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希蝶さん のコメント

 今号の感想です。

〇 ゴーマニズム宣言・第457回「陰謀論に嵌る馬鹿」
 私の知人にもディープステートがどうの、Qアノンがどうのこうのと主張し、ユダヤ人の陰謀説を語るかたがいるのですが、ほかの面では信頼のおける有能なかたなのですが、(自分がこんなことを言っていいのかな?)こういうかたは大抵、自説を押し通し、人の話を聞こうとしないという特徴があるな、と感じます。人のことを言えないと思うのは、自分にも今までこういう傾向があったように反省するからです。ただ、辯解をしますが、わたしの場合は、それ以上の論理や根拠があるなら、それを語って欲しい、という意味もあったのですが、大抵の人は感情論をぶつけてきて、「人の話を聞け」「君と論争するつもりはない」といった扱いだったので、こちらも意地になってしまった点もありました。こういうことはしないように、と自戒するのですが、コロナ騒動で感情的にならずに、冷静に論理的に語れというのも、皇室のことで石破議員がお互いの主張を熱くならずにぶつければいいという論理と似ているような気もするし…なんだか難しいです。価値相対主義におちいりそうで。

 話が脱線しましたが、コロナウイルス煽り説・コロナワクチン反対派がウクライナのことではロシア同情派になってしまう論理がよく分かりました。私は単純なので、ロシアが今まで南下政策で土地泥棒をしてきた経緯(北方領土のみならずサンクトペテルブルク・ウラジオストックなども含む)を見ていても、この話は明らかにロシアの、プーチンの暴走だという感じしかしていないです。アゾフ連隊の話にしても、日本の過去の歴史でいうなら、後醍醐天皇が楠木正成を利用してゲリラ戦法を鎌倉幕府、北条氏に対してとらせたのと同じことでしょう。あるいは(これをいうとよしりん先生は異議を唱えるのかな)薩摩藩が江戸末期に浪人を雇って江戸市中で狼藉を働いた話とか。ゼレンスキーの演説は聞いていないですが、アメリカ合衆国の同情を引き出すためにはやむを得ないことだったんだろうと想像します。
 デマと言えば、湾岸戦争の時に油まみれの海鳥の写真もありましたが、ある人は「でもこういうことが起こっているのではないか」というような意見を述べていました。だから、写真の偽造をやっていいとは申しませんが、このデマがまかり通った背景には、この時のフセインの行動はプーチンと良く似ていたのではないか、と思うのです。
 確かに、ウクライナにも攻められる原因があったのかも知れないです。しかし、それを言っていたら、いじめの被害者にもいじめられる原因がある、という論理と同じことを言っているような感じになります。それも真なのですが、まずは加害者をどうこうする方が優先されるでしょう。そして、加害者のいうことがかりに筋が通っているとしても、これこれこういう理由で、これはいけないんだよ、という意見を語らないといけない。加害者が自分が加害者だと自覚していない場合は、それを分からせないといけない。ましてや無法、没義道そのものだったら、それ相応の措置を取らないといけない。ウクライナ側の反省は戦争が終わってからでも遅くはない。それだけだと思います。少なくとも、ロシアのしていることは侵掠であり、そのことは(過去のロシアの歴史からしても)プーチンも自覚しているのではないのでしょうか?

 しかし、相対主義ではないのですが、加害と被害の問題はやはり難しいとも思っています。ある人が勇気を示すために行った予想外の行為が、それを受けた人には被害になってしまう場合もある。以前、よしりん先生の漫画で描かれた「コクハラ」の話もそうなのかも知れない。こういう場合、どうすれば良かったのか、とわたしは今も悩んでいます。ウクライナからいきなり卑小な話になりましたが、他者に好意を伝える行動が、慎重でなかったばかりに相手にとって迷惑になってしまう場合もある。職場環境を乱したと呼ばれる場合もある。誰でも突然加害者になってしまう場合もあり、また被害を受けたと感じる場合もある。そういうことは考えてもいいのかな、と思います。それを判別するのは「常識」と「歴史」なのだろうと思いますが。それぞれの場合について、考えてゆくしかないのでしょう。
 とにかく、ウクライナの話については、経緯が目に見えており、陰謀云々はないな、という結論です。ユダヤ陰謀論にしても、だったら、なぜ同胞であるイスラエル国民がワクチンでなくなってゆく過程に手を拱いているんだ、といったところです。
No.182
25ヶ月前
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第430号 2022.3.15発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…ロシアのウクライナ侵攻は全く正当化のできない侵略戦争であり、プーチンが悪であって、ウクライナに義があり、ゼレンスキー大統領は英雄である。この構図を価値相対化したって何の意味もない。マスコミの論調も「プーチン=悪」の路線に乗っているが、これに対してネット内では「ウクライナにも非はある! プーチンは悪くない!」の大合唱が起きた。曰く「ウクライナはネオナチ政権だ」「ウクライナ戦争もコロナも全てディープステートが仕組んだもの」云々…。陰謀論を徹底的に粉砕する!ネットの情報にかく乱されない常識を取り戻せ!! ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…米疾病対策センター(CDC)から、「ファイザー製ワクチンを2回接種した5~11歳への入院予防効果は74%だった」とする研究結果が発表されたらしい。ところが米10州の救急外来を受診した5~17歳の約4万人を対象に、ワクチン接種者と未接種者を比較したところ、接種14日後からの約2カ月間で、調査対象のほとんどがオミクロン株に感染していたという。【ワクチン接種してもほとんどが感染し効果がない】という結果のはずが、なぜ【入院予防効果74%】になるのか?このトンデモ研究結果のデタラメなカラクリに騙されるな! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!ロシアをパラリンピックから締め出すのなら、中国での五輪開催も反対するべきだったのでは?今のロシアは、開戦せざるを得なかった過去の日本と似ているのでは?ウクライナはNATOへの加盟を断念する?「公論イベント」に熱中する夫に対する心のモヤモヤを聞いて!ウクライナ戦争に関する「専門家」の意見はどの程度参考にすべき?ロシアの今後はどうなる?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第457回「陰謀論に嵌る馬鹿」 2. しゃべらせてクリ!・第386回「【前編】」 3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第251回「《5~11歳の入院予防効果74%》はデタラメの煽り芸」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第457回「陰謀論に嵌る馬鹿」  ある場面では、少数派の情報や意見が正しいこともあるし、また全く別の場面では、多数派の方が正しいこともある。それはその都度その都度判断していく以外にない。  そんなことは言うまでもない当たり前のはずなのに、こんな幼児に諭すような話をいちいちしておかなければならないとは、情けない限りだ。   ロシアのウクライナ侵攻は全く正当化のできない侵略戦争であり、プーチンが悪であって、ウクライナに義があり、ゼレンスキー大統領は英雄である。   この構図を価値相対化したって何の意味もない。いまさらポストモダンでもあるまいし、オウム真理教は悪ではないと言ってたクソサヨクと一緒だ。  マスコミの論調も「プーチン=悪」の路線に乗っているが、これに対してネット内では 「ウクライナにも非はある! プーチンは悪くない!」 の大合唱が起きた。  既視感すごい。「麻原彰晃は真の宗教家だ」「上祐さんは頭いい」「青山さんは嘘つかない」、オウムを批判するわしに寄せられた馬鹿どもの手紙やはがきは膨大だった。  今現在、プーチン肩入れ派のネット民が、わしを批判する根拠は、プーチンが侵攻を正当化するために言った 「ウクライナはネオナチ政権であり、我々はネオナチと戦っている」 というデマ・プロパガンダだった。  普通、こんなこと聞いたら「はあ?」と疑問符の嵐だろう。  即座に「お前のやってることの方がナチくさいじゃないか!」とツッコミを入れるのが常識というものだ。  世界中でも大多数の人がそう思ったし、だからこそすぐさま「プーチンは精神に異常を来たしている」説が唱えられたのだ。   ところが、たったそれだけの常識がない人も、ネットの情報でかく乱される者が一定数いるのである。   ウクライナ語は、ロシア語・ベラルーシ語とは同系統ではあるが別の言語であり、ウクライナは独立国家を形成していた時期もある。  国を失い、ロシア帝国・ソビエト連邦の一部とされた時代が長かったが、 ウクライナ人には独自の言語と文化を持つという民族アイデンティティとナショナリズムが脈々と受け継がれ、ソ連崩壊の後、1991年に念願の独立を果たしたのだ。  ただし、歴史的にこの地ではウクライナ人の他にロシア人やユダヤ人なども混住しており、西部地域はヨーロッパの、東部地域はロシアの影響が強い。  独立後も、 住民の半数以上をロシア人が占めているクリミア半島ではロシアへの帰属を求める声が高く、民族紛争の火種を抱えていた。   そして2014年、クリミア半島で親ロシア派の武装勢力が蜂起し (というが、これ自体ロシアの関与が疑われる) 、議会、空軍基地などを占領。ロシアはこれに軍を投入 (いきなり他国に軍隊を入れたら主権侵害なのは当然) 、クリミアは住民投票 (他国の軍が入っているうちに住民投票は異常) を経て、独立とロシア編入を宣言した。   ただし国際連合はこれを認めず、国際的承認は得られていない。  侵略の方法論としては実に巧妙で学ぶところがあるが、国際法違反なのは間違いない。   武装蜂起?は同じくロシア系住民が多い東部のドンバス地方にも飛び火し、 「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」 を名乗り、ウクライナからの独立を宣言した。   だがこれも、国連は国家として承認していない。  クリミアと同じ匂いがするからだろう。  両国はクリミア同様ロシアへの編入を求め、ロシアはそれには応じなかったが、両国の軍の維持などはロシアが非公式に援助していると見られている。  そして今回、この ドネツク・ルガンスクで、 「ウクライナの「ネオナチ」がロシア系住民を虐殺している」 として、 プーチンは住民保護を口実に戦争に踏み切り、ネット民はこぞってプーチンの言い分を信じたのである。  だがプーチンも、その主張を信じる者も、 「ウクライナのネオナチがロシア系住民を虐殺している」 という確たる証拠を何も示していない。  そもそも 虐殺が本当なら、なぜロシアはそれを国連安保理で訴えて、開戦に対する国際社会の同意を取り付けなかったのか?  プーチンは開戦時の演説で、アメリカが証拠もなく「イラクが大量破壊兵器を保有している」と主張し、これを開戦理由に戦争を起こしたことを非難しているのに、 自分が主張する開戦理由については、国連安保理にかけることすらしなかった。  これだけで、虐殺などデマだと断言していい。  一方、「ウクライナのネオナチ」の証拠として挙げられたのが「アゾフ連隊」という武装右翼組織の存在だ。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!