫すら必要なかったわけか、日本人は!」
前述の「YouTubeが許可しないコンテンツ」には、 「COVID-19 は特定の気候や地域では拡大しないと主張するコンテンツ」「特定の集団や個人は COVID-19 ウイルスに対する免疫がある、あるいはウイルスを他人に感染させないと主張するコンテンツ」 という例が挙げられている。
日本という特定の地域では新型コロナが大して拡大していないというのは、国が公表したデータに基づく事実であり、日本人という特定の国民には、新型コロナに対する自然免疫や交差免疫がはたらいているのではないかというのは、複数の医師や研究者が論じている見解である。
ところが事実だろうと、可能性が十分考えられる説だろうと、YouTubeが許可しないと決めた基準に触れているから、一発削除だというのである!
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
KAZU様
基礎医学研究者でございます。まず、お忙しいところ、前回の私のコメントに、わざわざ回答いただきまして、感謝致します。以下、KAZUさんに続きます(なお、ここでは、KAZUさんの回答で長い部分はすこし省略して示しております。悪しからず(m_ _m)。
基礎医学研究者さんがおっしゃるように、ウイルスのゲノムRNAがヒトなどの宿主のDNAに組み込まれることがあることについては異論はないです。ただ、このDNAに組み込まれる場合は、ウイルス自体が逆転写酵素を持っており、それを用いて宿主のDNAに組み込んでいくんだと思います。このような手を使うRNAウイルスとしてはHIVウイルスやHTLV-Iウイルス(ヒトT細胞白血病ウイルス)があります・・・(中略)
→ありがとうございます。KAZUさんがこの段落でおっしゃられている話は、ウイルス学の常識的要約であり、良いリマンドになりました(まさに、その通りかと思います)。前回「RNAウイルス」というざっくりした書き方をしてしまったのですが、レトロウイルスであるHTLV-1、およびレンチウイルスであるHIVが自身のRNAウイルスゲノムに逆転写酵素をコードしているのは確かにその通りかと思います。一方、コロナウイルスはKAZUさん言われるように逆転写酵素を持っていないことにはまったく同意なのですが、私が前に議論に上げさせていただきましたのは、コロナウイルスのゲノム自体には逆転写酵素遺伝子は存在しないが、ヒト(宿主側)に存在する内因性のLINE(ほとんどはすでにウイルスの残骸のようになってしまっているが、LINE1のみが非レトロウイルス型レトロトランスポゾンとして、活性化する可能性を持ち、逆転写酵素をコードする)が、もしも何らかの要因で活性化するようなことがあるとすると、“コロナウイルスRNAゲノムの逆転写が起こる可能性がある”、ということでございます(自分も少し前までは、このような知見はまったくよくわかっておらず、しかも「怪しい知見」だと思っておりました)。なお、確かにKAZUさんいわれますように、仮に逆転写が起こり、さらにDNA配列として宿主のゲノムに挿入される(レトロトランスポジション)が起こったとしても、それが完全なゲノム配列を有した形で挿入されないならば、ウイルス産生には寄与しないだろう、ということには、同意でございます。
また基礎医学研究者さんが教えていただいたSARS-CoV-2がヒトのDNAに組み込まれ、その状態でゲノムRNAが発現するという研究結果についてですが、あとでこの報告を読んでみますが、読んでいないことを予めことわった上での意見ですが、SARS-CoV-2メッセンジャーRNAワクチンにはSARS-CoV-2ウイルスが持っているであろう逆転写酵素やゲノムRNAを複製するための酵素は持っておりません。なので逆転写が起こる可能性はどちらかというとワクチンというよりはSARS-CoV-2に感染することで起こるのではと思っております。いかがでしょうか。
→ありがとうございます。実際この論文で述べられていることは、医学生物学のこれまでの知見の流れにかなり反したことが言われておりますので、KAZUさんがこのような回答になることは、よくわかります。しかし、この論文では、SARS-CoV-2が感染すると、上でも述べた宿主側のLINE1が活性化し、本来はKAZUさんが述べられていたような生活環をとるはずのSARS-CoV-2が逆転写され、DNAゲノムとして宿主ゲノムに挿入されるということでございました(なお、実際には挿入されたゲノムは完全体だけではなく、3’側に1部分のゲノムが挿入されている場合もあったようです(そして、COVID-19に罹患した患者のBALF(気管支肺胞洗浄液)の細胞からmRNAレベルで、挿入されたDNA由来の発現が確認されました)。SARS-CoV-2はレトロやレンチウイルスとは異なるので、この部分的に挿入された断片が一体どうやって発現するのかについてはよくわかりませんが、少なくともデータからは、そのように考えるしかない、と思います(ワクチンのmRNAの場合は、先にKAZUさんも書かれているように、DNA断片としてどこかに挿入されるだけだと思うのですが)。ただ、こう書いていて思いますのは、先週のゴーセン道場における井上正康先生の話も併せますと、自分の中ではいまのところ、SARS-CoV-2のRNAゲノム、もしかしたらRNAワクチン自体も逆転写されて宿主ゲノムに挿入され何等かの影響を及ぼす可能性はありますが、現時点ではそれよりも、KAZUさんも言及している血栓形成などの副反応の方が大きな問題である、というなのではないかと思う次第でございます。
また、ワクチン接種後の血栓については、メッセンジャーワクチン接種でSARS-CoV-2感染と同じ状況になるためだと思います…(中略)・・・ちなみに新型コロナウイルス感染症でだいたい1%ぐらいの人が血栓症になるという報告があります。これは入院患者さんだけを対象にしていると思われますので、実際には無症状の方も多いですので、仮に入院率を1%とすると0.01%で1万人に1人で血栓症になるということになります。対してワクチン接種は日本では2600万回接種されています。おそらく1500万人から1800万人ぐらいの方が接種されていると考えると今の時点で仮に150人ぐらい血栓症になったという報告があったとしても10万人に1人で血栓症になったという結果になります。ウイルス感染したほうが血栓症になりやすいという結果になります。
→ありがとうございました。これについては、私の周りの医者の見解もそうでありまして、MDの先生のまあまあ共通見解なのだと、思われました。一方捉え方の問題ということも重要だと思っておりまして、先週のゴーセン道場で井上正康先生のお話を聞いた限りでは、ワクチン接種に関しては、私個人はやはり慎重にならざるを得ないと、という感じでございます。
もちろん、SARS-CoV-2に罹患しても軽症なのに、メッセンジャーRNAワクチンに使われるエチレングリコールにアレルギー反応が起きたらどうするんだ、という意見もあります。罹患しても軽症が多い日本の小児の方に強制的にワクチン接種をするかどうかはきちんと検討する必要はあると思います。個人的には高齢者というよりもBMI 30以上の方が重症化するリスクが高いので、BMI 30以上の方は特別、打ってはいけない要項がなければ接種したほうがいいのでは、と個人的には思います
→ありがとうございます。KAZUさんから、このような現場感覚的なご意見をお聞かせいただきましたことに感謝致します(職業人として誠意のある見解である、と思いました)。
以上、長文失礼しました。全体としては、おそらく私とKAZUさんの間で見解の相違部分はあるような気が致しますが、こちらも勉強になりました。ここまで議論にお付き合いくださり、感謝致します。
とりいそぎ、御礼まで
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